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ホーム全日病ニュース(2014年)第817回/2014年2月1日号 「救急医療体制等のあり方検討会」報告

「救急医療体制等のあり方検討会」報告書:「認知症を含む高齢者救急は主に2次救急が担っている」

「救急医療体制等のあり方検討会」報告書
「認知症を含む高齢者救急は主に2次救急が担っている」

 

 12月26日に開催された「救急医療体制等のあり方に関する検討会」は最終報告書案について概ね了承し、字句修正等を座長と事務局(厚労省医政局)に委ねた。報告書は1月内に公表される予定。
 検討会には2次救急を担う救急病院しかも民間病院から3人が参画、2次救急医療体制に関して初めて本格的な意
見が交わされた。
 その結果、報告書には、(1)認知症を含む高齢者救急は主に2次救急が担っており、2次救急医療機関の底上げが必要、(2)都道府県は医療計画上の「2次救急医療機関」と「救急告示病院」の一元化を進めるべきなどの重要な指摘が書き込まれた。

救急医療体制等のあり方に関する検討会報告書(抜粋)
※本報告書は1月末までに公表されていない。そのため以下は12月26日に示された最終案に基づく。

第2. 救急医療体制や取組に関する現状及び課題
○2次救急医療機関について
 2次救急医療機関が本来の機能や、地域の高齢化・疾病構造の変化などによる救急需要の増加・変化に対応するためには、新たな対策が求められている。
 また、2次救急医療機関には、都道府県が医療計画で位置付けている「2次救急医療機関」と都道府県が告示する「救急病院(いわゆる救急告示病院)」の2種類が存在する。
 1997年12月にまとめられた「救急医療体制基本問題検討会報告書」で2次救急医療機関と救急告示病院の一元化が提案されているが、いまだに一元化が図られていない。
第3. 今後検討すべき事項と方向性
2. 救急医療機関・救急医療体制の充実強化について
(3)2次救急医療機関の充実強化について
 2次救急医療機関が医療計画で求められている機能を果たすため、都道府県や2次救急医療機関は地域の高齢化や疾病構造の変化等を把握し、より適切な体制の構築を行なわなければならない。
 増加する認知症を含めた高齢者の救急患者の受入れは主に2次救急医療機関が多くを担っていることから、2次救急医療機関の対応能力の底上げが必要であるとともに、受入れのための地域でのコンセンサス作りが必要である。
 特に、重症度が中等症である症例が増加しており、複数の医療機関に受入れを断られる事案も後を絶たないため、 2次救急医療機関がその役割を的確に果たすことのできるような支援措置が求められる。
 また、2次救急医療機関は、地域の救急医療の担い手として地域MC協議会に積極的に参画し、実施基準の策定や実施に協力すべきである。同時に、3次救急医療機関が2次救急医療機関のバックアップ体制をより積極的にとるシステム作りも必要である。なお、2次救急医療機関の充実強化のためには、2次救急医療機関の機能や地域で果たしている役割を客観的に把握し、質の保証とその向上を図るための指標を作成すべきである。
 このようにして2次救急医療機関の対応能力を各地域で全体的に底上げする必要があるが、救命救急センターのような充実段階評価の導入はまだ時期尚早であると思われる。
 救急告示医療機関と2次救急医療機関はこれまでも一元化の必要性が指摘されているが、今なお、2次救急医療機関でありながら救急告示医療機関に位置付けられていない施設がある等分かりにくい部分がある。都道府県は、両制度の趣旨や制度のあり方を含めた検討を行った上で一元化を進め、市民や救急隊に分かりやすい制度にすべきである。