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基礎係数Ⅲ群病院の細分化は行わない

基礎係数Ⅲ群病院の細分化は行わない

【中医協・DPC 分科会】
Ⅰ、Ⅱ群病院の係数の重み付けは変更

 中医協の診療報酬調査専門組織・DPC 評価分科会(小山信彌分科会長)は3月31日、次期診療報酬改定に向け、DPC 制度の医療機関別係数の対応方針を議論した。基礎係数Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ群の設定はこれまで通り維持し、Ⅲ群の細分化は行わない考えで一致した。
 また、厚生労働省はⅠ群、Ⅱ群の機能評価係数Ⅱのうち、「複雑性係数」や「カバー率係数」の重み付けを上げる方針を示した。調整係数は予定通り次期改定で廃止することを改めて確認した。
 基礎係数は、現行の設定を維持する方向だ。ただ名称の変更が課題となっている。Ⅱ群がⅢ群よりも「高機能な病院」と誤解されることがないよう、格付け的な意味合いはなく病院の役割や機能に応じた違いであることを明確にする。厚労省は、Ⅰ群を「大学病院本院群」、Ⅲ群を「標準群」とする案を示した。Ⅱ群の名称は示さなかった。
 Ⅰ群を「大学病院本院群」とすることに委員から異論は出なかったが、Ⅱ群・Ⅲ群の名称について意見があった。
 具体的には、「DPC 制度なので急性期という言葉は入った方がよい」、「Ⅱ群はDPC 対象病院の中で、特定の要件に該当するという意味なので、そのまま表現すれば特定要件該当病院だ」などの意見があり、結論は出していない。
 基礎係数の要件が定まった場合に、病院がどれを選択するかの取扱いが論点となった。例えば、「Ⅱ群の要件に該当するが、Ⅲ群を選択する場合」が想定される。委員からは、「選択」は望ましくないとの意見が相次いだ。全日病副会長の美原盤委員は、「機能と名称は表裏一体。機能としての要件を定めれば自動的に名称が決まる性格のもので選択はそぐわない」と発言した。
 前回の分科会では、機能評価係数Ⅱの重み付けを変えることで、Ⅲ群の細分化を検討する方向で議論が行われた。しかし今回、厚労省は、細分化を行っても「病院の特性をより反映させた評価につながらない可能性がある」とした。Ⅲ群を専門病院とその他病院に分けると、専門病院では「複雑性係数」や「効率性係数」がその他病院より高い。しかし専門病院だけ集めて、相対評価を行えば、逆に係数が下がる病院が出てくる。細分化は技術的な難しさがあることに加え、機能を評価することの効果も限られることを説明した。
 美原委員は、「細分化すれば、DPC制度はますます複雑化し、適切ではない。現行の機能評価係数Ⅱはバランスがとれている」と細分化しないことに賛成した。ただし「カバー率係数や効率性係数、地域医療係数は満たすのが大変。後発品係数と等分の評価はおかしい」と主張した。
 機能評価係数Ⅱのうち、導入時の6項目(保険診療、効率性、複雑性、カバー率、救急医療、地域医療)は今後も基本的に維持する方向となった。一方、「後発医薬品係数」と「重症度係数」は見直しを行う。「後発医薬品係数」に対しては、「多くの病院が要件を満たし、役割を終えた」との意見と「廃止すれば『はしご外し』といわれる」と賛否両論があった。「重症度係数」に対しては、「病院の努力が報われる仕組みにしてほしい」との意見が出た。
 調整係数については、予定通り次期改定で廃止することに異論は出なかった。ただ激変緩和措置に関しては、きめ細かな対応が必要とされた。

 

全日病ニュース2017年4月15日号 HTML版

 

 

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