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ホーム全日病ニュース(2014年)第819回/2014年3月1日号四病協 医療法人会計基準案をまとめ

四病協 医療法人会計基準案をまとめる。1人法人と小規模法人は適用外

四病協
医療法人会計基準案をまとめる。1人法人と小規模法人は適用外

 

 四病院団体協議会は医療法人会計基準案を作成、2月26日の総合部会で承認した。医業経営・税制委員会(委員長・伊藤伸一医法協副会長)に付設された会計基準策定小委員会(委員長・五十嵐邦彦公認会計士)が報告書にまとめた。
 四病協は医療法人制度改革前の2006年9月に「医療法人会計基準検討報告書」をまとめているが、関係者すべての理解を得るにはいたらず、日の目をみずに終わっている。
 その後、金融商品取引法に裏づけられた法人債を発行する社会医療法人が創設されるとともに、医療法人の財務諸表は広く閲覧可能とされた。
 その一方、事業報告書等の様式改正によって、医療法人の財務諸表は、それまでの「病院会計準則」「介護老人保健施設会計・経理準則」に基づいたものから法人全体の数値をまとめたものに改められたため、制度上の齟齬はなくなったものの、明確な会計処理基準が存在しないという矛盾に直面した。
 そこで医療法人が依拠する会計原則は、医療法第50条の2の規定「医療法人の会計は、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする」ということになった。
 これを踏まえ、「報告書のポイント」は、「一般に公正妥当と認められる会計の慣行を具体化する1つとして取りまとめた」と記している。
 報告書は、冒頭に、「医療法人会計の現状」と「検討の経緯と基準制定の考え方」を記し、医療法人会計基準とその注解を説明。「個別論点と実務上の対応」で詳細に展開、「現行の省令、通知への影響」と「病院会計準則適用ガイドラインについて」と題して現行会計処理との関係性を整理。最後に「本報告を前提とした計算書類のイメージ」で持分ありを対象にした例を示している。
 その中で、①1人医療法人への適用は前提としていないこと、②医療法人のすべての会計制度を網羅的に規定したものではなく、医療法人全体の計算書類にかかわる部分のみを対象としていること、③企業会計の手法は他の民間非営利法人の会計基準に取り込まれている範囲に限定していること、などの考え方を明らかにしている。
 適用対象について、会計基準策定小委の五十嵐委員長は「小規模の医療法人も適用外と考えている」と説明した。
 昨年3月15日の衆議院厚生労働委員会で、田村厚労相は、医療法人会計基準策定をめぐる状況の質問に、「現在、四病院団体協議会を中心に検討を再開しており、厚労省としても、この取り組みを注視している」と答弁した。
 四病協が再びまとめた医療法人会計基準案に厚労省がどう対応をみせるか、あらためて議論が求められるところだ。