全日病ニュース

全日病ニュース

医療療養病床25対1は6年の経過措置が必要

医療療養病床25対1は6年の経過措置が必要

【中医協総会】
リハビリや退院支援、看取りの評価も検討課題に

 中医協総会(田辺国昭会長)は4月26日、次期診療報酬改定に向けて療養病棟入院基本料について議論した。
 介護療養病床の受け皿施設の創設を盛り込んだ介護保険法改正案が国会で審議されている中で、医療療養病床25対1の取扱いが課題となっている。
 診療側は介護療養病床と同じく、6年の経過措置の中で、今後の取扱いを考えることを主張。支払側は介護施設などへの転換を前提に経過措置を設けるべきとした。療養病棟における高齢者のリハビリテーションや退院支援、看取りの充実の評価も今後検討する。
医療療養2の5%減算の問題指摘
 2016年度改定で療養病棟入院基本料に対して、厳しい見直しが行われた。医療区分3の酸素療法、医療区分2の頻回の血糖検査、うつ症状の判断が厳格になった上に、療養病棟入院基本料2(25対1)で医療区分2・3の患者が5割以上であることが要件になった。ただし5割以上を満たせない場合は、2018年3月末まで5%減算の診療報酬で算定できることになった。
 一方、介護療養病床は2018年3月末までが期限となっており、その受け皿となる施設の新設を盛り込んだ法案が国会で審議されている。医療療養病床についても、同時期に6対1(30対1)の経過措置が切れ、医療法施行規則の看護配置の本則4対1(20対1)が基準となるため、医療と介護の療養病床の転換が想定されている。
 しかし、医療法施行規則の4対1の規定と診療報酬上の20対1の要件は異なる。診療報酬は病棟単位だが、医療法施行規則は他の病棟や外来を合わせた病院全体であるため、病棟単位で診療報酬の20対1の要件を満たさなくても、4対1を満たすことはあり得る。このため25対1の廃止は必然ではなく、取扱いが注目されている。
 今回、診療側から出た意見は介護療養病床の経過措置が6年間になる予定であることに合わせて、25対1の取扱いは、今後6年間で考えていくことを求めるものが多かった。全日病副会長の猪口雄二委員は、「6年間の経過措置は必要。現場が迷わない対応が求められる」と主張した。また、猪口委員は、5%減算について、「実際は加算等が算定できなくなるので5%以上の影響がある。前回改定時に中医協では議論されず、通知が出て明らかになった。今後はそのようなことが起こらないようにしてほしい」と要請した。
 これに対し支払側の委員は、「25対1は基本的にはなくすべき」と発言。
 「まずは転換の意思決定をして、その上で経過措置を設けるべき」と主張した。また、「療養病棟入院基本料は、基本的に包括評価であるのに、加算が多くわかりにくい。次期改定では、リハビリや在宅復帰でアウトカムの評価を設ける方向で議論すべき」とした。
 なお、2015年3月時点で、介護療養病床は6.3万床。最初に廃止の方針が決まった2006年3月から5.9万床の減少となっている。医療療養病床は27.7万床で、逆に同期間で1.5万床増加している。合計では34万床となる。
療養病棟の看取りの評価求める
 厚労省が示した療養病棟の現況をみると、◇平均在院日数は147日でやや減少傾向◇病床利用率は88.5%で高水準だが、やや減少傾向◇死亡退院の割合は25.2%で増加傾向(2015年)。医療機関数、病床数とも民間による開設が9割であり、次いで公立である。都道府県別の届出病床数は「西高東低」で、西日本の病床数が多いことも改めて示した。ただこれに関しては、診療側から「介護施設を含め、総合的に地域の状況を判断する必要がある」との指摘が出た。
 職員の配置状況では、療養病棟入院基本料1・2のいずれも、基準より多くの看護職員を配置している(2015年度)。「1」では看護職員1人当たりの稼働病床数は平均3.3床、「2」でも3.9床で、基準の4.0床を上回っている。
 高齢化に伴い80歳以上の割合が増加しており、6割を超えている。疾患別でみると、認知症は横ばいだが、悪性新生物、骨折、呼吸器系の疾患が微増傾向にある。また、退院支援スタッフが配置されている病棟では、配置されていない病棟より、在宅復帰率が高いという結果が出ている。「1」では死亡退院の割合が高く4割を超えている。
 個別に看取り計画を立てている療養病床は35%。猪口委員は、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」などを踏まえた看取りの評価について議論を求めた。
 また、2015年医療経済実態調査から、医療法人の経営状況を損益差額でみると、「1」で5.5%、「2」で▲ 1.1%となっている。

 

全日病ニュース2017年5月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 医療法施行規則等の一部を改正する省令の施行について

    http://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2012/120402_4.pdf

    医療計画における米看雲量エ子中疾患の取扱し丶及び療養病床等に係る経過措置
    つしゝて ... 医療法施行規則の一部を改正する省令(平成ー 8年厚生労働省令第ー 3 3
    号。 ... 特定介護療養型医療施設又は看護師等の員数が規則第 2 ー条の2第2項ー.

  • [2] 「地方自治法施行令の一部を改正する政令」等の施行について(厚生 ...

    http://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2017/170405_1.pdf

    2017年3月31日 ... これに伴い、本日付けで地方自治法施行令の一部を改正する政令 (平成29年政令第82
    . 号。以下「改正 ... 病床設置の届出の受理、病床数等の変更の届出の受理、療養病床
    を有する診療所の. 人員及び ... 第三施行期日及び経過措置 ... 春え後の医療法施行
    第3条の3後段及び第4条第2項後段の規定は、適用しない. こと。

  • [3] Page 1 社保審ー介護給付費分科会 療養病床再編成に伴う介護報酬等

    http://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2006/20060628.pdf

    2006年6月28日 ... これを踏まえ、医療法施行規則の改正及び診療報酬における介護保険移行. 準備病棟
    ... 法1. 6 m以上) とする。 介護老人保健施設における経過措置. ○ 介護療養型医療
    施設及び医療療養病床から転換した介護老人保健施設に. ついては、.

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。