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ホーム全日病ニュース第810回/2013年10月1日号規制改革「地域医療ビジョンのGLや医療計画のあり方」を検討

規制改革「地域医療ビジョンのGLや医療計画のあり方」を検討

規制改革
「地域医療ビジョンのGLや医療計画のあり方」を検討

【規制改革会議】
「医療機関の業務範囲や役員・社員の要件等」も俎上。「最優先案件」に保険併用の拡大

 

 

 政府の規制改革会議は9月12日の会合で、今期(2013年7月~14年6月)の規制見直し対象として取り上げる49項目を決めた。
 同会議は、8月22日の会合で、今期の「当面の最優先案件」として、「保険診療と保険外診療の併用療養制度」「介護・保育事業等における経営主体間のイコールフッティング確立」ほかの3テーマを取り上げ、「年内を目処に、当会議の意見を取りまとめ公表する」ことを決めている。
 前者は、「国内で開発された先進的な医薬品・医療機器を用いた医療技術、及び海外で使用され国内では未承認の医薬品・医療機器を用いた医療技術等を保険診療と併用しやすくする」規制改革を指す。後者は、「社会福祉法人、株式会社、NPO が同じ土俵でサービスの質を高め合い、提供するための環境づくりを行なう」というもの。
 また、同じ日に、イノベーションの積極的評価とその価格反映を進めるべきとして、「費用対効果の考え方にもとづく諸指標(数値)の導入」などを提言。併せて、保険財政適正化の見地から、①後発医薬品が上市された段階での大幅引き下げを含む長期収載品薬価の引き下げ、②高額療養費制度等への後発医薬品選択促進の導入、などを提案している。
 こうした決定を踏まえ、9月12日は、今後1年間の検討項目として49課題を採択し、分野別WGで具体的な作業に入ることを決めた。関連法案の国会提出等などから急ぐ項目は年内にも提言をまとめるとしている。
 49項目のうち、健康・医療WGが受け持つのは9項目。そのうち、「最適な地域医療の実現に向けた医療提供体制の構築」では、「地域医療ビジョンのガイドラインや医療計画のあり方」が対象とされた。2014年通常国会における医療法改正に間に合わせるべく、年内に提言をまとめるとしている。
 また、「医療機関の業務・ガバナンス等の見直し」というテーマの下、医療機関の業務の範囲や役員・社員に係る要件等の見直しも、年内めどに提言をまとめるとされた。とくに、医療法人のあり方が俎上にのぼるとみられる。

 

健康・医療WGの検討項目

◎1. 最適な地域医療の実現に向けた医療提供体制の構築
 2次医療圏の柔軟な運用や病院と診療所間等の医療機関の連携促進等について、地域医療ビジョンのGLや医療計画のあり方を含めて検討すべきではないか。
◎2. 医療機関の業務・ガバナンス等の見直し
 医療機関の業務の範囲や役員・社員に係る要件等を見直すべきではないか。
◎3. 在宅医療・在宅介護の推進
 外来診療を前提とした現行制度は在宅専門診療所の制約になっている。これら規制の見直しを含め、国民が安心して在宅医療・介護を受けられる仕組みを構築すべきではないか。
4. 医療関連従事者の役割分担の見直しや必要な人材の確保
 医師・看護師等の役割分担の見直しや必要な医師・看護師等の確保策を検討すべきではないか。
◎5. レセプト帳票の見直しなど分析可能なデータの整備
 レセプト病名の統一・コード化や、傷病名と診療内容等の紐付けなど、レセプト帳票の様式を見直すべきではないか。
◎6. 保険者による直接審査の推進
 診療報酬の審査支払事務を保険者が直接行なう場合は医療機関・薬局の合意を得る必要がある。合意を通知に変更すべきではないか。
◎7. 支払基金と国保連の役割分担の見直し
 支払基金と国保連合会の重複機能を統合するなど、効率化を図るべきではないか。
8. 医薬品・医療機器に係る治験前臨床試験の有効活用
 革新的な医薬品・医療機器を開発促進するために、一定の条件の下、治験前に行なう臨床試験の結果を治験データとして有効活用できるようにすべきではないか。
9. セルフケア領域に適する医療用検査薬等の見直し
 医療用医薬品のうち、低リスクの検査薬は一般用医薬品として取り扱うべきではないか。
*◎が付された項目は、おおむね2013年内に検討結果をまとめることを予定している項目。