全日病ニュース

医療機関の管理者権限の明記で反対意見

【厚労省・医療部会】
議論の進め方が乱暴

　社会保障審議会・医療部会（永井良三部会長）は12月８日、大学附属病院等のガバナンス改革などをめぐり議論した。厚生労働省が大学附属病院等に限らず、すべての医療機関を対象に、「管理者が医療機関の管理運営権限を有する」と医療法に明記することを提案。これに対し多くの委員から、「特定機能病院に限るべきだ」「議論の進め方が乱暴」との意見が相次いだ。また、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」に対しても、厳しい指摘が多く出た。
　大学附属病院等のガバナンス改革は、東京女子医科大学や群馬大学で起きた重大な医療事故を踏まえ、高度な医療安全管理体制の確保を目的とする。今回、厚労省は「大学附属病院等のガバナンスに関する検討会」の報告書を受け、医療法の改正事項を示した。具体的には、①特定機能病院は高度な医療安全管理体制の確保が必要②管理者が医療機関の管理運営権限を有する③特定機能病院の開設者は管理者による医療安全管理等の体制確保に責任を有する─の３点を明記することを提案した。
　このうち②は特別機能病院だけでなく、すべての医療機関を対象とする規定として示した。患者代表の委員が指摘して初めて気がついた委員も多く、明確な説明がなかったことに、厚労省への不信感を表明する意見が出た。西澤会長は、「前回の検体検査のときと同じで、議論の進め方が乱暴」と述べ、大学附属病院等のガバナンス改革とは別の議題で、論点を提出すべきとした。
　また、病院運営の権限をめぐり、混乱が生じることを懸念する意見も出た。
　厚労省は「特定機能病院に限った規定にすると、法制上の問題が生じるおそれがあり、すべての医療機関を対象にした」と説明。法制上の取扱いを精査した上で、改めて提案するとした。
　また、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の開催状況の報告があり、委員から厳しい指摘があった。当初、「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」が年内に「強力な医師偏在対策」をまとめる予定だった。しかし、働き方ビジョン検討会の発足で医師需給分科会は開かれず、結論は来年に持ち越された。また、医師需給をめぐる議論の進め方や役割分担が不明確になっている。医療部会と医師需給検討会を兼任する委員からは、「納得していない」との声があがった。
　社保審・療養病床の在り方等に関する特別部会の「議論の整理」については、特に異論はなく、了承された。