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ホーム全日病ニュース第808回/2013年9月1日号「基本診療料を中心に個別項目へ上乗せ」...

「基本診療料を中心に個別項目へ上乗せ」が基本


「基本診療料を中心に個別項目へ上乗せ」が基本

【消費税対応で「中間整理案」】
8%引上げへの対応のベース案まとまる。改定財源確保で内閣に異例の注文

 

 8月28日の中医協・診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」は、2014年4月に見込まれる消費税率8%への引き上げへの対応について検討した結果、支払側と診療側が合意に達した内容を「議論の中間整理(案)」としてまとめた。
 「中間整理案」は、8%となった場合の医療機関における控除対象外消費税を補填する方法について、①高額設備投資にかかわる診療報酬と別枠の補填方法は見送る、②診療報酬による補填として、「基本診療料・調剤基本料への上乗せによる対応を中心としつつ、個別項目への上乗せを組み合わせる形で対応することを基本とする」方針を明記。
 その上で、基本診療料・調剤基本料へ上乗せする場合の「改定財源の配分の考え方」を示している。
 さらに、末尾に、「適切に医療機関等の課税経費率を把握した上で消費税負担の増加分に適切に手当がなされるよう、内閣は適切にその財源規模を決定すべきである」と、内閣に対する注文を盛り込んだ。
 分科会は、支払・診療各側から出た意見を盛り込んだ修正を田中分科会長に委ねた。田中分科会長は、「中間整理」を9月初めの中医協総会に報告する。
 「中間整理」が中医協総会で了承されると、2014年度診療報酬改定は本来の点数見直しと消費税に対応した点数の上乗せからなる二重改定となる。
 消費税引き上げへの対応は、中医協総会の方針を踏まえた上で具体的な対応方法についてさらに議論を重ね、年内をめどに最終報告がまとめられる予定だ。

□「医療機関等における消費税負担に関する分科会」議論の中間整理案(要旨)

●消費税率の8%引上げ時には、別建ての高額投資対応は実施せず、調剤を含む診療報酬改定で対応する。
●本体報酬については、基本診療料・調剤基本料への上乗せによる対応を中心としつつ、「個別項目」への上乗せを組み合わせる形で対応することを基本とする。
●上乗せ方法は基本的に以下のとおりとする。
(1)医科診療報酬では、①診療所については、初・再診料及び有床診療所入院基本料に上乗せする。②病院については、診療所と初・再診料の点数を変えないようにするため、診療所に乗せた点数と同じ点数を初・再診料(外来診療料を含む)に上乗せし、余った財源を入院料等に上乗せする。
(2)歯科診療報酬では初・再診料に上乗せする。
(3)調剤報酬は調剤基本料に上乗せする。
●「個別項目」の組み合わせ方は医療経済実態調査の結果等を踏まえて検討する。
●改定財源の配分は、以下の算式で得られる数値による按分を基本とする。
①医科、歯科、調剤間での配分〈医科、歯科、調剤ごとの医療費シェア〉×〈医科、歯科、調剤ごとの課税経費率〉②病院、診療所間での財源配分〈病院、診療所ごとの医療費シェア〉×〈病院、診療所ごとの課税経費率〉③入院料間での財源配分〈各入院料ごとの医療費シェア〉×〈各入院料ごとの課税経費率〉*医療経済実態調査等より算出した、当該分類ごとの費用と損益差額の合計額に占める課税仕入れ(医薬品、特定保険医療材料を除く)の割合を「課税経費率」という。
*入院料間の財源配分を行う際は、①医療経済実態調査から当該入院料ごとの課税経費が把握できない特定入院料は、当該入院料を算定している病院が最も多く算定している入院基本料(一般病棟7対1入院基本料など)と同じ課税経費率であるとみなす等の工夫が必要であること、②DPCを含む包括評価は医薬品、特定保険医療材料を含めた課税仕入れ割合を課税経費率として計算する必要があること、に留意が必要。
●今回の対応については、適切に医療機関等の課税経費率を把握した上で消費税負担の増加分に適切に手当がなされるよう、内閣は適切にその財源規模を決定すべきである。