全日病ニュース

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医療提供体制で日医と四病協が初の共同見解。病床機能で提言

医療提供体制で日医と四病協が初の共同見解。
病床機能で提言

【病床機能報告制度】
「高度急性期、急性期、回復期、慢性期の区分を用いて報告する」ことを提案

 四病院団体協議会と日本医師会は8月8日の記者会見で病院病床の機能区分に関する見解を示し、病床機能報告制度を設計する上での提言とすると発表した。病床機能区分に関する見解は「医療提供体制のあり方」と題した提言に収められている。
 提言は、四病協と日医が設けたワーキンググループで改革が求められている医療提供体制について検討を重ねた結果、合意に達した基本的な部分を整理したもの。医療提供体制に関する、四病協と日医の初めての共同提言である。

 

 WGは5月22日の四病協・日医懇談会で日本医師会が提案、設置された。
 一体改革で病院病床の機能分化が謳われる中、厚労省では病床機能報告制度の検討が進んでいるが、報告制度で対象とすべき病床機能をめぐる議論が錯綜、合意に至らずにいる。
 日医と各病院団体はそれぞれの立場から発言してきたが、大きな視点はともかくも、各論になると団体間に意見の微妙な違いや認識のずれがあることが否めず、保険者団体や患者側委員などからは「病床機能の概念が分かりにくい」といった声も出るにいたった。
 こうしたことから、懇談会は病床機能を含む提供体制について見解を表わすことで合意。2ヵ月半かけて検討した結果共同提言がまとまったもの。
 共同会見には、西澤全日病会長、横倉日医会長、堺日病会長、日野医法協会長(代理・小森副会長)、山崎日精協会長と5団体のトップが全員出席した。
 「合同提言」は、(1)基本方針、(2)かかりつけ医、(3)医療・介護の再編の3章からなり、そのうちの「医療・介護の再編」で、入院医療を論じる上でベースとなるべき視点と提供体制再構築の方向性が示されている。
 この中で、病期に応じた病床区分として「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」という機能概念を採用。病床機能情報の報告制度において、各病院はこうした区分を用いて機能を選択し、報告を行なっていくべきであると提案している。
 とくに、急性期病床については、①急性期医療を提供する機能を持つ病床、②病態として重症・中等症・軽症があり、各病院の機能に応じた急性期医療を提供する、③多くの診療科を総合的に持つ病院病床、特定の専門分野の病院病床、地域に密着した病院病床と、地域の医療ニーズに応じてそれぞれが必要とされているため、きめ細かな報告制度が必要、④在宅や介護施設等の患者の急性増悪に対応する、⑤2次救急を担う、⑥地域包括ケアを推進するために、かかりつけ医との連携機能、介護との連携、患者支援などの機能も有する、といった視点を明記した。
 また、急性期のうち、救命救急センター、集中治療室等、専門医が常時配置されている病床は高度急性期病床として独立させる必要があること、回復期に関しては、「ポストアキュートおよび回復期のリハが含まれる」という認識を示した。
 四病協と日医は8月9日に開かれた社保審医療部会で提言について説明、関係者の理解を求めた。今後は、「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」に提言を提示、合同提言が示す病床機能区分にもとづいた報告制度となるよう、とりまとめに向けて一致協力していく方針だ。