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田村厚労大臣「法人が医療法人の社員になれることを明確化」

 

田村厚労大臣
「法人が医療法人の社員になれることを明確化」

【経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議】
非営利HC構想が俎上に。健康・予防など公的保険外サービスの創出も

 

 政府は4月16日に経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議を開催、社会保障制度改革と健康産業振興策の具体策を議論。薬価改定、非営利ホールディングカンパニー型法人制度(以下「非営利HC」)、混合診療などが俎上にあげられ、安倍首相は、関係大臣の一致した協力で必要な規制改革を進めるよう指示した。
 経済財政諮問会議の伊藤議員(東大大学院教授)は薬価改定を取り上げ、「2年に一度ではなく、毎年市場価格に合わせて調整していくべき」と提起。診療報酬についても、「公共料金的な側面があり、より踏み込んだ費用評価、徹底した査定を実施すべき」とし、原価解明によって診療報酬の引き下げが可能と主張した。
 さらに、「地域間を比較することによって、日本の医療費を抑え込むことが可能」とも指摘。「都道府県ごとにベストプラクティスをベンチマークとして、あるべき医療需要をしっかり目標に立ててPDCAマネジメントをしていく」ことを提案。そのためにもICTを使った医療情報の収集が重要とした。
 産業競争力会議の増田議員(東大公共政策大学院客員教授)は非営利HCの構想を紹介し、「これにより経営の効率化が図られる。また、フィットネスクラブ等の民間事業者との共同事業で、公的保険外ヘルスケア産業の活性化につながる。我が国にも米国のメイヨー・クリニックのような大規模医療法人が生まれるようにすべき」と論じた。
 同議員は、また、「保険者及び経営者に対する健康増進や予防に強いインセンティブを与える制度」の導入を検討するよう求めた。
 これに対して、茂木経済産業大臣は、医療・介護分野における公的保険外サービス創出の取り組みとして、①生活習慣病関連の予防等サービスを公的保険外にシフトしていく、②簡易な血液検査は規制外である等グレーゾーンの解消に努め、事業環境を整備する、③企業の健康経営取り組みに関する評価指標を設定するなど健保への財政的インセンティブを導入する、④健康サービスの品質認証を先行的に実施する、などの施策案を紹介した。
 こうした提案等に、田村厚生労働大臣は、厚労省で検討を進めている事項を以下のとおり説明した。
(1)非営利HCについては、まず、法人が医療法人の社員になることができることの明確化を図る。制度の具体的内容は2014年中に結論を得て、15年中の措置を目指す。
(2)健康増進や予防へのインセンティブに関しては、保険者が加入者に、ヘルスケアポイントの付与、現金給付などを選択して行なうことができる取り組みを促進していく。
(3)保険外併用療養については、(適用の)評価の迅速化を図ることが必要。このため、国内未承認の医薬品等を迅速に使用できるよう、現行制度上の仕組みを検討する。
(4)医療・介護のICT化では、医療情報連携ネットワークの普及促進や情報分析と利活用の高度化を進めるとともに、医療情報の番号制度の導入を検討する。
 田村大臣は、「保険外併用療養については今いろいろ調整しているが、いずれにしても、必要としている患者がなるべく早く保険外併用療養の中でアクセスできるよう、さらに詰めていきたい」と述べるなど、現行制度の枠内で対応するという立場を堅持した。
 他方、規制改革会議の岡議長は「保険外併用療養費制度の改革」を取り上げ、「3月に選択療養創設の提案を行なった。年央に取りまとめる規制改革の答申に提案を盛り込んでいく」考えを明らかにした。
 両会議の議長である安倍首相は、「本日出された提案を踏まえ、個人の予防・健康活動を促す仕組みや大学病院の別法人化を含め、医療介護サービスを効率的・総合的に供給する新たな法人制度の実現方策、そして、保険外併用療養費制度を大きく変える制度改革について、関係大臣で協力して案をまとめてもらいたい」と、議論をまとめた。