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厚労省 新たな医療機能案は4区分。「亜急性期」という呼称を止める

厚労省
新たな医療機能案は4区分。「亜急性期」という呼称を止める

【病床機能情報の報告制度】
「病期とともに診療密度や施設の体制等も機能区分の因子」

 

 7月11日に1ヵ月半ぶりに開催した「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」に、事務局(厚労省医政局総務課)は、病棟単位で報告する医療機能の区分に関する前回までの考え方を修正した案を示した。
 修正された内容は要旨以下のとおり。
 (1)各医療機関が報告する上で選択対象となる病棟(一般病床と療養病床)の主たる機能は、急性期、「亜急性期(呼称は検討中)」、回復期リハビリテーション、長期療養の4区分からなる。
 (2)前回示した「地域多機能」という区分は、複数の医療機能を持ち、幅広く対応するという点で「亜急性期」と類似している上、地域多機能は都市部でも必要なことから、地域性の限定を外して1つにする(地域性等を加味した医療機能のあり方は、医療機関からの報告内容を分析した上で検討する)。
 (3)これまで提案してきた「亜急性期」は、①在宅等の急性増悪を含む診療密度が比較的軽度の急性期患者への対応、②急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療の提供など、幅広い患者に対応する複合的な機能を表わすものであるため、病期概念としてはポストアキュートである「亜急性期」という呼称は止め、適切な呼称を検討する。
 「亜急性期」については、検討会の中で「急性増悪の在宅患者等をみるのは急性期であり、ポストアキュートである亜急性期に位置づけるのはいかがか」などの異論が示されていた。
 この日の検討会で、事務局は、この疑問に対する回答として「患者の病期と報告制度における病棟の医療機能の違い」を次のように説明。提供体制を考える上で、病期とともに診療密度の違いや施設の体制も重要な視点になるという見解を示した。
 (1)患者の病期と報告制度の医療機能(病棟)は考え方が異なる。医療機能の区分は、患者の病期だけでなく、提供される医療の密度や有する体制等も勘案して定めるべきである。
 (2)機能によって必要な医療資源は異なるため、効率的な提供体制を構築するためには、機能に応じた医療資源を適切に投入することが必要。仮に、患者の病期のみで機能を区分すると、医療密度が異なるものが同じ区分に位置付けられることになる。
 (3)例えば、在宅等の高齢者がかかりやすい軽症の肺炎、脱水、尿路感染症等は、病期上は急性期であるが、脳梗塞、急性心筋梗塞、劇症肝炎等とは診療密度が異なる。よって、診療密度が比較的軽度の急性期患者に対応する医療は、主たる医療機能としては「急性期」と区分を別にすることが適当である。
 (4)報告制度では、1つの病棟に特定の病期の患者だけが存在し、当該患者への医療だけを提供していることは想定していない。病棟には様々な病期の患者が混在しており、各々の患者に応じた医療が提供されている中で、当該病棟の主たる医療機能はどれであるかを選択するものである。
 (5)したがって、例えば急性期機能は、急性期患者への医療だけでなく、亜急性期や慢性期の患者への医療も一定割合で提供している中、当該病棟の主たる機能は急性期患者への医療提供であると判断する場合に選ぶことになる。
 事務局の修正案は、ポストおよびサブアキュートをともに含む複合的機能を担っている病院(病棟)を「亜急性期」と断じた前回の提案を修正し、複合機能を担う病院(病棟)の医療過疎地域に限定されない存在を認めるものであり、まさに、各地域で多くの一般病院が担っている地域一般病棟という機能を提供体制にきちんと位置づける方向となっている。
 ただし、検討会には、病期にもとづくシンプルな区分の方が分かりやすいという意見もある。
 患者は様々な病気にかかるが、それぞれの疾病、しかもそれぞれの病期に対応した医療が提供されなければならない。しかし、診療密度の同質性や地域におけるポジションによっては、病期の異なる患者を同一の施設が引き受けている。複数医療機能の提供である。
 機能分化を評価するときに、病期という視点だけでシンプルに区分していくと、機能分化は硬直したものとなりかねない。
 病期による区分でみるか、それとも医療提供上の特性からみるか―。「地域多機能」の地域限定性を外し、類似した機能の「亜急性期(呼称は検討中)」に着目したように、病棟の現実から帰納していく柔軟な機能分化が求められている。

厚労省 新たな医療機能案は4区分。「亜急性期」という呼称を止める