全日病ニュース

拠点病院制度を軸とするアレルギー医療の体制を提案

【厚労省・アレルギー疾患医療に関する検討会】

　厚生労働省は「アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会」を設置し、４月20日に初会合を開いた。
　 ３月21日に告示された「アレルギー疾患対策にかかわる基本指針」により、アレルギー疾患医療提供体制のあり方が課題とされたことを受けて、設置された。
　アレルギー疾患の患者は約20年で２倍に増加しており、今や国民の２人に１人が何らかのアレルギー疾患をもっていると言われている。しかし、専門医が少ないことから標準的な医療が受けられない患者が多い上に受療機会の地域格差が大きいなど、多くの課題が指摘されてきた。
　このため、「アレルギー疾患対策基本法」が議員立法によって2014年６月に成立し、2015年12月25日に施行された。厚労省は同法に基づいてアレルギー疾患対策推進協議会を2016年２月に設置。協議会は、同年12月に「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針案」をまとめ、これを踏まえて基本指針が告示された。今回の検討会で、アレルギー疾患医療提供体制の枠組みを固め、2018年度からの新医療計画に盛り込みたいとしている。
　具体的には、「中心拠点病院」―「県拠点病院（群）」からなる拠点病院制度を構築することによって、標準診療の確立・普及と研究・研修、さらには情報提供・患者相談各体制の確立を図り、これをテコに一般病院・診療所との連携体制を整える方向を考えている。
　事務局の健康局がん・疾病対策課は、「提供体制の在り方に関するガイドライン」をまとめる意向を表明。６月末までの３回でガイドライン案をとりまとめるよう要請した。
　厚労省が提示したイメージによると、アレルギー疾患医療提供体制の枠組みは、およそ以下からなる。
　（1）国立成育医療研究センターと国立病院機構相模原病院を「中心拠点病院」とする。
　（2）各都道府県に１～２ヵ所の「県拠点病院（群）」を設けるとともに、これら医療機関で「全国拠点病院連絡会議」を組織して、情報の共有等を図る。
　（3）「県拠点病院（群）」は、アレルギー疾患に関する情報の提供、患者からの医療相談への対応、初期臨床研修医への指導、専門医および専門的コメディカルの育成、アレルギー診療連携登録医（仮称）の研修会、臨床研究の推進等を担う。