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ホーム全日病第801回/2013年5月15日号「地域がん診療病院」を導入、...

「地域がん診療病院」を導入、拠点病院とグループ指定

「地域がん診療病院」を導入、拠点病院とグループ指定

【がん診療提供体制のあり方に関する検討会】
空白地域対策等に関する合意点をまとめる

 厚労省健康局のがん対策・健康増進課は4月24日、「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」における議論のうち、主にがん診療連携拠点病院(拠点病院)に関する部分を中間とりまとめとして公表した。
 拠点病院は2次医療圏に原則1ヵ所整備とされているが、いぜん、空白の2次医療圏が多い。検討会は、空白地域をなくすために新たに「地域がん診療病院」(がん診療病院)を要件化し、空白圏を中心に、拠点病院とグループ指定する考え方で一致したことから、拠点病院に考えられる新たな要件概念と合せて、合意内容を整理したもの。
 がん診療病院は拠点病院に準じた要件を満たす病院とがん専門病院からなり、中核都市に関しては、拠点病院がある2次医療圏と空白医療圏との、医療圏を越えたグループ指定も想定されるとしている。
 検討会は、今後、この中間とりまとめを踏まえた、拠点病院とがん診療病院の要件案、地域連携体制、緩和ケアの体制などに関する検討を進める予定だ。

「がん診療提供体制のあり方に関する検討会中間とりまとめ」から

Ⅲ.今後のがん診療提供体制のあり方について(要旨)

1. グループ指定による診療連携機能の強化

①拠点病院のない2次医療圏を中心とした地域がん診療病院(仮称)と拠点病院とのグループ指定

・拠点病院のない2次医療圏を中心に、地域のがん医療を担う「地域がん診療病院(仮称)」(以下「がん診療病院」)と拠点病院をグループで指定することが考えられる。(がん診療病院については、拠点病院が指定されていても、患者数が多い地域は柔軟に対応してもよいのではないかとの指摘もあった)

・がん診療病院には、2次医療圏内で受けることが望ましいがん医療の提供、すなわち、高度な技術を要さない手術(患者数の多い胃、大腸、乳がんの手術など)、外来化学療法、緩和ケア、相談支援(特に地域連携に関すること)、がん登録のほか、拠点病院や在宅医療提供機関との地域連携等が求められる。

・また、がん診療病院には、拠点病院の要件のうち、放射線療法、研修の開催、診療実績、セカンドオピニオンの提供、人材配置等は一定程度緩和することが考えられる。

②特定領域で高度な診療機能をもつ医療機関と拠点病院とのグループ指定

・医療機関の中には、特定のがん種で拠点病院よりも高度な診療機能を有し、診療実績を持つ医療機関も存在する。(例:脳腫瘍、乳がん、前立腺がん、甲状腺がん等)

・これらの医療機関に期待される役割を明確にし、患者に公表した上で、がん診療病院として、既存の拠点病院とグループ指定することが考えられる。

 グループ指定の調整は都道府県が行うことが想定されるが、可能な範囲で柔軟な制度とすることなどに留意した上で、導入していくことが望ましい。