全日病ニュース

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保険外併用療養費制度に「患者申出療養(仮称)」を創設

保険外併用療養費制度に「患者申出療養(仮称)」を創設

【混合診療】
田村・稲田両大臣が合意。安倍首相が法改正を指示。「選択療養」構想がベース

 田村厚生労働大臣と稲田行政改革担当大臣は6月6日に厚労省内で会談し、新たな保険外併用の仕組みを創設することで大筋合意するとともに、その方針を6月末に閣議決定する成長戦略に明記、来年の通常国会で健保法等の改正を図ることで一致した。
 両大臣は合意した内容を文書で確認、今後、合意内容にそって厚労省が制度の具体的設計を進めることを確認した。
 6月10日に都内の慶應義塾大学病院を訪れて先進医療に関する説明を受けた安倍首相は、視察後の記者会見で、「『患者申出療養制度』を創設することを決め、今朝、田村大臣と稲田大臣に、新たに患者本位の仕組みを作るように指示した」ことを明らかにした。
 10日の夕刻に厚労省保険局医療課は合意内容について記者発表を行なった。
 「患者申出療養制度」について、安倍首相は会見で、以下のとおり説明した。―
安全性、有効性を確認しつつ、審査期間、時間を抜本的に短縮していく。実施医療機関も、より身近な医療機関でも受けられるように、柔軟に対応する仕組みにする。安全性や有効性が確立すれば、最終的には保険適用としていく。こうした患者本位の新たな療養制度を作るために、次の通常国会に関連の法案を提出し、成立を図る。

大学病院・基幹病院と一般病院とで分担連携して対応

 合意文書によると、「新たな保険外併用の仕組み」は、規制改革会議が提案した「選択療養制度」の構想をベースにしており、概ね、次のような骨子からなる。
●「保険外併用療養費制度」の中に、法改正により、患者からの申し出を起点とする新たな仕組み(患者申出療養=仮称)を創設する。
●「患者申出療養」は、医師が治療の内容や安全性・有効性などを十分に説明し、患者が理解、納得したうえで申し出ることを前提とする。
●未承認の診療に関する豊富な知見を有する臨床研究中核病院と患者に身近な地域の医療機関が、診療内容に応じて連携協力を図りながら、患者の申し出に係る診療をできる体制を構築する。例えば、リスクの高いものは大学病院や地域の基幹病院、リスクの低いものは対応可能な地域の病院で受けられるようにする。
●国において専門家の合議で安全性・有効性を確認する。エビデンスのある診療はできるだけ対象とする。運営の具体的なあり方は新しい仕組みの施行までに検討する。
●「患者申出療養」の前例がある診療は、その前例を扱った臨床研究中核病院が申請から原則2週間で判断し、受診できるようにする。前例のない診療は国の専門家会議が申請から原則6週間で判断し、受診できるようにする。
●「患者申出療養」で実施される治療の保険収載に向けて実施計画を作成し、国において確認するとともに、実施に伴う重篤な有害事象や実施状況、結果などの報告を求める。保険収載のための長期的な評価が必要なものも対象とする。
●臨床研究中核病院は限定することなく、要件を満たせば追加していく(現在審議中の医療法等改正法案で承認の仕組みが見直される)。臨床研究中核病院の承認に伴い、対応医療機関(協力医療機関)を随時追加していく。