全日病ニュース

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<報告●「平成25年度個人情報保護に関するアンケート調査」の結果>
53.1%がSNSに制限をかけず。USBへの制限も27.6%

<報告●「平成25年度個人情報保護に関するアンケート調査」の結果>
53.1%がSNSに制限をかけず。USBへの制限も27.6%

診療情報開示請求のあった施設が70%を越える。26.4%で開示請求が増加傾向

個人情報保護担当委員会委員 森山 洋 

 

 全日本病院協会は、平成17年より個人情報保護法認定保護団体として活動してきたが、その一環として、毎年、会員施設における取組みについてアンケートを実施している。
 調査に関して、平成25年度で変更した点は以下の4点である。
 ①アンケート依頼・回収時期の変更( 7~9月→12月~2月)②依頼・回収方法の変更追加(メールを利用したP D Fファイル送信を主にFAX・郵送を併用)③USBメモリー認識へのセキュリティ設定に関する設問の追加④SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に対する組織的対応に関する設問の設定本調査は、過去7年間常に40%台という高い回収率で推移してきたが、平成25年度の回答施設数は678病院にとどまり、回答率も27.8%(前年度42.1%)という残念な結果となった。
 その原因としては前出変更点①と②の影響が考えられるため、今年度の実施にあたっては、周知の問題を含めて改善が必要と認識している。
 今回は、これまで行ってきた全体群と歴年連続提出群の比較を主とせず、全体傾向と新項目に関する考察を主に報告する。なお、本調査については全日病ホームページに全結果を掲載する予定である。

◯回答の全体傾向
 「回答施設の概要」では、会員病院の数が2,363から2,442へと79もの増加ぶりと、中でも、500床以上の病院の割合が3.5%から6%へと増加した点が注目される。
 「個人情報保護法への組織的対応・準備について」では、「組織体制」と「規定整備」に変化は見られなかったが、「掲示物の設置場所・告知方法」において、「待合室への掲示」「入院案内への記載」「ホームページへの記載」がそれぞれ5%以上増加した。
 「情報システムのセキュリティについて」については、「アクセスへのログ管理」が8%増加した。
 また、「個人情報外部持ち出し制限内容」に回答項目として新設した「USB認識に対するセキュリティーの設定」については、27.6%の施設が物理的制限をかけていた。
 さらに、SNSに関する新しい設問では、53.1%の施設が特に制限をかけてなく、規定文書による制限が22.3%、すべて制限しているのは9.7%という結果であった(別表)。
 「個人情報保護法施行に際し、実施した事項」では大きな変化はなかった。
 「院内研修の実施状況について」では、「定期的な研修実施施設」が前年から7%増えて79.9%となったものの「開催時期」「対象者」「開催回数」に変化はなかった。
 一方、「職員への周知徹底、意識向上の為に研修内容で工夫している点」では、「外部講師の招致」が4.5%増の32.2%となった。この設問に関して、自由記入欄には、「報道での実例紹介や年に一度全職員に理解度テストを行っている」という事例が報告された。
 「外部の研修会への参加について」では、全設問とも変化が少なかった。
 「個人情報保護に関する苦情などについて」においても、「保険加入」「問題発生時の相談相手」「苦情件数」「補償事例数」等に変化はなく、苦情を除く「個人情報保護に関する相談・問合せについて」にも、変化は見られなかった。
 平成20年から設問に加えた「診療情報の開示について」では、開示請求があった施設が初めて70%を越えて72.4%(前年比7.7%増)となり、平成20年の53.5%から急激に増加していることがわかる(別表)。件数推移に関する設問でも、26.4%の施設で増えたと回答している。
 「当協会の個人情報保護法への取り組みについて」に対する回答からは年々活動が浸透していることが伺えるが、アンケートに連続して回答する施設群では、さらに認知度が高かった。
 以上の結果を踏まえ、本委員会は、今後も、アンケートや研修会を継続していくことで会員施設を支援していきたい。

□病院で定める正規の手続きを経た診療情報開示の請求の有無、及び□SNSに対する制限について は、PDF版7面を参照