全日病ニュース

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医療内容の報告 14年度は7月審査分のレセ(病院単位)の対応で合意

医療内容の報告
14年度は7月審査分のレセ(病院単位)の対応で合意

【病床機能情報の報告のあり方に関する検討会】
「今後の方向」― 何年先を展望するかで意見分かれる

 

 3月27日の「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」は、医療介護総合確保推進法が成立した場合に2014年10月施行となる病床機能報告に関して、医療内容の報告は、施行初年度の14年度は病院単位とし、7月審査分の単月データで対応することで合意した。
 検討会は、また、事務局(厚労省医政局総務課)が提示した、医療機能(医療内容)に関する報告項目の素案も基本的に了承した。
 ただし、施行初年度であっても、構造設備・人員配置等に関する報告は病棟単位の報告とする。前回(2月26日)の会合で、7月1日現在の構造設備・人員配置等の報告を10月に行なうことで合意している。
 医療内容の報告は、初年度は7月審査分のみとすることにしたが、前回の会合で、医療側は「季節や地域による変動を考えると通年もしくは複数月分のデータを報告するのが望ましい」と、検討を求めた。
 この問題について、事務局はそうした見解が妥当であることを認めた上で、「制度の運用状況や調査研究事業の状況をみて、複数月分のデータを集計する方法をあらためて検討したい」と説明。医療側もこれを容認した。
 医療機能に関する報告項目の素案は、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4区分共通の項目とした上で、(1)医療機能(現在の機能、将来時点の機能の予定)、(2)「構造設備・人員配置等に関する項目」として32件、(3)「具体的な医療の内容に関する項目」として91件があげられた。
 この日の議論で、(3)に「臨床病理」を追加する意見が支持を得たため、報告事項は、全部で123件となる。今回は、報告事項の構成を大枠として認めたということであり、今後も、細部の変更があり得る。
 「具体的な医療の内容」92項目のうち、78項目はレセプトで代用されるため、医療機関が入力するのは14項目に過ぎない。「構造設備・人員配置等」のうち17項目もレセプトから導かれるので、入力は15件。(1)と合わせると、全部で30項目が医療機関による入力を必要とする。
 これら項目のうち、(2)の19項目は病院単位の事項であるが、残りはすべて病棟単位の事項となる(重複が2項目ある)。
 この日の検討会に、事務局は、前出(1)を構成する報告事項の1つ「現在の機能、将来時点の機能の予定」について、法案で、①「現在の機能」(現状)は「基準日における病床の機能」であるが、「将来時点の機能の予定」したがって「医療機能の今後の方向」は「基準日から省令で定める期間が経過した日における病床の機能の予定」とされていると説明。
 この「省令で定める期間が経過した日」をいつにするかとして、「2025年度の時点とする」案と「6年先の時点とする」案の2案を提起した。
 「2025年度」とすると、報告初年度からは11年先となるため、各医療機関は自院の病棟単位の医療機関を展望できない恐れがある。それに対して、「6年先」は次期から見直される医療計画の期間と一致するなど、一見、展望可能かと思われた。
 しかし、両案に対して、医療系の構成員は「6年先でも展望がつかない。医療機関は2年ごとの診療報酬改定を目安に病棟政策等を見直す。2年先とするのが妥当ではないか」と異議を唱えた。
 「今後の方向」の報告を求めるのは、ビジョンが示す2025年の機能別の病床必要量と“今後の方向”から導かれる量との乖離をもって、協議の場における調整課題とするためだ。
 しかし、地域のニーズ、自院資源、他医療機関との関係性、診療報酬や制度など複雑な要素から各医療機関は政策を選択する。しかも、その情報は流動的である。
 「それだけに“1年先の方向”とし、報告制度の開始から毎年毎年、各医療機関に医療機能の選択を考えさせた方が、結果として必要量への収斂に近づいていくことにならないか」として、「1年先」を提案する構成員も出るなど、意見は分かれた。
 検討会は、この問題を、次回さらに議論することを確認した。

新たな財政支援制度の交付要綱案(いずれも未定稿)

3月20日の担当者会議から *1面記事を参照

□交付の条件
 都道府県計画を策定する際には、次の点を交付の条件とするので留意されたい。
 (1)国が定める総合確保方針に従うこと。事業内容が新たな財政支援制度の対象事業に合致していること。
 (2)官民を問わない幅広い地域の関係者(市町村長、医療を受ける立場にある者、医療保険者、医療機関、診療又は調剤に関する学識経験者の団体その他の関係団体(医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会、病院団体等)、学識経験を有する者等)から意見を聴取すること。
 (3)新基金の趣旨に鑑み、官民に公平に配分することとし、都道府県計画で公的・民間の割合・額を明示し、当該割合についての理由や都道府県の見解を付すこと。
 (4)地域包括ケアの推進等のため特に必要と考えられる新たな事業や、「医療介護総合確保推進法案」に位置づけられた事業(地域医療支援センター、医療勤務環境改善支援センター)は、実施を必ず検討すること。検討状況を都道府県個別ヒアリング及び国の総合確保方針を策定する協議会で報告することを予定している。

□留意事項(関係省庁等と調整中のため変更もありうる)
【新基金の配分方法】
・新基金の配分は、都道府県人口、高齢者増加割合等の基礎的要因や都道府県計画の評価等の政策的要因を勘案して、都道府県計画に基づき、予算の範囲内で行うことを検討。
・総合確保方針を策定するための国の協議会で配分方法を報告。
【新基金の対象事業】
・診療報酬や他の補助金等で措置されているものは対象としない。また、既に一般財源化されたもの及び地方単独事業の単なる新基金への付替えは慎重に検討すること。
・病床の機能分化・連携を推進するための基盤整備は、2014年度を含め、地域医療構想(ビジョン)策定前は、回復期機能を担う病床等への転換など、その地域での整備が必要であることが明らかとして都道府県計画に定めたものが対象となること。
【新たな財政支援制度における対象事業(案)】
○は地域包括ケアの推進等のため特に必要と考えられる新たな事業
①病床の機能分化・連携(例)ICTを活用した地域医療ネットワーク基盤の整備
○精神科長期患者の地域移行を進め、医療機関の病床削減に資するため、精神科病床のデイケア施設や地域生活支援のための事業―の移行を促進するための施設・設備整備
○がんの医療体制における空白地域の施設・設備整備
○地域医療支援病院やがん診療連携拠点病院等の患者に対する歯科保健医療の推進 等
②在宅医療(歯科・薬局を含む)の推進(例)
○在宅医療の実施に係る拠点の整備
○在宅医療に係る医療連携体制の運営支援
○在宅医療の従事者やかかりつけ医の育成、在宅医療推進協議会の設置・運営訪問看護の促進、人材確保を図るための研修等の実施
○認知症ケアパスや入退院時の連携パスの作成など認知症ケア等に関する医療介護連携体制の構築
○認知症疾患医療センター診療所型における鑑別診断の実施
○早期退院・地域定着支援のため精神科医療機関内の委員会への地域援助事業者の参画支援 等
③医療従事者等の確保・養成
ア)医師確保対策(例)地域医療支援センターの運営(地域枠修学資金の貸与事業、無料職業紹介事業、定年退職後の医師の活用事業を含む)
○地域医療対策協議会における調整経費産科・救急・小児等の不足している診療科の医師確保支援
○医科・歯科連携に資する人材養成のための研修の実施
○女性医師や歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、歯科技工士の復職や再就業の支援 等
イ)看護職員等確保対策(例)新人看護職員・看護職員等の質の向上を図るための研修の実施看護師等養成所における教育内容の向上を図るための体制整備
○看護職員が都道府県内に定着するための支援
○医療機関と連携した看護職員確保対策の推進看護師等養成所の施設・設備整備、看護職員定着促進のための宿舎整備等
ウ)医療従事者の勤務環境改善対策(例)
○勤務環境改善支援センターの運営各医療機関の勤務環境改善や再就業促進の取組―の支援電話による小児患者の相談体制や休日・夜間の小児救急医療体制の整備
○後方支援機関―の搬送体制整備 等

□スケジュール案(6月法律成立の場合)
4月中旬●第1回都道府県別ヒアリング(14年度事業として想定している内容、基金の規模感等)
5~6月●第2回ヒアリング(14年度事業の検討状況、15年度の規模感等)
7月●国に協議会設置、総合確保方針の提示。交付要綱等の発出(発出から都道府県計画の提出まで1~2ヵ月程を想定)
9月●各都道府県で計画を策定
10月●都道府県へ内示
11月●交付決定