全日病ニュース

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厚労省 新基金で既存補助金の付け替え?!

厚労省
新基金で既存補助金の付け替え?!

【新たな基金】
「官民公平」を貫けるのか。既存補助金の扱いが新たな論点に

 

 消費税増収分を活かした基金の概要が明らかになってきた。厚労省は、2014年度予算案や全国厚生労働関係部局長会議などで、その概要を明らかにした。
 それによると、消費税増収分を投入する基金は543.7億円(国362.4億円、地方181.2億円)。これに、2014年度は、別途、公費として360億円(国240億円、地方120億円)が上乗せされ、創設時の規模は903.7億円(国602.4億円、地方301.2億円)となる。
 法的根拠を得ることによって、上乗せ措置分を除いた消費税増収分は毎年度計上されることになる。
 基金の対象事業は、(1)病床の機能分化・連携、(2)在宅医療・介護サービスの充実、(3)医療従事者等の確保・養成とされているが、(1)は厚労省の14年度予算の資料では「医療提供体制の改革に向けた基盤整備」と記し、「ICTを活用した地域医療ネットワーク基盤の整備」や「医療従事者の確保に資する医療機関等の施設及び設備等の整備」などと説明、地域医療再生基金を想起させる幅広な考え方が示されている。
 こうした使い道について、基金を所管する医政局の資料は、「既存事業の充実に充てることは可能であるほか、地域包括ケア、地域医療の充実のための事業等に活用出来る」と記し、地域医療支援センター、看護師養成所運営費、医療提供体制推進事業費補助金(一部の補助事業)、医療提供体制施設整備交付金(一部の補助事業)などを列挙、「既存事業については継続して実施するよう都道府県に周知していく」としている。
 全国厚生労働関係部局長会議で、原医政局長は「補助内容が重複する従前の補助事業は新たな財政支援制度の中でより拡充して実施していただくことが可能」と、都道府県担当者に説明した。
 厚労省補助金の多くの負担率は国が1/3~1/2であるが、基金の負担率は、国が2/3で都道府県は1/3であるため、都道府県には朗報といえる。かくて、消費税を投入した基金は、既存の補助金の付け替えにも使われようとしている。
 自民党の社会保障制度に関する特命委員会・厚生労働部会合同会議(1月21日)で、「目的が重複する既存の補助金事業は13年度末に廃止し、基金の方で対応する」という厚労省の方針に、「基金は改定率を補うもの。診療報酬と同じ使い方でないと困る」などの不満が相次いだ。
 既存補助事業を基金に付け替えるときに、新たな事業計画を介して民間病院への交付枠が拡大するのか。再生基金の反省から「官民公平」を強調する新基金の意義が問われるところだ。

□医療・介護サービスの提供体制改革のための新たな財政支援制度

・医療・介護等制度改正一括法案で「地域における公的介護施設等の計画的な整備等の促進に関する法律」を改正、そこに法律上の根拠を設ける。
・まずは医療を対象に2014年度より実施、介護は15年度から実施する。病床の機能分化・連携に関して14年度は回復期病床への転換など現状でも必要なもののみを対象とし、15年度からの地域医療ビジョン策定後にさらなる拡充を図る。
●新たな財政支援制度の枠組み
①国は法律に基づく基本方針を策定し、対象事業を明確化する。
②都道府県は整備計画を厚生労働省に提出する。
③国・都道府県・市町村が基本方針・計画策定する際には、公平性、透明性を確保するための協議の仕組みを設ける。(国が策定する基本方針や交付要綱の中で、都道府県に、官民に公平に配分することを求める旨を記載する、などの対応を行なう)
④国と都道府県の負担割合は2/3:1/3とする。