全日病ニュース

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2017年度調査の結果は9月以降に公表

2017年度調査の結果は9月以降に公表

【中医協・入院医療分科会】
給食部門の収支調査で様々な指摘

 中医協の診療報酬調査専門組織・入院医療等の調査・評価分科会(武藤正樹分科会長)は4月27日、厚生労働省から2016年度診療報酬改定の結果を検証するために実施する2017年度調査項目案およびスケジュールについて説明を受けた。6~7月に調査を実施し、9月以降に速報値を公表する。調査項目案に対しては、委員から指摘があり、修正した上で調査を実施する。
 2016年度改定の結果検証は、主に診療報酬改定結果検証部会で行うが、入院医療については同分科会が「技術的な観点から検討を行う」ことになる。調査を2016年度と2017年度に分けて行うのは、1年間の長期の経過措置を設けている項目があり、経過措置終了後の状況を把握する必要があるためだ。
 2017年度に実施する調査項目は、表1の通り。「経腸栄養用製品を含めた食事療養の給付」は、調査手法を別途検討することになっていたため、今回厚労省が調査の概要を示した。
 胃瘻患者などに対する経腸栄養用製品(流動食)は、医薬品として薬価収載されている流動食と食品として市販されている流動食がある。2016年度改定では、市販の流動食のみを経管栄養法で提供する場合の入院時食事療養費等の額を1割程度引き下げた。さらに、流動食のみを経管栄養法で提供する場合は、特別食加算を廃止した。
 調査では、2015年6月と2017年6月の各1カ月の収支の状況を調査する。DPC 対象病院50施設、それ以外の病院50施設の計100施設で行う。
 「病院の給食部門における収支の状況」も調査する。介護保険事業の収入のない全国の800医療機関を対象とし、そのうち8施設程度に「給食部門における光熱水量の実測調査」を行う。委員からは、「給食部門の収支状況の調査は10年ぶりで貴重なデータになる」との意見が出たが、「回答のマニュアルがないと、(回答に誤差が生じ)奇妙なデータになる可能性がある」、「給食の外部発注の有無や、急性期と慢性期で状況は大きく異なる」など、正確な結果が出るかを懸念する意見が相次いだ。
 社会医療法人財団薫仙会理事長の神野正博委員は、「栄養サポートチームの加算などはどこの収入に該当するのか」と質問し、厚労省は「医科点数は給食部門の収支には入らず、医業収入」と回答した。厚労省は、この日の指摘を踏まえ、質問項目の趣旨を明確にするとともに、病院の特性に応じた収支状況が把握できるよう対応するとした。
 2016年度調査の回収状況も明らかになった。調査対象の6,731施設のうち、2,202施設が回答。回答率は32.7%だった。一般病棟や療養病棟、有床診療所などの区分での回答率は、28.4~35.5%の分布であり、大きな差は生じていない。2016年度調査の結果は、5月中に速報値が報告される予定だ。

表1 2017年度の調査項目(案)
①一般病棟入院基本料・特定集中治療室管理料における「重症度、医療・看護必要度」等の施設基準の見直しの影響について(その2)
②短期滞在手術基本料および総合入院体制加算の評価の在り方について
③救急患者の状態を踏まえた救急医療管理加算等の評価のあり方について
④療養病棟入院基本料等の慢性期入院医療における評価の見直しの影響について(その2)
※経腸栄養用製品を含めた食事療養に係る給付については、別途検討する。