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基礎係数Ⅲ群を細分化し、医療機能で評価

基礎係数Ⅲ群を細分化し、医療機能で評価

【中医協・DPC分科会】
機能評価係数Ⅱの重み付け変更を検討

 中医協の診療報酬調査専門組織・DPC 評価分科会(小山信彌分科会長)は2月9日、次期診療報酬改定に向け、医療機関別係数の議論を行った。
 DPC 対象病院を区分する基礎係数のうち、Ⅲ群を細分化する方向で議論が進んだ。細分化については、地域医療に貢献する機能や特定の診療領域に特化した機能に応じ、評価の重み付けを変更した機能評価係数Ⅱを設定し、医療機関が選択できるようにする案が出た。基礎係数Ⅰ~Ⅲ群の名称変更でも、ほぼ一致した。
基礎係数Ⅲ群の細分化を議論
 DPC 制度の医療機関別係数のうち、①基礎係数(医療機関群)②機能評価係数Ⅱ③調整係数をテーマに議論した。
 基礎係数はⅠ群(大学病院本院)、Ⅱ群(Ⅰ群に準じる病院)、Ⅲ群(その他)がある。Ⅲ群が病院数では大部分を占める。Ⅱ群は診療コスト(包括点数に対する包括範囲出来高点数の割合)を反映させる観点で、要件を設定。
 厚労省は、◇Ⅰ群、Ⅱ群の要件は現状を維持◇Ⅲ群等は設定に関し分析が必要◇ DPC 対象病院が自ら医療機関群を選定◇役割や機能が分かりやすくなるよう名称を変更─を論点とした。
 厚労省の論点に対し、委員から反対はなかった。その上で、Ⅲ群を細分化した場合に、どのような機能評価係数Ⅱを設定するかに議論が及んだ。具体的には、地域医療に貢献する機能や特定の診療領域に特化した機能、総合的な診療を担う機能などを評価すべきとの意見が出た。これらの機能に応じ、評価の重み付けを変更した機能評価係数Ⅱの設定を検討する。
 ただⅢ群の細分化に関しては、これまで議論があったが、実際に機能を分けるのは困難で見送ってきた経緯がある。また、委員から「選べるようになるのはよいことだが、どれを選ぶかは事前に経営への影響を試算する必要がある」との要望が出た。しかし厚労省は、「(経営的にどちらが有利かを判断する前に)DPC 対象病院としての機能をまず決めてもらう」と回答した。
基礎係数Ⅰ~Ⅲ群の名称は変更
 基礎係数の名称は、変更すべきとの考えで一致した。Ⅰ~Ⅲの名称だと、病院を「格付け」しているように受け取られる可能性があるので、機能に応じた名称を考える。ただ同日は、具体的な案は出なかった。「当初からⅡ群の病院と、出たり入ったりする病院がある。前者を分析すれば、適切な名称が出てくる」との意見が出た。
 機能評価係数Ⅱについては、機能の違いを表現するための項目の見直しや重症化係数の位置づけなどが議論された。委員からは、評価の重み付けに関し、「満点を取る必要はない。何かが上がれば何かが下がる。百貨店方式ではなく、専門店がいくつか集まるテナント方式でやるべき」との意見が出た。
 機能評価係数Ⅱは現在、◇保険診療係数◇効率性係数◇複雑性係数◇カバー率係数◇救急医療係数◇地域医療係数◇後発医薬品係数◇重症度係数の8項目がある。厚労省は、「後発医薬品係数」について、「多くの施設が上限値に達し一定の役割を終えた」と判断。機能評価係数Ⅰでの評価を提案した。委員から反対はなかった。
調整係数の目的と内容を検証
 調整係数は段階的な廃止の過程にあり、機能評価係数Ⅱへの置換えが進んでいる。2016年度改定で当初の25%となり、2018年度改定で全廃する予定だ。
 ただ従前の収入を保障する調整係数が縮小すると、医療機関の経営に影響が及ぶことも考えられる。激変緩和措置も講じているが、2016年度改定では、別途、重症度係数を設けた。
 重症度係数に対しては、「公平な評価とするためには、効率化が働く仕組みにする必要がある」との意見が相次いだ。厚労省は、「係数設定の目的とその内容を検証した上で、名称変更や他の係数との整理等を検討すること」を論点とした。
 同日の議論では、現行の調整係数を予定通り2018年度に廃止することに、異論は出なかった。激変緩和措置についても、内容の検証を進める。また、診断群分類で患者の重症度を評価するため、2016年度改定で部分的に導入したCCP マトリックスの拡大とあわせた検討が必要との意見も出た。

 

全日病ニュース2017年3月1日号 HTML版

 

 

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    労省はまた、機能評価係数Ⅱの8項目に関する医療機関別の係数内訳と、同係数の
    うちの地域医療係数に変換される前の相対評価 ... 8項目のうちの重症度係数をみると、
    群別の最高値は、Ⅰ群が0.01744、Ⅱ群が0.02027、Ⅲ群が0.01528となった。 ... Ⅲ群
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    2015年11月1日 ... Ⅲ群病院における「基礎係数と係数Ⅱの重み付けの見直し」は先送り|第858回/
    2015年11月1日号 HTML版。21世紀の医療を考える「全日 ... さらに、同日と10月26日
    の会合で機能評価係数Ⅱに関する議論も大筋で終え、16年度改定における見直しの
    方向性で概ね合意に達した。細部の詰めと残る検討課題の議論を11月半ばまでに終え
    て診療報酬問題基本小委員会に報告、以後の議論を中医協総会に委ねる。

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