全日病ニュース

がん対策の全体目標に｢予防｣｢治療｣｢共生｣の３点盛り込む

【厚労省・がん対策推進協議会】
受動喫煙対策で塩崎大臣に意見書

　がん対策推進基本計画見直しの議論を進めてきたがん対策推進協議会（会長＝門田守人堺市立病院機構理事長）は２月23日の会合で、「受動喫煙完全防止に向け、建物内禁煙を基本とした実効性のある法的措置を講じることを求める」意見書を塩崎厚生労働大臣に提出することで一致。同日、６人の委員が塩崎大臣に意見書を手渡した。
　厚生労働省は、罰則規定を設けて飲食店などの原則禁煙を義務化する健康増進法の改正案を今国会に提出する方針だが、自民党の一部に反対論が根強く、例外規定を求める動きがある。患者とがん医療関係者等からなるがん対策推進協議会は、規制が無力化されることを懸念し、「特にがん予防の観点から」意見書を大臣に提出したもの。
　この日の協議会は、前回までの議論で積残しになっていた「（がんリハビリを含む）チーム医療」「病理診断」「医薬品・医療機器の早期承認に向けた取組み」に関して意見交換し、個別テーマの検討を終えるとともに、とりまとめに向けて、次期基本計画の全体目標に関する議論に着手した。
　がんのリハに関しては、急性期病院後、特に在宅移行後にリハを受療する体制、および紹介等の連携体制が整っていないことが指摘された。病理診断をめぐる議論では、病理診断の標準化とともに、今後主流になると予想されるゲノムを踏まえた検診や病理診断、さらには、そうした流れに治験や早期承認をどう対応させていくべきかといった問題をめぐって意見を交換した。
　全体目標では、｢予防｣「治療」｢共生」の３点を掲げる方向で合意した。また、次期基本計画の理念・目標を概括したスローガンを設ける提案があり、次回に具体案を論じることで一致した。
　2017～ 21年度を期間とする第３期がん対策推進基本計画は、当初、３月に諮問・答申を行い、６月に閣議決定する予定だった。しかし、がん対策基本法の改正が12月に成立した影響から、議論が遅れている。改正がん対策基本法は、企業にがん患者の雇用継続への配慮を求めるほか、国や地方公共団体にがん教育の推進を求めている。
　患者団体は、法改正に対応して、第３期計画に、①難治がん、希少がん、小児がんに関する研究・対策の推進②がんの支持療法に関する研究・対策の推進③がんに関する教育の推進─などの課題を盛り込むよう求めている。