全日病ニュース

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社会医療法人:実績動向を注視し、一時的な基準割れには慎重に対応すべし

社会医療法人
実績動向を注視し、一時的な基準割れには慎重に対応すべし

厚労省が通知改正。事前に事業改善を指示。取り消しの1年猶予も

 

 厚生労働省は3月31日付で医政局長通知(医政発0331第27号「社会医療法人の認定の取消しに係る取扱いについて」)を発出。
 要件を満たせない社会医療法人の認定取り消しによって地域医療に混乱を与えるような事態が起こらないようにすべきであるとして、当該社会医療法人に対する指導と認定取り消しの猶予条件を新設し、「社会医療法人の認定について」(2008年医政局長通知)を一部改正し、各都道府県に周知を要請した。
 認定通知の一部改正点は要旨以下のとおり。
 ①所管する社会医療法人に救急医療等確保事業の状況を適宜確認すること。
 ②要件を満たせなくなる恐れのある社会医療法人には事業の改善を指示すること。
 ③事業の継続の意思があるものの要件を満たせなくなった社会医療法人に関しては、改善の見込みがある場合には改善計画書の提出などを条件に1年間の猶予を与えることができる(この猶予は必要に応じて再度与えることが可能である)こと。

□「社会医療法人の認定について(2008年医政発第0331008号)」の一部改正

 (第3社会医療法人の認定等に当たっての留意事項の「5社会医療法人の認定の取消し」に(2)を新設。以下は(2)の概要)都道府県知事は、社会医療法人が救急医療等確保事業基準を満たせなくなることで認定の取消し手続きを突然開始し、地域医療に混乱を与えてしまうことのないよう、所管の社会医療法人に基準を満たすことができないおそれがないか適宜確認するとともに、そのようなおそれが判明した場合には、当該社会医療法人に事業の改善を指示すること。
 また、基準を満たすことができない場合にも、当該社会医療法人に事業継続の意思があり、かつ都道府県知事が一定の猶予を与えれば改善が可能であると認める場合には、当該社会医療法人に対して1年間の猶予を与えることができること。
 猶予を与えるかどうかの判断は、改善計画書など必要な資料を提出させた上で行なうこと。一定の猶予を与えれば改善が可能であると認める場合としては、・救急医療等確保事業の医師が一時的に確保できず、同事業の実績が低くなったものの、別の医師の確保が可能で、これによって実績が回復する見込みがある場合、・救急医療等確保事業の施設が破損したため、同事業の実績が低くなったものの、当該施設の修繕等が可能で、これによって実績が回復する見込みがある場合、・へき地医療に関して、災害等によってへき地診療所が一時的に閉鎖したものの、近いうちに再開し、これによって実績が回復する見込みがある場合など多様なケースが考えられるが、必要に応じて厚生労働省に相談すること。
 この猶予は必要に応じて再度与えることが可能であるが、その際は慎重に審査した上で行ない、安易に繰り返し与えることのないようにすること。