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専門医制度の新整備指針運用細則を承認

【日本専門医機構】
総合診療専門医のプログラムも大筋合意

　日本専門医機構（吉村博邦理事長）は３月17日に会見を開き、同日の理事会で専門医制度新整備指針の運用細則を承認したことを発表した。地域医療に十分に配慮しつつ、各領域学会の自主性と責任を重視し、柔軟な運用を行うという新整備指針の理念を担保する細則となっている。また、焦点の総合診療専門医のプログラム案も一部に詰めの作業を残しているものの、大筋で合意した。
　運用細則では、前回の理事会までに了承されていた事項に加えて、研修プログラム制と研修カリキュラム制の関係などを新たに整理した。研修プログラム制は、決められたカリキュラムの下で、到達目標と計画を定め、専門医資格取得までの全過程を教育する仕組み。基本的に、中断はできない。これに対し、研修カリキュラム制は、教育課程の中断があっても、最終的に到達目標に達すれば、資格受験の資格が得られる。
　運用細則は、「１つ目の専門医取得における専門研修では、原則として研修プログラム制の研修とする」と明記。ただし一定の理由があれば、教育レベルが担保されることを条件に、「専門研修カリキュラム制を可能とする」とした。カリキュラム制を認める際の理由としては、①卒業後に、（へき地医療などの）義務年限を有する医科大学卒業生に必要と考えられる場合②地域医療に資することが明らかな場合③その他、出産、育児、留学など合理的な理由がある場合─をあげた。
　地域医療への配慮など、その他の運用細則の事項については、これまでに合意した内容を明記している。
　基幹施設の認定基準は、過去５年間の専攻医採用実績が350名以上の基本領域学会（現時点では、内科、小児科、精神科、外科、整形外科、産婦人科、麻酔科、救急科）については、原則として都道府県ごとに複数の基幹施設を置く基準とする。専門医施設群の地理的範囲は、都道府県をまたがる施設群を可能とするが、原則、基幹施設と隣接した地域とする。遠方の病院と連携する場合は、十分な根拠を求める。
都市部への専攻医の集中を防ぐ
　専攻医の都市部への集中を防ぐ対策としては、５都府県の各基本領域学会専攻医総数の上限を、原則、過去５年間の専攻医採用実績の平均値を超えないようにする。５都府県は、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡。「医師の全国数に対する割合が５％以上」を基準にした。ただし医師数が減少している外科、産婦人科、医師数自体が少ない病理、臨床検査は除外する。また、「ダブルボード」は、研修プログラム制と研修カリキュラム制のいずれもでも可能とする。
　総合診療専門医のプログラムも概ね決まった。内科、救急科、小児科、在宅を含む総合診療の研修を必須とする。
　１年目に内科を１年、救急科と小児科を３カ月ずつで１年半。その上で、「中小病院・診療所での在宅診療を半年～１年」と「大学病院等の総合診療を半年～１年」を合わせて、１年半以上とする。合計で３年以上となる。また、臨床研修で外科を受けていない場合は、外科研修を行うことが望ましいとした。ただ外科研修を必須とすべきとの意見が一部にあり、詰めの作業が残っている。