全日病ニュース

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エビデンスの蓄積など在宅医療推進の重点分野示す

エビデンスの蓄積など在宅医療推進の重点分野示す

【厚労省・在宅医療WG】
西澤会長が全日病の在宅医療の取組みを報告

 厚生労働省の「全国在宅医療会議ワーキンググループ」(新田國夫座長)は3月1日、在宅医療を推進するために取組むべき重点分野として、①在宅医療に関する医療連携や普及啓発モデルの収集②客観的データに基づいたエビデンスの蓄積─の2点を案として示すことを確認した。3月中旬に開く全国在宅医療会議に報告する。あわせて、重点分野の取組みに関する関係者の役割を整理するとともに、全日病を含む関係団体の取組み事例を紹介した。
 全国在宅医療会議は、在宅医療の推進に向け、関係者が参集して知見を共有。連携して実効性のある活動を目指すもの。WG はそのための重点分野を3回にわたって議論した。特に、在宅医療における医療連携とエビデンスの蓄積に関して、様々な意見があった。
 医療連携に関しては、大規模化した在宅医療専門の診療所が中心となる医療連携モデルについて、関係者からヒアリングを行ったが、こうしたモデルを進めることに日本医師会の委員から反発が出た。このため重点分野案では、在宅医療と入院、外来医療が対立することなく、「相互に補完しながら生活を支える医療」であることを強調。国民が在宅医療の「長所と短所を理解し」、選択できる環境整備が重要であると記載した。
 在宅医療のエビデンスの蓄積に関しては、◇疾病の進行や治療等、患者がたどるプロセス等の研究◇在宅医療に適した患者の状態、環境条件等の研究◇在宅医療のサービスの有効性、手法の標準化の研究─を重点的に進める必要があるとした。研究では、学術団体が中心的な役割を果たすが、計画段階から関係団体と密接に連携し、現場の理解を得るよう努めることが必要とした。また、日本老年医学会が「在宅医療診療ガイドライン」を作成中であることを紹介した。
 関係団体の在宅医療の取組み事例として、日本医師会、全日本病院協会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、日本介護支援専門員協会、日本老年医学会、国立長寿医療研究センター、厚労省の資料が配布され説明があった。
 全日病会長の西澤寬俊委員が全日病の取組みを説明。医療連携、普及啓発モデルに関して、◇高齢者医療研修会◇病院医療ソーシャルワーカー研修会◇病院職員のための認知症研修会◇看護師特定行為研修─を実施していることを報告。
 エビデンス蓄積に関しては、老人保健健康増進等事業の研究事業として、◇医療機関と連携した在宅療養支援における情報提供・情報共有の実態把握および地域包括的な情報システムのあり方の調査◇サービス付き高齢者向け住宅における介護・医療ニーズへの対応能力に関する評価手法に関する調査研究─などを紹介した。
 また、西澤委員は、地域における医療・介護連携においてネットワーク構築、情報共有、多職種連携支援を円滑に進めるために、2013年11月に四病協で提言した「地域医療・介護支援病院」のような病院が各地域にあることが望ましいと主張した。こうした病院が軸になることで在宅医療や地域連携がさらに進んでいくと述べるとともに、その一例として、在宅療養支援病院である社会医療法人恵和会・西岡病院(札幌市)を拠点とした在宅医療連携の仕組みを紹介した。

 

全日病ニュース2017年3月15日号 HTML版

 

 

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