全日病ニュース

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病床機能報告にレセプト。病棟コードを追記、次回改定から実施へ

病床機能報告にレセプト。
病棟コードを追記、次回改定から実施へ

【病床機能情報報告のあり方に関する検討会】
厚労省が提案、検討会は大筋で合意。14年度からは病院単位で報告

 

 第6次医療法改正で導入される病床機能情報報告制度における医療機関からの報告事項と報告方法に関して、事務局(厚労省医政局総務課)は、12月27日の「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」に具体案を示した。
 それによると、報告項目は、大きく、(1)構造・設備・人員配置など、(2)具体的な医療内容(全身麻酔手術件数、放射線治療件数など)からなる。
 このうち、(2)に関しては、医療機関の負担を軽減するために報告内容は必要な事項に限定し、①既存調査(医療機能情報提供制度等)との重複を避ける、②関連する診療報酬の項目を中心とするために、レセプトを活用した報告とする、ことを提案している。
 ただし、レセプトを用いる場合には、医療機関単位で作成されるレセプトをどう病棟単位の情報に組み替えるかという問題が生じる。
 これについて、事務局案は、電子レセプトの診療情報レコード(SI)に、機能区分と病棟別からなる9桁の病棟コードを追記、これによって、各レセプトと病棟を紐づける方法を提案した。
 この場合、病棟コードは健保法等のレセプト記載事項とはせず、あくまでも、病床機能報告制度上の記載事項に限定する。また、病棟とコードの対応関係は各医療機関で追記かつ管理されることになる上、病棟コードが付記されたレセプトで診療報酬請求が可能となるよう、医療機関だけでなく、審査支払機関と医療保険者もシステム改修を行なう必要が生じる。
 事務局案によると、次に、病棟コードを付記したレセプトの匿名化とレセプト情報の病棟単位集計をどう行なうかという問題が生じる。
 これについて、事務局は、(1)いずれも医療機関の側で作業した上で各都道府県に提供する、(2)レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)の枠組みを活用する、という2案を対置した。
 (1)の場合は、各医療機関に匿名化と集計プログラムの導入が必要になる上、それらの作業が発生する。これに対して、(2)の場合は、既に運用されているNDBの流れにしたがって、支払い機関が匿名化等の処理を行ない、国を介して都道府県に提供されるため、医療機関の負担は大きく軽減される。
 ただし、(2)にも、NDBの活用目的を「医療費適正化計画の作成等のための調査・分析等」に限定している高齢者医療確保法の改正が求められることや、同レセプトが保険者にも供される点をどうするかという問題が生じるなど、それぞれに論点がある。
 こうした事務局提案を前に、多くの委員は、医療機関の負担がより小さい(2)の方法が妥当とした。
 一方、(2)では、医療機関に病棟コードを付記したレセプト作成に対応したシステム改修の負担が発生するが、システム改修は診療報酬改定時に対応する方が効率的である。
 この点について、事務局は2014年度改定からの報告は難しいとし、レセプトを活用した病床機能報告は次回改定からの実施になるとの認識を示した。ただし、病床機能報告は、医療法改正成立後、14年度にも実施されるため、とりあえずは病院単位で報告を受けて生きたいとしている。
 次回改定は16年度に限らない。法律上は15年10月に消費税の10%への引き上げができる。そうなると同月に消費税改定が行われる。早ければ、この消費税改定までに必要な準備を終え、病棟コードを付記したレセプトによる病床機能報告が実施される可能性もある。