全日病ニュース

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ホーム全日病ニュース第814回/2014年12月1日号節電・節水等に努める病院。...

節電・節水等に努める病院。しかし、水道光熱費は上昇の一途

節電・節水等に努める病院。
しかし、水道光熱費は上昇の一途

改定を前に、水道光熱費の高騰が大きな経営負担となっている実態を訴えたい

広報委員会副委員長 小森直之

 

 東日本大震災以降、原発事故や設備被害に伴う電力供給低下における電力危機が訪れた。国民全体が節電を努力しているが、我々医療機関もその例外ではない。このような時局を鑑み、四病協の医業経営・税制委員会は、会員病院がどの程度節電・節ガスに努めているか、過去3年間の水道光熱費の推移を調査した。
 それによると、平成23年度の電気使用量は1病院あたり3.13%減少している。であるにもかかわらず電気料金は平均3.44%、1病院あたり188万9,172円増加している。
 支払額の増加はガスでも同様である。ガスの使用量は約0.47%減少したものの、ガス料金は1病院あたり14.3%、333万289円の増加となった。
 この値上がりは翌年も続き、平成24年度になっても光熱費の値上がりは止まることがなかった。平成22年度と比べて1.54%の節電が行われたが、電気料金は1病院あたり18.82%、1,005万4,321円も増加していた。
 ガスにおいても同様である。ガスの使用量は0.07%減少したが、料金は24.64%、金額にして572万7,515円も増加している。
 全ての医療機関(特に入院施設ほど)は国によって定められた広い面積を有している。その広い空間の快適な環境を維持するための光熱費が、病院経営に大きな負担となってきていることが推察される。
 各電力会社・ガス会社は今年度9月以降の値上げを行っており、それによって、病院の負担がさらに大きくなっていることが懸念される。
 現代の病院が患者に提供すべきことは“治療”に限らない。患者により良い環境・良いサービスを提供することも要望されているものの一つである。
 この要望に応えていくためには、病院にも、一般企業と同様に治療費以外のある程度の“利益”が必要となってくる。病院にとって上げるべき利益とはどの程度であるのであろうか。
 今、国は、病院が安定経営を図るためにある診療報酬を引き下げようとしている。しかし、「国家戦略として医療を育成する」という方針を取るのであれば、国内の医療機関にこそ目を向け、例えば、水道光熱費の高騰がどれだけ医療機関に多大な影響を与えているか考慮するべきであろう。そのことを強く訴えていきたい。