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厚労省が医療費適正化計画の計算式示す

厚労省が医療費適正化計画の計算式示す

【厚労省・医療保険部会】
入院医療費は病床機能の分化・連携を踏まえて推計

 厚生労働省は9月29日に開かれた社会保障審議会・医療保険部会(遠藤久夫部会長)に、第3期医療費適正化計画(計画終期は2023年度)に用いる医療費推計式の案を報告した。また、「高額療養費の見直し」や「後期高齢者の保険料軽減特例の見直し」について論点を示し、議論した。
 推計式は、第3期医療費適正化計画において医療費の見込みの推計に用いるもので、政府の社会保障制度改革推進本部に付設された「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」の医療・介護情報の分析・検討ワーキンググループで議論してきた。
 各都道府県の医療費適正化計画は、現在第2期計画(2013~ 2017年度)の期間中だが、2015年5月の医療保険制度改革法によって、計画期間が5年から6年に変更されたほか、計画を早期に策定した都道府県は2017年度から第3期計画の施行が可能となった。このため、厚労省は今年3月に医療費適正化基本方針を告示したが、適正化計画に盛り込む医療費目標については、地域医療構想などの取組みを踏まえた計算式を示すこととしていた。
 この日の医療保険部会に示された計算式によると、入院外医療費については、自然体の医療費見込みをたてた上で、①後発医薬品の普及(80%)による効果、②特定健診・保健指導の実施率の達成(70%・45%)による効果、③外来医療費の1人当たり医療費の地域差縮減を目指す取組みの成果を見込んだ推計とすることとしている。③は、糖尿病の重症化予防や重複投薬の適正化による効果をあげている。
 一方、入院医療費に関しては、病床機能の分化および連携の推進の成果を踏まえて2023年度の推計額を医療費として見込むことになる。すなわち、2025年の患者数推計に従って、病床機能4区分と在宅医療の別に医療費の見通しを出すわけだが、在宅医療等の増加分については、現時点で入院から在宅に移行する患者の状態像が不明であるとして、推計式から除外している。
 厚労省の報告に対して、栃木県知事の福田富一委員(発言は参考人)は、「地域医療構想が病床や医療費の削減を目的としていると受け止められないよう十分留意すること。また、都道府県が地域医療構想や適正化計画を策定する前に医療費見込みの数字を独り歩きさせ、策定に向けた議論の妨げになったり、策定後において関係者に対して義務づけを強化することがないよう強く要請する」と注文した。また、日本医師会副会長の松原謙二委員は「推計式は机上の空論でしかない。もっと現場の声を聞いていただきたい」と批判した。
70歳以上の高齢者の負担が論点に
 「高額療養費の見直し」や「後期高齢者の保険料軽減特例の見直し」は、骨太方針や経済・財政再生計画で検討が求められているもの。
 厚労省は世代間の公平や負担能力に応じた負担の観点から、70歳以上の高額療養費の自己負担限度額を引き上げる方向で見直すことを提案した。これに対し、健保連の委員が賛意を示し、具体案の提示を求めた。
 一方、日本医師会の松原委員は「弱い立場の高齢者の負担を増やすことには反対だ」と発言した。

全日病ニュース2016年10月15日号 HTML版

 

 

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