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健保連「薬価改定分は診療報酬本体引上げの財源とするべきではない」

▲国民会議会長の清家篤慶應義塾長(右から2人目)

健保連「薬価改定分は診療報酬本体引上げの財源とするべきではない」

【社会保障制度改革国民会議】
委員 疾病ごとの効果的な治療と医療機関のアウトカム比較はできないか

 4月4日に開催された社会保障制度改革国民会議は、健保連、協会けんぽ、国保中央会、後期高齢者医療広域協議会の保険者4団体を招き、医療・介護の現状と改革課題に関する意見を聞いた。
 意見聴取で、健保連を除く団体は医療保険制度枠内の制度改正等課題と取り上げたが、ひとり健保連は、医療提供体制と介護給付を含む全領域におよぶ改革課題を提示した。
 具体的には、「負担と給付の見直し」に関しては、①70歳以上の全高齢者は原則2割負担とする、②一般用医薬品に代替可能な医療用医薬品を保険給付から除外することなどを、「医療費の適正化」については、③薬価改定分は診療報酬本体の引上げ財源とせずに国民に還元すること、④費用対効果評価を導入して保険収載判断や報酬・価格へ反映させること、⑤番号制度の医療分野における利活用などを提案した。
 さらに、「医療提供体制の効率化と重点化」という課題には、これまでも主張してきた「病院・病床と外来の機能分化・連携の強化」「平均在院日数の短縮」に加え、①「総合診療医」の早期養成、②基準病床数の算定方法見直しなどによる病床数の削減、③高額医療機器の計画的な配置や共同利用、④終末期医療における医療従事者と患者・家族の話し合いに係る診療報酬上の評価など一歩踏み込んだ諸課題に言及、その検討の必要を論じた。
 国民会議の委員からは、とくに、レセプト等データ活用の可能性に関する意見が相次いだ。それは、どういう診療行為が疾患の治療に有効か、したがって医療費の効率化に寄与するか、あるいはどういう医療機関が診療アウトカムや医療費の上で実績を有しているかを、データから導けないかという問題意識で、永井委員(自治医科大学学長)、西沢委員(日本総合研究所調査部上席主任研究員)、遠藤委員(学習院大学経済学部教授)、大島委員(国立長寿医療研究センター総長)などが、データ活用の制約を乗り越えつつ、こうした方向の検討を進めるべきといった意見を述べた。
 国民会議は次回会合を通常の倍の4時間とり、そのうち3時間をかけて、数名の委員がそれぞれ改革の方向性を論述した上で集中討議を行なう。残りの1時間はインターネット中継をやめ、非公開の議論とした上で、医療・介護に関する一定の意見集約を試みる予定だ。