全日病ニュース

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麻生財務大臣:レセデータを活用した医療支出目標の設定を提案

麻生財務大臣:レセデータを活用した医療支出目標の設定を提案

麻生財務大臣
レセデータを活用した医療支出目標の設定を提案

【経済財政諮問会議】
民間議員 病床機能再編へ、病床類型を偏在・固定させない報酬体系を提言

 

 4月22日の経済財政諮問会議は、「歳出分野の重点化・効率」と題して社会保障制度改革について議論。
 民間議員を代表して、伊藤議員は、4月16日の産業競争力会議との合同会議における発言を踏まえ、要旨以下の提案を行なった。
(1)病床や介護施設の料金や費用は適正な原価を算定し、良質かつ効率的な病院・事業者のベンチマークの結果を報酬に反映すべき。
(2)薬価は、毎年、市場実勢価格を予算に反映することをルール化すべき。
(3)調剤費の技術料の妥当性・適正性について、コスト構造と併せて精査・検証すべき。その際、調剤重視から服薬管理・指導重視へのシフトを具体的に検討すべき。
(4)薬価は費用対効果を踏まえた保険適用の要否を、また、その中間的な仕組みとして、自己負担率を調整する効果・有用性を検討すべき。
(5)病床数と医療費には相関があり、都道府県の権能強化・規制的手法等により、早急に供給体制の適正化を進めるべき。病床機能再編に向けて、規制的手法や補助金誘導に加え、価格のひずみが病床類型を偏在化・固定化させないよう報酬体系を見直すべき。
(6)国のイニシアティブによる地域横断的な医療介護情報のICT化に加え、レセプトデータと健診データへの個人番号の導入を早急に行なうべき。
 他の民間議員からも、「院内処方よりも院外処方の方が種々の経費がかかるため、かえって高くなる場合もあることに注意が必要」等の指摘が出た。
 麻生財務大臣は、「毎年、薬価の市場実勢価格を予算に反映させるという提案はよく検討していかなければならない」と、薬価の毎年改定に前向きな姿勢を示した。
 麻生大臣は、また、「地域医療ビジョンにおける病床数の数量面取組みにとどまらず、費用面を含め、人口・年齢構成や疾病構造等に対応する合理的かつ妥当な水準の医療需要を地域ごとに算定する必要」を提起。
 「都道府県は、これを支出目標として設定して医療費の適正化を進めるべきである」とし、レセプトデータの統合的な利活用を訴えた。
 さらに、「こうした支出目標を国レベル・保険者レベルでも設定。これによって、国は、フランスの医療費支出国家目標制度(ONDAM)と同様の支出目標を実施できる」と論じた。
 田村厚生労働大臣は、民間議員からの指摘に、「病床数の見直し、在宅医療の充実、レセプトデータの活用等にも取り組んでいきたい」と応じた。
 安倍首相は、「本日の民間議員からの提言を踏まえ、引き続き、諮問会議で議論を深めて骨太な方針を掲げてほしい。ICTによる地域横断的な医療・介護情報の活用については、国や都道府県ごとの医療費の水準のあり方を含め、社会保障・税一体改革担当大臣において、その具体化に向けた検討を進めてほしい」と指示、地域横断的な医療・介護情報の利活用を積極的に進める意向を明らかにした。