全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース第810回/2013年10月1日号「病院の経営の安定化をめざすことを...

「病院の経営の安定化をめざすことを視点にコストを議論する」

「病院の経営の安定化をめざすことを視点にコストを議論する」

▲西澤会長(左)は基本診療料の議論を続行すべきと主張、支払側からも賛同を得た

「病院の経営の安定化をめざすことを視点にコストを議論する」

【財政制度審議会財政制度分科会】
財務省がプラス改定を否定。病床数管理へ、診療報酬より基金方式の実効性を評価

 

 中医協の診療報酬基本問題小委員会(基本小委)が9月25日に開催され、基本診療料の議論の進め方を話し合った結果、「病院の経営の安定化をめざす」ことを視点として、入院基本料の議論を再開することで合意した。
 基本診療料の議論は昨年4月11日の中医協総会で基本小委で行なうことが決まり、基本小委で昨年10月までに5回議論がもたれた結果、支払側と診療側は、「看護師配置の多寡で評価を分けている現行入院基本料を医療必要度など新たな要素による評価に組み替える」という方向で再検討することで概ね合意に達していた。
 その後、基本小委は2回開かれたが、入院基本料は取り上げられることなく、議論は休止の状態が続いた。そのため、9月4日の中医協総会で診療側西澤委員(全日病会長)が強く再開を求めた結果、1年ぶりの議論となったもの。
 事務局(厚労省保険局医療課)は、議論のたたき台として「一般病棟入院基本料のコスト情報の把握・活用について」と題したペーパーを用意。報酬水準の議論とコスト情報の把握・活用との関係性を問う論点を提示した。
 議論の冒頭、西澤委員は「昨年7月18日の基本小委ですでに論点が示されているが、それらはどれひとつ議論されていない。1年以上も過ぎて、本日、同じような論点が示された。一体、この1年の空白は何だったのか」と、議論を棚上げしてきた厚労省に苦言を呈した。
 その上で、「これからは、基本小委を月1~2回定期的に開催する中で、論点を1つ1つ片付けていただきたい」と注文した。
 西澤委員の意見に、支払側白川委員(健保連専務理事)は、「基本診療料を引き続き議論することは同感であり、基本小委で議論することにも賛成である」と応じた。
 白川委員は、議論の進め方について、「病院の経営がどうあるべきかという観点で基本診療料を議論するのが正しい方向ではないか」と提起。「個々のコストではなく、病院運営上のコストという全体的な捉え方をした上で、病院の経営の安定化をめざすことを目的にコスト情報を活用するという考え方がいい」という認識を示した。
 この提案を、西澤委員は「質の高い医療を提供したときに病院をキチンと経営、かつ、それが継続できる」診療報酬であるべきという点で認識は一致していると受け止め、「そのために色々な調査等を行なっていく。では何から調査するかいうときに、分かりやすいのが基本診療料であり、その中で入院基本料が一番分かりやすいということで議論が始まった」と原点を再確認した。
 その上で、「このように歩み寄りながら、お互いの一致点を見出しながらやっていきたい」と、議論の再開を評価した。
 他の診療側委員も白川委員の提案を評価。基本小委は、そうした方向で議論を展開していくことを確認した。