全日病ニュース

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意見募集 ケアマネ研修を改正。「医療との連携を重視した実践的課目」を導入

意見募集 ケアマネ研修を改正。「医療との連携を重視した実践的課目」を導入

 

 厚生労働省は介護支援専門員および主任介護支援専門員の研修課程を見直すために「厚生労働大臣が定める介護支援専門員等に係る研修の基準」(2004年厚生労働省告示第218号)および「介護保険法施行令第37条の15第2項に規定する厚生労働大臣が定める基準」(06年厚生労働省告示第265号)の改正案をまとめ、2月21日に意見募集を開始した。募集期間は3月22日まで。いずれも4月1日施行となる。
 見直しは、「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」の「議論の中間的な整理」(13年1月7日)を踏まえたもので、「介護支援専門員実務研修」「介護支援専門員実務従事者基礎研修」「介護支援専門員(更新)研修」「主任介護支援専門員研修」の4研修が対象。
 新たな「介護支援専門員実務研修」は、任意受講であった「実務従事者基礎研修」を統合した上で、「ケアマネジメントに必要な医療との連携及び多職種協働の意義」「チームマネジメント」「ケアマネジメントの展開」などを追加、より実践的な研修内容にあらためている。
 また、より専門的な知識・技術を習得できるように「介護支援専門員専門研修」のⅠとⅡを設け、後者を資格更新研修とした。
 Ⅰには「医療との連携及び多職種協働」とともに認知症、リハビリ、看護など専門知識を活用した「ケアマネジメント演習」の課目を新設。Ⅱは、居宅と施設に分けた課目選択制をやめ、双方の受講者が相互に抱える課題等を事例の一般化を介して理解する「ケアマネジメントの実践事例の研究及び発表」を新設、演習で扱う事例には「入退院時の医療との連携」を加えた。
 さらに、それぞれに修了評価の実施を導入した。
 06年度に地域包括支援センターへの配置が必置となった主任介護支援専門員は、これまで「64時間以上」の研修だったが、今回の見直しで「70時間以上」となり、新たに「ケアマネジメントに必要な医療との連携及び多職種協働の実現」の課目が導入された。

介護支援専門員等に係る研修カリキュラム(案)

○介護支援専門員実務研修 計87時間
別途修了評価を実施。
講義/介護保険制度の理念・現状とケアマネジメント(3時間)、ケアマネに係る法令等の理解(2時間)、地域包括ケアと社会資源(3時間)、ケアマネに必要な医療との連携及び多職種協働の意義(3時間)、人権と倫理(2時間)、ケアマネジメントプロセスの概観(2時間)、実習オリエンテーション(1時間)
講義・演習/自立支援のためのケアマネジメントの基本(6時間)、相談援助職としての基本姿勢と相談援助技術の基礎(4時間)、利用者や多職種等への説明と同意(2時間)、チームマネジメント(2時間)、ケアマネに必要な基礎知識・技術(19時間)、実習振り返り(3時間)、ケアマネの展開(28時間=基礎理解3時間、脳血管障害事例5時間、認知症事例5時間、筋骨格系疾患と生活不活発病の事例5時間、糖尿病、高血圧、脂質異常症、心疾患、呼吸器疾患、腎臓病、肝臓病の機能不全事例5時間、看取り事例5時間)
○専門研修(Ⅰ)  計56時間
別途修了評価を実施。
講義/介護保険制度及び地域包括ケアシステムの現状(3時間)、ソーシャルケースワークとコミュニティソーシャルワーク(3時間)、ケアマネジメント実践倫理(2時間)、ケアマネに必要な医療との連携及び多職種協働の実践(4時間)、個人学習と相互学習(2時間)
講義・演習/ケアマネ実践の振り返りと学習課題の設定(12時間)、ケアマネジメント演習(28時間=リハビリ・福祉用具の活用事例4時間、看取り等における看護サービス活用事例4時間、認知症事例4時間、入退院時等における医療との連携事例4時間、家族支援事例4時間、関係機関との連携事例4時間、地域密着型、施設等状態に応じた多様なサービス活用事例4時間)、意見交換・講評・ネットワーク作り(2時間)
○専門研修(Ⅱ) 計32時間
別途修了評価を実施。
講義/介護保険制度及び地域包括ケアシステムの今後の展開(4時間)
講義・演習/ケアマネジメントの実践事例の研究・発表(28時間=リハビリ・福祉用具の活用事例4時間、看取り等における看護サービス活用事例4時間、認知症事例4時間、入退院時等における医療との連携事例4時間、家族支援事例4時間、関係機関との連携事例4時間、地域密着型、施設等状態に応じた多様なサービスの活用事例4時間)
○主任介護支援専門員研修 計70時間
別途修了評価を実施。
講義/主任介護支援専門員の役割と視点(5時間)、ケアマネジメントにおける倫理的課題に対する支援(2時間)、ターミナルケア(3時間)、人材育成と業務管理(3時間)、運営管理におけるリスクマネジメント(3時間)
講義・演習/コミュニティソーシャルワーク(6時間)、ケアマネジメントに必要な医療との連携及び多職種協働の実現(6時間)、スーパービジョン(18時間)、個別事例を通じた指導・支援の展開(24時間)