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ホーム全日病ニュース第815回/2014年12月15日号中医協総会/2014年度改定の議論

中医協総会/2014年度改定の議論:回復期リハ1 病棟専従医師・社会福祉士を評価。休日リハ加算を包括化

▲改定率の引き上げを期しつつ診療報酬の議論に臨む診療側委員

中医協総会/2014年度改定の議論:
回復期リハ1 病棟専従医師・社会福祉士を評価。
休日リハ加算を包括化

療養病棟 亜急性期が可能に。在宅復帰率と透析も評価か。亜急性期病棟 6.4m2は緩和の可能性も

 

11月27日●入院医療(5)一般病棟入院基本料等の見直しについて

【論点】
□7対1における一般病棟用重症度・看護必要度
(1)必要度の項目を見直してはどうか。
①時間尿測定と血圧測定は項目から削除
②創傷処置は褥瘡の処置とそれ以外の手術等の縫合部等の処置を分ける
③呼吸ケアは喀痰吸引を定義から外す
④抗悪性腫瘍剤の内服、麻薬の内服・貼付、抗血栓塞栓薬の持続点滴をA項目に追加する
(2)救命救急入院料算定7対1の要件に該当患者割合(15%以上)を導入してはどうか。
(3)名称は「重症度、医療・看護必要度」としてはどうか。
□7対1病棟のその他指標
(1)要件に自宅、亜急性期・回復期病床、在宅復帰実績ある老健施設を対象とした在宅復帰率を導入してはどうか。
(2)DPCデータ提出を要件とし、データを元に診療実績を要件とすることを引き続き検討してはどうか。
(3)データ提出加算の算定対象をすべての一般病床、療養病床、精神病床とし、データ提出を複数回にしてはどうか。
□療養病棟における在宅復帰率の評価一定の在宅復帰率をもつ療養病棟を評価してはどうか。
□亜急性期入院医療管理料等の見直し
(1)亜急性期入院医療管理料
・病棟単位の評価を原則とする。ただし、200床未満の病院は、①看護師の夜勤時間を所属病棟に算入する(現在と同様)、②入院したDPC患者は引き続きDPC点数表で算定するとした上で、1 病棟まで病室単位を算定可能としてはどうか。
・200床未満の医療機関は全病棟を亜急性期として届出できる。
・亜急性期病棟の要件は、①2次救急病院の指定や在宅療養支援病院の届出、②在宅復帰率等、③重症度・看護必要度A項目1点以上の患者が回復期リハ病棟入院料1と同程度、④原則として6.4m2/床、⑤医療内容のデータ提出を求める、としてはどうか。
・療養病床も1病棟(60床)に限り亜急性期病棟の届出を可能にしてはどうか。
□特定除外患者の受入の評価等
①15歳超で障害を受けた超・準超重症児(者)入院診療加算の算定を療養病棟等で認める。
②障害者入院基本料等を算定する病棟以外の一般病棟に日数上限を設ける。
③障害者施設等入院基本料、特殊疾患病棟入院料、特殊疾患入院医療管理料のあり方を継続的に議論する。
④療養病棟における透析患者に対する評価を検討してはどうか。
【議論】
事務局は、一般病棟用看護必要度を提案のとおりにすると、該当患者が15%以上は7対1の56.5%、10%以内の変動範囲にあるのは70.6%に、また、救命救急入院料を算定する7対1では15%以上は42.9%、10%以内にあるのは71.4%へと、それぞれ減少するという推計値を示した。
 診療側は、看護必要度に関して、A項目の細目に注文をつけたものの大筋で了解。療養病棟の在宅復帰率評価に関しては在宅復帰率の計算式を他病棟と揃えるよう求めた。医療課長は療養病棟の在宅復帰率を回復期リハ入院料Ⅰと同水準にする可能性を示唆した。
 亜急性期の病棟評価に関して、診療側からは、①古い病院に6.4m2は困難、②病室単位をもう少し柔軟に認めてはどうか、③200床以上にも200床未満の特例や経過措置を認めるべき、④都道府県で指定が異なる2次救急病院よりも消防庁指定や救急車実績の方がよい、⑤同じ看護配置の13対1は救急・在宅等支援病床初期加算がとれるため、新たな亜急性期病棟の包括点数は出来高の13対1と十分な整合性を確保すべき、などの意見が出た。
 支払側や専門委員からは、⑥6.4m2の要件は議論が必要、⑦看護配置は10対1が妥当かつ看護補助の配置も必要、⑧療養病棟が亜急性期を担うというのはイメージがわかない、などの疑問や意見が出た。療養病棟における透析患者の評価には支払・診療双方から疑問の声があがった。
 医療課長は、2次救急については消防庁指定等を含む幅広い評価を検討していること、また、6.4m2の要件には地域特性など一定配慮する可能性を認めた。

10対1も「地域に配慮した評価」の対象に

11月29日●入院医療(5)地域に配慮した評価 等

【論点】
□地域に配慮した評価・前改定で導入した地域に配慮した評価は、対象医療機関と評価項目を継続した上で、亜急性期入院の新たな要件を緩和した評価を導入する。
・チーム医療等の専従要件等の緩和は、対象を外来緩和ケア管理料、糖尿病透析予防指導管理料、褥瘡ハイリスク患者ケア加算、退院調整加算へと拡げる。
・夜勤72時間の緩和対象となる特定一般病棟入院料の対象に、一般病棟が1病棟のみの病院を加える。
□入院医療の適正化前改定で導入した「金曜入院・月曜退院」「正午までの退院」の評価は継続する。
□外来診療の機能分化の推進
◎大病院の紹介率・逆紹介率
・許可病床500床以上の全病院(精神科単科や療養病床のみの病院は除く)について、紹介率40%未満・逆紹介率30%未満の施設は前改定と同様(初再診料の減額)とする。
・その際、特定機能病院と500床以上の地域医療支援病院は紹介率50%未満・逆紹介率50%未満を対象とする。
◎長期投薬について「紹介率50%未満・逆紹介率50%未満の特定機能病院と500床以上の地域医療支援病院」および「それ以外の許可病床500床以上の全病院(精神科単科や療養病床のみを除く)のうち紹介率40%未満・逆紹介率30%未満」は、一部薬剤を除き、投薬日数によって投薬費用(処方料、処方せん料、薬剤料)を制限してはどうか。
◎7種類以上の内服薬投薬の低減措置をどう考えるか。
□個別事項
(2)精神医療について(略)
【議論】
事務局は「地域に配慮した評価」の対象に10対1を含む考えを示した。また、チーム医療等については専従以外の要件も緩和見直しを検討するとした。
 診療側は、「地域に配慮した評価」を容認した上で、「亜急性期入院医療の新たな要件を緩和した評価を導入とは15対1で13対1の評価を行なうということか」と質問。医療課長は「それを含めてご議論いただく」と答弁した。
 診療側は、「金曜入院・月曜退院と正午までの退院の評価継続」「大病院の初再診料減額の継続」は了解。「長期投薬」は概ねよいとした上で、「投薬日数によって投薬費用を制限する」ことの内容を質した。多剤投与に関しては反対を表明、見直しを求めた。
 「投薬費用の制限」について、医療課長は「何らかの低減措置導入を検討したい」とした。
 診療側は、また、7剤規制の撤廃を求めた。現行の維持を求める支払側は、「剤数、減額水準、薬剤料も減額など、7剤規制の運用に議論の余地はある」(白川委員=健保連)と応じる一方、「主治医制の下で7剤規制を管理する労力を加算評価してはどうか」と提起した。

維持期リハの経過措置を延長。廃用症候群のリハは厳格化

12月4日●個別事項(3) リハビリテーション等

【論点】
□リハビリテーションについて
◎早期リハの評価の充実・循環器系、新生物、消化器系の患者が多く、65歳以上の患者がX割以上の急性期病棟(7対1、10対1)に理学療法士等を配置した場合の評価を新設。「退院時にADLが低下した者の割合がX%以下」等の数値目標を要件としてはどうか。
・大腿骨頚部骨折と脳卒中に限り、退院後の外来でも初期加算・早期加算の算定(算定日数は入院と通算)を認め、外来リハが別の場合は当該医療機関への早期紹介を評価する。
・他の疾患別リハと同様、運動器リハ料Ⅰも外来患者に算定可能とする。
◎回復期リハ病棟入院料の見直し
・回復期リハ病棟入院料1 算定病棟への病棟専従医師や社会福祉士の配置を評価する。
・また、同病棟について、休日リハ提供体制加算を包括かつ要件とする。
◎廃用症候群の評価の見直し
廃用症候群にリハを実施する場合には、それ以外のリハが適用にならない理由を評価表や実績報告書に記載し、その適用を厳格化する。
◎維持期リハについて
医療保険の維持期の経過措置を延長する一方、居宅介護支援事業所の介護支援専門員等との連携や事業所への紹介等を評価する。
【議論】
 診療側は7対1・10対1への理学療法士等配置の評価に疑問を表明。とくに、病棟専従医師配置の評価に「専門医が少ない。時期尚早ではないか」と異議。万一導入しても「加算評価とすべき」(万代委員=日病)と注文をつけた。社会福祉士の専従化には賛成した。
 休日リハ提供体制加算の包括化にも「包括化は時期尚早」と反対(万代委員)。万一導入の場合は「点数を下げるべきではない」(鈴木委員=日医)とした。
 廃用症候群に関しては「一律の規制は問題がある」としつつ、「不適切な事例を明らかにする上では記載欄を設けることはよい」(鈴木委員)と賛成。
 要介護者等が医療保険で維持期リハを受けるのを14年3月31日までとしている経過措置の延長に支払・診療側とも同意したが、支払側は移行が進まない背景に介護保険における体制整備の怠慢があると強い不満を表わした。

夜間休日救急搬送医学管理料に精神疾患や薬毒物中毒の加算
医師事務作業補助者は事務職等との役割分担明確化の上増点か

12月6日●個別事項(5) 勤務医等の負担軽減等

【論点】
□勤務医等の負担軽減等について
◎病院勤務医等の負担軽減
・時間外・休日・深夜の内視鏡検査に新たな評価を設けてはどうか。
・時間外・休日・深夜の処置(1000点以上)・手術の評価を充実させる。その際、①医師の時間外・休日・深夜の対応に関する配慮(予定手術前の当直の免除や交代勤務制の導入、時間外・休日・深夜の対応に対する手当)を実施する、②採血・静脈注射・留置針によるルート確保について他業種との役割分担を推進する、ことを要件としてはどうか。
◎医師事務作業補助者
勤務場所に一定の制限を設けた上で、医師事務作業補助者との適切な業務分担による勤務医負担軽減をさらに推進してはどうか。
◎看護職員の負担軽減
・重症度が高い患者を多く受け入れている病棟の夜間急性期看護補助体制加算と看護職員夜間配置加算の評価を充実してはどうか。
・月平均夜勤時間72時間要件のみが満たされない場合の緩和措置は、7対1と10対1だけではなく、72時間が要件の他入院基本料も同様にしてはどうか。
□チーム医療の評価について
◎病棟薬剤師
・療養病棟と精神病棟における病棟配置の「入院後4週間」制限の見直しを検討する。
・14年度以降も病棟薬剤業務実施加算を継続する。その際、退院時の薬剤指導等を病棟薬剤業務に位置づける。
・また、当該病棟入院患者に対して退院後も引き続き、必要に応じて、在宅患者訪問薬剤管理指導を行なうものとする。さらに、在宅患者訪問薬剤管理指導をできるようにする。
□院内感染防止対策、救急、周産期・小児医療について
◎院内感染防止対策サーベイランスへの参加を感染防止対策加算1の算定要件としてはどうか。
◎救急医療・救急医療管理加算算定要件の「他項目に準ずる重篤な状態」を見直してはどうか。
・状態が不安定な患者を一時的に高次医療機関へ搬送し、治療を継続するために再び搬送元の医療機関等へ搬送する場合(一般病棟入院基本料を算定)に、医師が同乗して診療を行なった場合の評価を設ける。
・救命救急入院料における精神疾患診断治療に関する評価は救命救急入院料の算定期間中、精神科医が最初に行なったものについて算定する。
・救命救急入院料における薬毒物中毒患者の分析について、①単なる薬物血中濃度測定等を行なう場合と日本中毒学会のGLに基づく詳細な分析装置を用いたものとの評価を分け、②救命救急センターでも算定可能とする。
・夜間休日救急搬送医学管理料に精神疾患合併患者や薬毒物中毒患者加算を設ける。
◎周産期・小児医療
・新生児特定集中治療室退院調整加算はハイリスク患者への早期退院調整を要件とする。
・周産期医療センター等と連携し、在宅へ帰ることを前提に急性期病院でNICU後の重症児を受け入れることや当該病院における退院支援を評価する。
・連携先医療機関で在宅療養指導管理料を算定している場合でも、他医療機関と別の指導管理が行なわれた場合には在宅療養指導管理料を算定可能とする。
・パリビズマブの注射当日の診療は出来高で算定できるようにする。
□認知症対策について
◎認知症疾患医療センター診療所型(仮称)の評価
他医療機関からの紹介を受けて認知症の鑑別診断を行なった上で療養方針を決定した場合や認知症の症状が増悪(BPSD)した患者の紹介を受けて療養計画を示した場合は、認知症疾患医療センター診療所型(仮称)も認知症疾患医療センターに準じた評価をする。
◎重度認知症加算
3月以内の算定となっている重度認知症加算について、認知症治療病棟入院料と同様、より短期間に限って重点的に評価する加算へ見直す。
◎認知症リハビリテーション
精神症状及び行動異常が特に著しい重度の認知症患者を対象とした認知症治療病棟に入院したBPSD患者に対する認知症リハビリテーションを評価する。
*(編集部注)褥瘡対策以降の論点は後日に回された。
【議論】
医療課長は、重度認知症加算を「1月以内に絞る」考えを明らかにした。時間外等の内視鏡検査の評価について、「これまでは外科系の評価を高めてきたが、内科系も充実させるべきと考えた」と説明した。
 医師事務作業補助者の「勤務場所の一定制限」については、「施設基準では医師以外の職種の指示の下に行なう業務はできないとされている点を明確にした上で、評価の充実を考えてはどうか」と説明、加点する意向を示した。
 退院時の薬剤指導等を追加して「病棟薬剤業務を充実させる」意味については、「評価の充実とするかは議論次第である」と引き上げも選択肢の1 つとした。これに、白川委員は「これは薬剤師の当然の業務。要件に加えることに留めるべきだ」と反対した。
 福井専門委員(日看協)は、「急性期看護補助体制加算の算定有無にかかわらず夜間急性期看護補助体制加算がとれるようにしてほしい」と要望。他方で、「13対1や15対1の夜勤時間は60時間台で推移している。緩和措置はいらない」と適用拡大に反対。夜勤専従者の夜勤上限144時間が廃止されたことにも言及、その復活を求めた。花井委員(連合)は「緩和措置は7対1・10対1についても廃止すべき」と主張した。
 万代委員は「緩和措置は72時間要件のみが満たせない病院に対する特例。ぜひお願いしたい」と実現を求めた。
 併せて、入院基本料から72時間要件を除く件について、「今回は緩和措置の適用拡大で仕方ないが、次々期の改定に向けて議論してほしい」と要請した。
 救急医療管理加算の要件の「他項目に準ずる重篤状態」の見直しについて、診療側は「これは問題。こうした状態像の内容分析を先行させるべきだ」(鈴木委員)と批判した。

12月11日●個別事項(6) 明細書の発行等

【論点】
□褥瘡対策 *個別事項(5)の続き
・特定日の褥瘡の患者数、院内発生患者数等の報告を求めてはどうか。DPCデータ提出病院には入退院時の褥瘡の状況を提出させてはどうか。
・訪問看護利用者の褥瘡状態のリスク評価について明確に規定、訪問看護ステーションに褥瘡患者の報告を求めてはどうか。
・在宅ですでに褥瘡が発生している患者にはチームによる褥瘡ケアを評価してはどうか。
□HCUの「重症度、医療・看護必要度」見直し *個別事項(5)の続き
評価方法を現行の「A項目3点以上またはB項目7点以上」から「A項目3点以上かつB項目7点以上」に変更するとともに、評価項目を一般病棟用「重症度、医療・看護必要度」の見直しを踏まえて修正、一定期間の経過措置や基準該当患者割合の緩和等を検討する。
□ICUにおける重症度の見直し *個別事項(5)の続き
・「A項目3点以上またはB項目3点以上」の評価を「A項目3点以上かつB項目3点以上」に変更、一定期間の経過措置の設置や、基準該当患者割合の緩和等を検討する。
□明細書の発行 *個別事項(6)
・電子レセプト請求が義務化されている400床未満の病院にも明細書の無料発行を義務づけてはどうか。
・明細書発行機能がないレセコンを使用しているなど、無料発行に対応できない「正当な理由」に該当する医療機関には、レセコン改修時期などを届出させてはどうか。
・明細書発行の費用について、1,000円を超える料金を徴収する場合は、料金設定の根拠等を提示することについてどのように考えるか。
□技術的事項 *個別事項(6)
◎喀痰吸引指示書について 略
◎遠隔モニタリングによる心臓ペースメーカーの指導管理料等について 略
◎胃瘻等について・胃瘻の造設前の嚥下機能評価の実施や造設後の連携施設への情報提供を推進するために、どのような評価を行なうか。
・一旦経口摂取不可とされた患者について、高い割合で経口摂取可能状態に回復させている医療機関における胃瘻閉鎖術や摂食機能療法の評価をどう考えるか。
◎画像診断管理加算画像の読影等を行なう外部の機関を利用した場合は、画像診断管理加算の評価の対象としないことにしてはどうか。
◎在宅自己腹膜灌流指導管理料算定患者の他院受診在宅自己腹膜灌流指導管理料を請求している患者は他の医療機関で人工透析を行なっても算定できないことを明確にしてはどうか。
【議論】
 診療側は、ハイケアユニット入院医療管理料と特定集中治療室管理料の重症度等必要度の基準変更に「激変過ぎる」と強く反対、再考を求めた。
 また、400床未満にも明細書発行を義務づける案には「200床未満は現行どおりとする」ことを提案。「レセコン改修時期などの届出」にも「改修時期の確定は容易ではない」と難色を示した。
 嚥下機能の評価に関しては、①胃瘻の造設前・造設後の嚥下機能強化、②在宅患者の嚥下機能強化、③胃瘻から経口摂取への回復に対する各評価を連携も含めて検討するよう求めた。