全日病ニュース

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「特定除外見直しの影響は厚労省調査よりも大きい。慎重な議論を」

プログラム法案を臨時国会に提出

▲会見には(右から)猪口全日病副会長、相澤日病副会長、中川日医副会長が出席した

「特定除外見直しの影響は厚労省調査よりも大きい。
慎重な議論を」

【7対1・10対1の特定除外制度】
厚労省調査で不明な実態が日医・四病協の調査で判明。中医協に資料提出へ

 日本医師会と四病院団体協議会は共同で実施した「特定除外に該当する入院患者実態調査」の結果を、9月18日の記者会見で発表した。
 現在、7対1と10対1における特定除外制度を見直す議論が中医協総会に提起されているが、同調査から、7対1では52%の病棟に、10対1では63%の病棟に特定除外患者が入院しており、特定除外患者を平均在院日数に含めると、7対1で1割強、10対1で2割近くの病院が平均在院日数要件を満たせなくなるなど、厚労省が公表した同様の調査結果では必ずしも明確ではなかった部分を解明。その結果、同制度の廃止は特定除外患者が入院している病棟に大きな影響を与える可能性があることが分かった。
 日医と四病協は調査結果を中医協に提出、特定除外制度の見直しについては慎重な審議を求める方針だ。(7面に調査結果の要旨)

 

 次期改定における入院医療の検討課題について2012年度調査を実施した厚労省は、7対1と10対1各入院基本料における特定除外患者の実態について、(1)7対1・10対1の90日超患者は13対1・15対1の同患者と同様の傾向が認められる、(2)特定除外患者を平均在院日数の計算に入れた場合の影響の度合いは小さい、ことなどを指摘。「入院医療等の調査・評価分科会」に、14年度改定で、7対1・10対1における特定除外制度の見直しを議論するよう提起した。
 これに対して、日医や病院団体の分科会委員は、①当調査の回収は169施設(回収率9.4%)と少なく、代表性に欠ける、②7対1・10対1と15対1・13対1では特定除外患者の特性が異なる、③平均在院日数の変化は小さいというが、施設によって影響度合いは異なるため、一概に影響が小さいとはいえない、④受け皿がない中で特定除外制度を廃止すると現場は混乱するなどの疑問を示したが、反論を根拠づけるデータをもっていなかった。
 そのため、日医と四病協は6月の月例懇談会で、7対1・10対1における特定除外患者の実態調査を共同で行なうことを決め、7月~8月に、日医、全日病、日病の会員から無作為抽出した2,060病院に調査票を送付。781施設から回答を得た(回収率37.9%)。
 その結果、7対1の半数以上、10対1は2/3近くの病棟に特定除外患者が入院していること、特定除外患者がいる病棟における当該患者の割合は、7対1が6.7%、10対1は10.2%であることが分かった。
 これは、特定除外患者の割合は当該患者がいない病棟を含む全体の3.7%(7対1)、6.5%(10対1)とする厚労省調査結果の1.6~1.8倍になる。
 また、特定除外患者を含んだ平均在院日数は、10対1では3.3日長くなるが、当該患者がいる病棟に限ると4.8日も長くなること、特定除外患者を平均在院日数に含めると、7対1で1割強、10対1で2割近くの病院が平均在院日数要件を満たせなくなることが判明した。
 こうしたことから、日医・四病協は、「特定除外制度を見直した場合、影響がまったくない病棟がある一方で、かなり影響が大きい病棟がある」と推察した。
 日医・四病協の調査は、また、7対1では主傷病が新生物であること、10対1では、腎不全患者の特定除外理由に人工透析だけでなく重度障害・重度意識障害・難病等もあることなど、特定除外患者の疾病等について、厚労省調査が把握していない事実を示した。
 こうした結果、7対1・10対1では「当該病院での治療が必要」や「体力的に退院不可能」という回答の合計が8割以上に達しており、「特定除外患者は7対1・10対1と15対1で明らかな違いがあった」と評価した。
 さらに、退院(退棟)の受皿が「不十分」と答えた病院で特定除外患者の割合が高いこともあり、日医・四病協は7対1・10対1の特定除外制度廃止を見込んだ議論に強い違和感を表明、慎重かつきめ細かな議論を求めている。