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「2020年代初頭までに25万人の介護人材確保」に向けた課題を確認

「2020年代初頭までに25万人の介護人材確保」に向けた課題を確認

【厚労省・医療部会】
医療と介護のデータベースを連結させる方針を確認

　６月３日に開催された社会保障審議会の介護保険部会（遠藤久夫部会長）は、「介護人材の確保」「介護保険総合データベース」をテーマに議論した。
　「介護人材の確保」に関して、厚生労働省は以下の課題認識を明らかにした。
　（１）2025年度の需要253万人に対する供給は215.2万人で、需給ギャップは37.7万人と見込まれる。
　（２）「介護離職ゼロ」に向けて、政府は2020年代初頭までに約25万人の介護人材確保を目指しており、「ニッポン一億総活躍プラン」には、EPAの活用を着実に進めるとともに、出入国管理法等の改正後に、その仕組みに基づく外国人の受け入れを積極的に進めていくとしている。
　（３）現場の業務負担の軽減を図るためには、ロボット・ICT等の技術を活用した生産性の向上、業務プロセスの見直し等による業務効率化や介護人材の専門性発揮等が重要である。
　（４）一方で、帳票等の必要性の精査や各種文書の見直しが必要である。また、介護人材の専門性発揮の観点から、標準的な介護業務の手順等を策定する必要がある。
　その上で、厚労省は三重県老人保健施設協会の「地域の元気高齢者を介護助手として活用する」取り組みを紹介、「介護助手」の導入を議論の素材の一つに取り上げた。神奈川県の小島誉寿福祉部長も「介護助手導入のモデル事業を今年度予算に計上した」ことを明らかにした。
　介護助手の試みに委員の多くは好意的に反応する中、「介護助手を活かすためにはしっかりしたマネジメントが必要だ。そうした人材をどう育てていくか」との指摘も出た。
　一方、ICT化に関しては、業務標準化の一環として、帳票類や申請・報告書等の縮減とともに様式の統一化を望む声が上がった。
　外国人の介護人材に関しては、「EPAはともかく、安い労働力になりかねない技能実習制度によって、我が国の介護人材の処遇が低下することにつながる懸念が拭えない」と警戒する声も出た。
　「介護保険総合データベース」について、佐原康之老人保健課長は、現状と課題を次のように説明した。
　（１）2013年度から運用を始めた介護保険総合DB（介護DB）は、この７月より、地域包括ケア「見える化」に向けたシステム構築へ、その活用が始まる。その内容は介護レセプトデータと要介護認定データ等からなる。
　（２）骨太方針2015は「要介護認定率や介護給付費の地域差を分析し、給付費の適正化に向けた取組を一層促す」ことを求めたが、法的義務となっていないため、要介護認定データを提供している保険者は1,361（約86％）にとどまっている。
　（３）介護DBには主傷病に関する情報がないため、傷病の違いによる介護サービスの提供状況の違いを分析することができない。
　（４）医療保険のNDBはデータの第３者への提供が行われているが、介護DBにはそのようなルールがないため、第３者提供を行っていない。
　（５）骨太方針2016は「医療・介護のデータを連結した分析や『見える化』を推進する」ことを求めている。
　以上を踏まえ、佐原課長は、①すべての保険者からデータを収集するためにはどうしたらよいか、②医療と介護のデータの連結と分析をどのように進めていくべきか、③介護DBを国や保険者以外が活用することについてどのように考えるか、という３点を論点に掲げた。