全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2014年)第824回/2014年5月15日号法的義務となる「在宅医療・介護連携...

法的義務となる「在宅医療・介護連携の推進」へ、初の全国担当者会議

法的義務となる「在宅医療・介護連携の推進」へ、
初の全国担当者会議

全都道府県に担当課を配置。今後は各都道府県にアドバイザーを配置

 

 厚生労働省は4月24日に「都道府県担当者・アドバイザー合同会議」を開催した。
 介護保険法改正の2015年度施行によって「在宅医療・介護連携の推進」が法定事項となり、その施策を15年度からの第6期介護保険事業(支援)計画に組み込む必要があることから、都道府県、2次圏の連携調整支援事務局(保健所等)、市町村、地域包括支援センターと垂直の行政セクターを有機的につなぐ体制を整える必要がある。
 そのために、厚労省は、在宅医療連携拠点事業と在宅医療推進事業を通して都道府県に在宅医療・介護連携の担当課(室)を設置させる一方、国と都道府県に在宅医療・介護連携の実践経験をもつアドバイザーを配置、両者が一体となって、都道府県および市町村に連携推進にかかわる技術支援を行なう体制を整えた。
 それぞれ年に2回ほど全国会議を開き、厚労省からの情報提供、全国の事例報告、推進にかかわる方針と考え方の共有を行なう方針だ。
 今回はそれぞれ1回目の全国会議であるため、関係者の足並みをそろえるために合同の会議としたもの。
 「医療介護総合確保法案」には、介護保険法の改正事項として「地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化」が謳われ、その中に「在宅医療・介護連携の推進などの地域支援事業の充実」という項目が盛り込まれた。
 「在宅医療・介護連携の推進」は、「地域包括ケアシステムの構築に向けた市町村の取り組みを一層推進する」ために、「認知症施策の推進」や「地域ケア会議の推進」等とともに、地域支援事業の1つとして介護保険法に位置づけるというもの。
 具体的には、(1)「在宅医療・介護の連携推進」を介護保険法で恒久的な制度として位置づけ、全国的に取り組む、(2)そのために、介護保険法の地域支援事業の包括的支援事業に組み込んで市町村が主体となって取り組む、(3)具体的には、地域包括支援センターに一括して委託してきた包括的支援事業に在宅医療・介護の連携推進事業を追加し、他の事業とは別に地区医師会等の専門団体に委託可能とする、というのが法改正の内容である。
 この点について、老健局は、「これまでの医療提供体制に関する行政は、都道府県が一体の区域として病院等における入院に係る医療を提供することが相当である単位としての2次医療圏や3次医療圏を中心として考えてきたが、在宅医療・介護の連携については、介護に係る施策が市町村主体であることやモデル事業で進めてきた在宅医療連携拠点事業の取り組みを踏まえ、国と都道府県の支援の下、市町村が地域の医師会等と連携しつつ、取り組むことが求められる」(3月25日の全国介護保険担当課長会議)と説明した。
 すなわち、在宅医療・介護の連携は、2次医療圏や3次医療圏中心の医療に対して、市町村が主体であるから、介護保険主導で推進していくという論旨である。
 合同会議で、老健局老人保健課の鶴田課長補佐は、「在宅医療・介護連携の推進」について、こうした経緯と今後の方針を説明した。
 それによると、在宅医療連携拠点事業(11年度、12年度)と在宅医療推進事業(13年度~)を踏まえ、新たに「都道府県医療介護連携調整支援実証事業」というモデル事業を14年度に実施する。
 具体的には、モデル2次医療圏で、(1)退院支援ルールの策定と(2)第6期事業計画における在宅医療・介護連携の推進に向けた準備を行なう。
 このモデル事業には岩手、富山、滋賀、和歌山、京都、兵庫、徳島、大分、鹿児島の9府県が参加しており、それぞれ連携を支援する県アドバイザーを配置した。
 このモデル事業で想定している取り組みとして、鶴田課長補佐は、①在宅医療・介護連携に関する会議への参加又は関係者の出席の仲介、②在宅医療・介護連携に関する研修の実施、③24時間365日の在宅医療・介護提供体制の構築、④退院支援に資する医療・介護サービス提供施設間の連携体制を構築するための支援、⑤地域包括支援センター・介護支援専門員等への支援、などを例示した。
 そして、モデル事業の14年度のタイムテーブルを(1)と(2)に分けて詳しく示した。
 そこには、「医療介護連携調整会議」として、①組織化へ向けた病院協議、②組織化へ向けたケアマネ協議、③第1 回病院・ケアマネ協議、④退院支援ルール策定に向けた病院・ケアマネ協議、という工程が含まれている。
 前出(1)のテーマにかかわるこれら工程は、「保健所等の支援を受け、地域包括ケアセンターと協力して退院支援のルール案を作り、モデル圏域の病院との協議を経て病院・ケアマネ連携の書式案とともに、ケアマネ組織内の合意形成を促す」というプロットに落とし込まれている。
 一方、(2)に関しては、包括的支援事業として在宅医療・介護の連携推進事業を地区医師会等に委託する事業が市町村で始まるわけで、それに向けた準備工程が示されている。
 15年度からは新基金が介護保険の分野に投入されるが、モデル事業の工程がそのまま新基金の配分を決める工程となる可能性もある。