全日病ニュース

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訪問診療料 「同一建物」の複数患者に除外規定など、当初案を一定緩和

全日病●2014年度診療報酬改定説明会(3月12日)
訪問診療料 「同一建物」の複数患者に除外規定など、当初案を一定緩和

救急医療管理加算2は報告が要件。患者実態を捕捉、次回改定に向けて検証

■「2014年度診療報酬改定(医科)の概要」(要旨)
*文中の点数表記は該当項目の場合は消費税分を含んでいる

厚生労働省保険局医療課 課長補佐 一戸和成 

 2014年度改定の改定の契機となったのは、病床の機能分化や地域包括ケアシステムを進めていくべしとの考え方を提唱した社会保障制度改革国民会議の報告書である。これを踏まえて、社会保障審議会は、重点課題を「医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等」の1点に絞った基本方針をまとめた。その結果、主に7対1病床のあり方が見直されることになった。
 7対1病床が存在することが悪いということではないが、現在の病床分布のままでは、高齢社会のニーズに耐えられない。今改定で、現在の病床分布が「2025年の姿」に近づく方向がみられなければ、次またその次と、色々な誘導がかけられていくことだろう。
 まず、7対1については、特定除外制度、重症度・看護必要度、短期滞在手術、在宅復帰率、そしてデータ提出について見直しが行なわれた。
 特定除外の廃止は、12年度改定における13対1、15対1病棟と同様、病棟ごとに、①出来高で算定する場合は平均在院日数に組み込む、②療養病棟の支払いと同等にする場合は平均在院日数には組み込まない、という選択を行なっていただく。
 ただし、療養病棟の支払いを選択した病棟について、14年の3月31日時点で入院している患者は医療区分の3とみなす特例を設ける。さらに、療養病棟の選択をしたうちの4床だけは1年間(15年の9月30日まで)、出来高で算定でき、かつ、平均在院日数の対象から除外もできる特例を設けた。
 「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」に関しては、血圧測定と時間尿測定を削除し、呼吸ケアについては喀痰吸引だけの場合はカウントしないとしたほか、必要な項目を追加した。また、これまで重症度・看護必要度がなかった救命救急入院料を算定する7対1の医療機関にも導入すること、さらに、1割に据え置かれていた悪性腫瘍専門病院の基準を1割5分に引き上げることも行なった。
 一方、10対1には急性期の看護補助体制加算というのがあるが、現在の規定では、重症度・看護必要度の基準が1割以上でないと算定できない。今回の見直しによってかなりの医療機関がこの加算を算定できなくなるので、基準を5%に緩和した。
 ICUには上位区分(特定集中治療室管理料1と2)を設けた。経験を5年以上有する医師2名以上、病床面積20m2以上、臨床工学技士の24時間院内常駐要件となる。そして、ICUの新看護必要度の基準は、今までの「A3点またはB3点以上が9割」というのを、「または」から「かつ」に変えた。これは、現行項目も同様であるが、新看護必要度に関しては9割のところを8割に緩和している。
 ICUの見直しに対応できない医療機関の受け皿として、点数差が大きかったハイケアユニットに上位区分(ハイケアユニット入院医療管理料1)を設けた。ここも新看護必要度における「または」を「かつ」に変えたが、その代わりに2,000点引き上げている。
 この基準を満たせない場合は、500点引き下げたハイケアユニット入院医療管理料2をとっていただくことになる。ハイケアユニットの1は常時4対1であるが、2は常時5対1と看護配置も緩めている。
 したがって、ICUの新看護師必要度を満たせない場合はハイケアの1を、それがとれなくなったら2をとる。これでだめなら、7対1を算定していただくという形の設計になっている。今改定の経過措置は基本的に半年であるが、ICUの見直しは影響が大きいので、経過措置は1年とした。
 短期滞在手術等基本料3は21種類の検査・手術について一入院払い方式とした。どんな病態であっても、5日目までに21種類の手術・検査を行なった場合は必ず短期滞在手術基本料3で算定していただく。
 5日以内に退院した場合は平均在院日数の計算対象から除外するが、6日目以降は出来高となる。これはDPCの病院も同様で、DPCではなく、出来高の点数でとっていただくことになる。
 7対1の在宅復帰率(75%以上)は計算式から転棟や死亡退院を除いた。死亡退院は、これに限らず、すべての計算式で分母・分子から除いている。退院先の施設は必ず在宅復帰率がかかっており、ここに記されている以外の施設は分子にならない。7対1の新たな届け出には直近6月間の実績が必要となる。
 最後のデータ提出の要件化であるが、これまでデータ提出加算は年1回しか受け付けなかったが、要件化にともなって年4回の受け付け期限を設けた。経過措置は1年としたが、今届け出ていない病院は2月に届け出たのでは多分間に合わない。3回目を11月20日とする予定であるが、ここまでに出していただかないと間に合わない可能性がある。
 次に、総合入院体制加算1(240点=14日以内)を新設した。
 これまでの総合入院体制加算は全身麻酔手術800件以上というのが要件の基本であったが、新たな上位区分は、全麻800件の要件で望ましい基準とされてきた手術等の実績をすべて満たすとした上で、救命救急センターや精神科病棟を有し、かつ、地域包括ケア病棟入院料や療養病棟入院基本料は届け出ていないといった、病院全体が急性期であるところを対象としている。地域包括ケアや療養病棟を有しないというのは、点数が据え置かれた総合入院体制加算2の新規届け出の場合も同様である。

 

7対1から地域包括ケア病棟への移行で看護師余剰はそれほど生まれず

10対1の急性期看護補助体制加算は新看護必要度の基準を5%に緩和

病室面積は15年4月以降内法で測定

 療養病棟入院基本料1を届け出て自院で透析を行なっているところには慢性維持透析管理加算(100点)を設けた。これは、患者ごとに算定できるが、透析を受けていない日もとれる。さらに、療養病棟における超重症児(者)・準超重症児(者)加算の対象を、15歳を超えて障害を受けた者にも拡大した。その代わりに、1年の経過措置を設けた上で、一般病棟における算定日数を90日とする。ただし、障害者施設等入院基本料、特殊疾患病棟入院料、特殊疾患入院医療管理料については算定上限を設けないことにした。
 一方、療養病棟入院基本料1に導入された在宅復帰機能強化加算(10点)は基準を50%以上とした。他の在宅復帰率と違って1ヵ月以上の入院かつ在宅生活が1月以上(医療区分3は14日以上)継続の患者に限るので、短期で回転する患者はカウントされない。
 在宅生活の1月以上継続という点は、医療機関の方で訪問していただくか、在宅を担当している医療機関に確認をとっていただくことになる。病床回転率が10%以上というのは平均在院日数が304日以下ということになる。この加算がとれる病棟は7対1の在宅復帰率計算で分子に入るので患者受け入れの窓口となり、非常に重要な意味をもつと考える。
 さて、新設の地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)であるが、亜急性期入院医療管理料にはない要件として、専従リハ職の配置、「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」A項目1点以上が10%以上であること、データの提出、そして、在宅療養支援病院、在宅療養後方支援病院、2次救急医療機関、救急告示病院のいずれかに該当すること、というのがある。在宅復帰率は6割以上から7割以上に引き上げた。
 また、看護職員配置加算と看護補助者配置加算そして救急・在宅等支援病床初期加算(14日まで)があり、それぞれ150点となっている。
 よく、疾患別リハを出来高でとれないのかという質問があるが、リハは包括されているのでとれない。また、「リハは2単位以上提供していること」とされていることに対して「3単位目以降は出来高になるのか」という質問もあるが、すべて含まれているので、それもできない。当然のことながら、リハはそれを必要とする患者に実施されるものであり、すべての患者に提供する必要はない。
 看護職員配置等の加算は、入院基本料等の他の看護配置関係加算との併算定はできない。地域包括ケア病棟入院料は13対1の看護配置であるが、看護職員配置加算は病棟全体で10対1の看護配置になっていないととれない。さらに、看護補助者を加えて7対1相当になると、さらに、看護補助者配置加算の150点が加算になるという計算になる。
 看護師の数は10対1となる看護職員配置加算までしかカウントされず、看護補助加算は基本的にみなし補助者は認められない。つまり、看護師を補助者としてカウントするのは認められないわけだが、1年間に限り、看護補助者の半分を看護師として当てることができるという規定にしている。したがって、7対1から地域包括ケア病棟へは、それほど看護師を減らさなくても移行が可能ということになる。在宅復帰率であるが、7対1と違って分母と分子に、行先は療養病棟だけであるが、転棟が入っている。
 なお、10対1の病院が仮に4病棟のうちの2つを地域包括ケアに振り替えるとすると、10対1と13対1の間の配置差を活用して残りの病棟に看護師を寄せると7対1が取りやすくなる。したがって、この3月31日まで10対1以下の病院は地域包括ケア病棟入院料と7対1入院基本料を4月1日以降同時に届け出ることはできない。それらの病院が7対1と地域包括ケアに移行したければ、一回、7対1に移ってからあらためて地域包括ケアを届け出る必要がある。
 また、病室面積については、今回、15年4月以降、壁芯ではなく内法により測定するということを明確にした。地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)の1と2の違いは在宅復帰率と面積だけであるが、15年の3月31日までの届け出は壁芯の6.4m2でよい。
 なお、DPC病棟の中に地域包括ケアの入院医療管理料を設ける場合、一度DPCを算定した患者は、この病室に移っても、出来高になるまではDPCの点数を取り続けることになるので、ご留意いただきたい。つまり、地域包括ケアの点数が高いからといって、DPCが安くなったときに移しても地域包括ケアの点数はとれないということである。

 

紹介率初診患者からウオークインや救急車を除く

 外来に関しては、まず、地域包括診療料(1,503点=月1回)であるが、これは、診療所または許可病床200床未満の病院が対象になっている。地域包括診療料は今後につなげていきたいと考えている。
 要件であるが、まず、4疾患のうち2つ以上に該当する患者でないと算定できない。疑い病名は認められない。その上で、算定する患者については7剤投与の減算規定を外す。1月単位で算定したりしなかったりができる地域包括診療料であるが、算定していないときに7剤以上出すと減算規定にかかるので注意していただきたい。
 担当医としてまず取り組んでほしいのが服薬管理で、患者に処方されている薬のすべてを把握し、カルテに書いてもらう必要がある。具体的には、お薬手帳をコピーしてカルテに貼付するわけだが、電子カルテの場合は手で打ち込んでいただくようお願いしている。
 また、担当医には医療と介護のつなぎ役を務めてもらうということで、主治医意見書の作成や介護保険サービスを提供しているなど介護保険制度との関わりを要件にしている。それから、当該点数を算定する患者には24時間対応していただかなくてはならない。
 処方については、病院、24時間開局の薬局であれば院外処方できるが、24時間薬剤師がいる薬局がなければ、その患者については院内処方していただくということになる。
 大病院の外来については、12年改定で特定機能病院と一般病床500床以上の地域医療支援病院の初再診料に紹介率と逆紹介率の要件を入れたが、今回、その要件を、特定機能病院と許可病床500床以上の地域医療支援病院は50%・50%に上げ、これらを除く許可病床500床以上の全病院(一般病床が200床未満を除く)には40%・30%という要件を入れた。
 これに加え、この要件を満たさずに減算を受ける医療機関が、一部薬剤を除いて、30日分以上の投薬を行なった場合は処方料、処方箋料、薬剤料を60%にすることにした。
 ここで、紹介率と逆紹介率の初診患者数の定義であるが、今までは夜間・休日にウオークインや救急車の患者をすべて加えていたが、医政局の検討もあり、除くことにした。
 在宅医療であるが、12年改定で導入した機能強化型在支診・在支病の実績要件(緊急往診5件以上、在宅看取り2件以上)を倍にした。さらに、複数の医療機関が連携して常勤医を3人以上確保している場合は、それぞれの医療機関が緊急往診4件以上、看取り2件以上を満たしていることとした。
 つまり、連携を組むところすべてに実績がないとだめだということである。半年間の経過措置があるので、その間に連携の組換えを行なっていただく必要がある。その一方、機能強化型の新たな要件をクリアできる支診・在支病は、医師が3人いなくても高い点数の加算をとれるようにした。
 それから、在宅医療を後方支援する病院を設けた。
 在宅療養後方支援病院は必ずしも在宅をやらなくてもよいが、あらかじめ届け出ている在宅患者を緊急入院させると在宅患者緊急入院診療加算(2,500点=入院初日)が算定できる。ただし、500床以上の病院については難病の患者等に限られる。さらに、在宅を担当している医療機関と共同で往診や訪問診療を行なった場合に算定できる在宅患者共同診療料を新設した。
 不適切事例への対応ということで、訪問診療料や在宅時医学総合管理料(在総管)と特定施設入居時等医学総合管理料(特医総管)の「同一建物」の点数を引き下げた。
 誤解があるようだが、例えば、サ高住とか有料老人ホームに行って1日1人を診た場合も、いきなりこの安い1,200点(機能強化型の在総管=同一建物)かというと、それはそうではなく、1日に1人しか診なかった場合の訪問診療料(1=同一建物以外)は833点であり、在総管は5,000点(同一建物以外)を算定していただくことになる。
 在総管や特医総管は月2回訪問すればいいので、今回は、1回だけはまとめて診察してもよいが、残り1回は必ず1人に1回ずつ行っていただく。それであれば高い点数をとってもいい。つまり、2回のうち1回が「同一建物以外」の高い点数をとっていれば、管理料(在総管、特医総管)も高い点数をとって構わないという形にしてある。ただし、同一患家等で夫婦等が共に訪問診療の対象である場合は管理料は減額されない。
 それから、今まで在総管や特医総管は往診と訪問診療料でもとれたが、今回、訪問診療料を2回算定しないとだめだというようにしたので、そこはご注意いただきたい。
 また、「同一建物」の複数人という考え方に除外規定を設けた。1つは、例えば午前中に訪問診療した後、午後に別の患者が急に発熱して往診しなければならなくなった場合は、同一建物のカウントから外す。さらに、末期の悪性腫瘍とか亡くなる直前の患者は「同一建物」としてカウントしない。つまり、例えばがんの末期の患者を2人診た場合には、2人とも高い訪問診療料を算定するという形になっている。
 今回の改正で、業者による患者紹介とかは療養担当規則で禁止される。療担規則は省令であり、通知レベルと違って非常に重く、一般的には療担に違反すると保険医療機関の取り消しとかに至ることもあるので、よくよく注意していただきたい。
 訪問看護も同一建物については厳しくする。ただし、訪問診療が2人目からなのに対して、訪問看護は3人以上の場合に1人目から減額となる。
 訪問看護については機能強化型訪問看護ステーションの評価を新設した。看護職員が7人あるいは5人以上いて、24時間対応で難病患者やターミナルのケアを行なっている場合は、月の初日の訪問看護管理療養費を5,000円もしくは2,000円引き上げる。
 また、訪問看護の算定要件に褥瘡対策を追加した。リスクアセスメントを行なって褥瘡に対応するとともに、毎年1回、褥瘡患者に関する報告をしていただくという内容だ。
 この褥瘡対策については在宅患者訪問褥瘡管理指導料(750点)を新設した。医師、看護師、管理栄養士による在宅褥瘡対策チームが組まれ、月1回以上訪問したりカンファレンスを行なった場合に、3ヶ月毎に1回、2回まで算定できる。
 在宅自己注射に関しては、導入の初期加算(500点)を設けた上で、1月の注射回数に応じて指導管理料の点数を設定するという見直しを行なった。導入初期加算は投与薬剤を変更した場合にも、1年に1回であるが、算定できる。
 続いて医療・介護連携であるが、維持期のリハに関しては、入院患者については期限を設けず月13単位の対象とし、外来患者については、14年3月31日までの経過措置を2年間延長した。その際に、過去1年間に通所リハ等介護保険の実績がない医療機関は1割減算する一方、医療保険から介護保険のリハに移行させた場合は、介護保険リハビリテーション移行支援料として500点加算する。これは、当該患者について1回限りである。

 

廃用症候群は運動器リハと同じ180点

 ここからは個別課題に移る。まず、がんについては、転院先を含めて最大2回しかとれなかった患者相談(がん患者カウンセリング料1=500点)を拡充し、心理的不安の場合は看護師(同2)が、抗がん剤を飲んでいたり点滴している場合は薬剤師(同3)が相談に乗った場合にそれぞれ200点(いずれも6回限り)を新設する。
 外来化学療法は、点滴の抗がん剤を外来で実施する体制を整備した施設を評価するという本来の趣旨に沿った形に戻した。すなわち、点滴で行なう抗がん剤は点数の高い外来化学療法加算のA、点滴で行なう一部のリウマチ薬等は点数の低い外来化学療法加算のBとし、皮下注、皮内注、筋注は対象から除外するということにした。
 救急医療管理加算(800点)に関しては、アからコまである要件のうちの「コ」という“準ずる状態”が非常に多い医療機関があり、重症患者を診ているとは言えないといったデータもあることなどから、400点とした。この「コ」については医療機関に報告を出していただくことにした。次回改定に向けて、現在の規定で加算の対象として妥当であるにもかかわらず算定できない患者はいるのか、そもそもこの規定が要るのかということなどを検証していくことになる。
 続いてリハビリテーションであるが、一般病棟の7対1、10対1でリハ専門職を配置した場合に評価するADL維持向上等体制加算(25点)を設けた。これはリハ専門職を専従で配置した場合にとれるのだが、疾患別リハの患者は算定できない。さらに、ADLが低下した人の割合が3%未満、院内で発生する褥瘡の割合が1.5%未満でなければいけないという規定をクリアしなければならない。
 このADLは、現時点では、バーセルインデックス(BI)で評価してもらうことを考えている。DPCにはBIの代用となるADL評価表があるので、DPCは、15年3月31日までは、そのデータで新たな届出ができる。ただ、最終的にはBIを用いることになるのでご留意いただきたい。なお、常勤医の研修要件には1年間の経過措置が適用される。
 リハの早期加算、初期加算は、入院中しかとれないものを、脳卒中と大腿骨頚部骨折の患者で地域連携パスをつくった場合には外来でもとれるようにするというものだ。外来でとれなかった運動器リハのⅠも、今回、外来でとれるようにした。
 次に廃用症候群に対するリハの評価の見直しであるが、本来、疾患別リハでとるべき患者でありながら、点数が高かったがために何でも廃用症候群にしていたところがあるので、運動器リハの点数と同じ180点とした。運動器リハⅠは175点であるが、今改定で、脳血管リハを除いた他の疾患別リハともども5点引き上げている。
 回復期リハ病棟入院料1に新設した体制強化加算(200点)は専従医師と専従社会福祉士の1名ずつ配置が要件であるが、医師は専門医というだけではなく、研修も受けていなければならない。さらに、病棟に張りつきということで、外来をすることは認められない。この要件を緩めるつもりはまったくなく、1日でも外来に出たらさかのぼって全部返還ということになるので、ご注意いただきたい。
 この回復期リハ病棟入院料の1は休日リハビリテーション提供体制加算を包括し、半年間の経過措置を設けた。また、重症度・看護必要度の見直しは多くの回復期リハ病棟をして「1」がとれなくなる恐れがあることから、A項目1点以上の割合を1割5分から1割に引き下げた上、半年間の経過措置を設けた。
 リハビリテーション総合計画評価料に新設した入院時訪問指導加算(150点=入院中1回)は、在宅復帰率がある中で、患者の自宅の構造を知らずにリハビリ計画を立てても役に立たないということで、入院したときに自宅などの退院先まで訪問してもらい、それに基づいた計画を立てた場合に150点加算するというものだ。
 手術に関しては、新たに届け出が必要な手術というのが必ず出てくる。今回は改定説明会等を通して、届出が必要なものをすべて出している。「知らなかった」というのは通用しないし、我々も規定どおり運用していくので注意していただきたい。
 胃瘻については造設術の点数を4,000点引き下げて6,070点とした。ただし、胃瘻造設を行なう前に、その患者さんの嚥下状態の機能を評価した場合は胃瘻造設時嚥下機能評価加算として2,500点戻す。その上で、年間の実施(頭頸部悪性腫瘍を除く)が50件未満であればいずれも100/100算定できるが、50件以上で、全例に術前の嚥下機能評価を実施、かつ、経口摂取回復率が35%以上という要件を満たさないとともに2割減算されるかたちにした。
 また、摂食機能療法に経口摂取回復促進加算(185点)を設けた。この要件も、経口摂取回復率が35%以上である。さらに、胃瘻カテーテルの抜去・閉鎖を評価する胃瘻抜去術の技術料(2,000点)も新設した。

 

手術・処置の休日・時間外・深夜加算を大幅アップ

 実は、今改定のメインテーマの1つは各医療機関にデータを出していただくということである。そこで、今まで対象病棟が限られていたDPCのデータ提出加算は全病棟を対象にすることにした。
 この加算の算定要件は診療録管理体制加算の届出であるが、今までは規模にかかわらず点数が同じであったため、今回上位区分を設け、年間退院患者数が2,000名当たり1人の専任の常勤の診療記録管理者が配置され、1人が専従である場合は診療録管理体制加算1として100点とした。これまでの加算は2となる。
 ただし、2,000名未満であっても1人は専従者でないと100点算定できない。それと、退院してから14日以内に退院時要約を作らなければならないが、その割合は9割である。これは、医師のお尻を相当たたかないとできないことだろう。
 最後に、勤務負担軽減についてお話したい。今回、手術と1,000点以上の処置について、休日や時間外、深夜の加算を大幅に引き上げ、従来の加算は2とした。
 新たな加算は、(1)予定手術前の当直(緊急呼び出し当番を含む)の免除の実施、(2)交代勤務制かチーム制の導入あるいは「時間外・休日・深夜の手術(または1,000点以上の処置)を行なう医師への手当支給」のいずれかの実施、(3)採血・静脈注射・留置針によるルート確保は医師以外が実施していること、などが要件である。
 内視鏡検査にも休日・時間外・深夜加算を創設した。また、急性期看護補助体制加算に上位区分(25対1)を設けた上で、現行の50対1と75対1の点も引き上げた。
 さらに、医師事務作業補助体制加算にも新しい高い点数を設定(医師事務作業補助体制加算1)し、現行のものは2とした。新たな1は医師事務作業補助者は病棟または外来で8割以上仕事することが要件であり、医事課とみまがうような業務はまかりならないということである。これ以外にも、1と2とも、貴重な看護職員を医師事務作業補助者として届け出ることはできない。