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規制改革会議:「選択療養制度」に田村厚労大臣は慎重。保険者は反対を表明

規制改革会議
「選択療養制度」に田村厚労大臣は慎重。
保険者は反対を表明

 

 3月27日の規制改革会議は、現行の保険外併用療養費制度に「選択療養制度(仮称)」を導入、「一定の手続・ルール」にしたがって提供される保険外診療に併用される診療に保険給付を認める仕組みの創設を提案した(4月1日号既報)。
 この提案に対して、田村厚生労働大臣は4月4日の閣議後記者会見で、「我省は以前から安全性と有効性が一定程度認められる中で保険診療を目指していくことを前提としている。これは外せないところで、そこをしっかり念頭にもった上で対応していくが、その中でどういう仕組や工夫ができるか、努力をしていきたい」と述べ、慎重な反応を示した。
 一方、健保連、国保中央会、全国健保協会の保険者3団体は4月3日に共同見解を発表、規制改革会議の提案に「選択療養は有効性・安全性が不十分な医療行為を広く患者に提供するもので、患者に健康上の不利益をもたらす可能性がある」として反対を表明した。
 以下に、規制改革会議が提起した「選択療養制度」構想の骨子を掲載する。

規制改革会議「選択療養制度(仮称)の創設について(論点整理)」から(抜粋)

【「選択療養制度(仮称)」の新設】(新たな仕組みの考え方)
1. 保険外併用療養費制度に、以下のような「選択療養制度(仮称)」を設けてはどうか。
(1)「選択療養(仮称)」とは、患者が自己の選択によって保険診療と併せて受ける保険外診療(評価療養、選定療養を除く)で、一定の手続・ルールに基づくものをいう。
注)「選択療養(仮称)」は、個々の患者の個別ニーズにそのつど即応するための新範疇であって、先進医療のように対象となる療法や薬剤等を予めリスト化するものではない。また、必ずしも「評価療養」のように保険導入のための評価を行うものではないが、広く使用される実績に応じて保険収載され得るものである。
(2)患者が保険診療と併せて「選択療養(仮称)」を受けたときは、その保険診療に要した費用について保険給付を認める。
2.「一定の手続・ルール」の考え方
(1)「一定の手続・ルール」は、①患者がその診療を選択するにあたって必要な情報が医師から患者へ十分に提供され、それが書面で確認できること(注)、②医師のモラルハザードが防止されること、を大前提とすべき。
 注)患者が未承認薬などの選択を希望した場合、医師は併用する保険外診療について診療計画書を策定し、患者に、(a)必要性と(b)リスクを書面を用いて十分に説明し、患者は書面により併用を承諾することとする。
(2)手続・ルールの枠組みは、①患者・医師間の診療契約書を保険者に届け出ることで保険給付が行われるようにする、②患者から保険者に保険給付の切替えを申請、保険診療に悪影響を及ぼすことが明らかな場合等を除き保険給付が認められるようにするなど、いくつかの考え方がある。
 いずれの場合も、「選択療養(仮称)」に該当するかどうか極めて短期間に判断できる仕組みとすることが重要。
(3)具体的な手続・ルールは引き続き検討し、早期に結論を得ることとしてはどうか。
3. 事後の検証この制度のもとで提出された諸資料は、保険外診療の経過(予後)と併せてデータベース化し、一定の汎用性・有効性が認められた医療技術は「評価療養」の対象としたり、保険に収載してはどうか。また、データベースの分析結果を本制度の見直し等に反映させてはどうか。
4. 施行状況の検討新しい仕組みの発足後一定期間内に、施行状況に検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて制度を見直してはどうか。