全日病ニュース

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点数除く改定案で合意。消費税対応は次回決着。2月半ばに答申

点数除く改定案で合意。消費税対応は次回決着。2月半ばに答申

▲2014年診療報酬改定の公聴会では10人が意見を述べた

点数除く改定案で合意。
消費税対応は次回決着。2月半ばに答申

【中医協総会】
「亜急性期」に代わり「地域包括ケア」。主治医包括評価は200床まで

 中医協は1月29日の総会で改定項目の骨子を整理した事務局(厚労省保険局医療課)案について、消費税引き上げ分の対応方法を除いて合意に達し、点数や具体数を除く、2014年度診療報酬体系の全容を固めた。
 次回2月5日の総会には消費税対応分の改定方針に関する公益側裁定が示され、消費税の取り扱いは決着する。事務局は2月12日の答申を目指しており、2025年に向けたロードマップを踏まえた医療提供体制と診療報酬の一体改革が本格的に動き初める。

紙面PDFの4・5面に「改定項目の骨子」を掲載)

 

7対1は患者基準と平均在院日数の締め付けで移行を迫る

 中医協は1月15日の総会で14年改定の「議論の整理」をとりまとめ、16日~24日にかけてパブリックコメントに付した。一方、1月24日には仙台市で公聴会を開催、医療関係者や市民の声を聞いた。
 そして、29日の総会に「点数や具体数の入らない改定案」が示され、消費税対応分を除いて支払側・診療側が合意。14年度から運用される診療報酬の改定部分が実質的に決まった。
 急性期病院に激変をもたらしかねない今改定の内容は、まず、7対1病棟に関しては、特定除外制度の廃止、「重症度、医療・看護必要度(A項目)」の強化、DRG/PPS化される「短期滞在手術等基本料3」の対象を2 から21の手術・検査に増やした上で平均在院日数から外す、在宅復帰率を導入するなどの荒業を駆使し、もっぱら専門病院や中小病院を中心に、移行を促すものとなる。
 在宅復帰率の対象となる患者の経路は、在宅から回復期リハ、“亜急性期”、療養の各病棟と幅が広い。
 その1つの亜急性期入院医療管理料は地域包括ケア病棟入院料(病棟単位)と地域包括ケア入院医療管理料(病室単位)とに再編される。療養病棟も届出できる回復期リハタイプとなる一方、病床数のくびきがなくなり、大規模病院から小規模病院まで運営可能な特定入院料となる。
 「重症度、医療・看護必要度A項目○点以上の患者を○%以上」という基準を設けるなど、回復期リハと似た評価が目立つが、2次救急と在宅支援の役割が期待されている点で両者は異なる。
 すなわち、ポストアキュートとサブアキュートの併存であり、四病協が昨年11月に提唱した「地域医療・介護支援病院」と通じるものがある。しかし、認知症への対応など、より高齢化時代の地域包括ケアを支えようとする「地域医療・介護支援病院」に対して、地域包括ケア病棟はリハと在宅復帰を重視するなど、地域における位置づけの考え方は必ずしも一致しない。
 療養病棟から「7対1」まで多彩な看護配置からの参入が考えられる中、医療課は、加配の評価(看護職員配置加算)によって、一本化される看護配置へ収斂させていく考えのようだ。
 今改定の目玉になった主治医機能の評価は、中小病院(許可病床200床未満)と診療所が対象の包括評価(地域包括診療料)と診療所対象の加算(地域包括診療加算)からなる。高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症のうち2疾病以上をもつ患者が対象で、重ならなければ複数医療機関での担当も可能となる。
 服薬管理に力点を置いており、当該患者に関しては院内処方で対応する。もう1つの重点は介護保険との橋渡しだ。
 地域包括診療料を届け出る病院は、①2次救急病院、②地域包括ケア病棟、③在宅療養支援病院という3機能をすべて満たすことが求められる。他方で、今回、④緊急時にいつでも入院対応できる機能をもつ在宅療養後方支援病院が新設される。
 これらから、主治医機能と合わせた前出の5機能が、今後、地域における中小病院のあり方を示すメルクマールになっていくのは必至だ。
 夜間急性期看護補助体制加算に25対1を新設、50対1と100対1の点数が引き上げられる。一方、72時間要件を満たせない場合の緩和措置が13対1、15対1さらには療養病棟(25対1)にも適用される。
 医師事務作業補助体制加算には、一定以上の割合を病棟・外来とする限定性を強めた加算1が新設される。
 こうした現場の負担を軽減させる見直しの反面、救急医療管理加算の見直し(重篤な状態のうちの「その他」の減算)、胃瘻造設術の減算、廃用症候群に対するリハの減算など、効率化と称した引き下げが目白押しだ。
 中でも、200床以上病院における薬剤仕入れの妥結率が低い場合に、初再診料や外来診療料を引き下げるという方針には留意が必要だ。
 消費税対応分の改定方針については、事務局が示した「初診料に12点、再診料と外来診療料に3点乗せる」などの案(入院基本料関係は未定)に支払側が強く反発。合意は難しいとみた診療側は公益裁定を提案、判断は公益委員に委ねられた。