全日病ニュース

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番号制の医療等における活用方法などを検討

番号制の医療等における活用方法などを検討

【医療等分野の番号制度活用等に関する研究会】
16年1月のマイナンバー開始に備え、年内に方向性をまとめる

 厚生労働省は、医療等の分野における社会保障・税番号制度の具体的な利用方法について検討する「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」を設置し、5月30日に初会合を開いた。
 事務局(政策統括官付情報政策担当参事官室)は、検討課題に、①番号の医療等分野における具体的利用の想定、②当該番号を活用した情報連携基盤の整備、③当該基盤にかかわる技術検証並びに費用と効果の検討の3点をあげ、年内に一定の方向性をとりまとめるよう要請した。
 2013年5月に成立したマイナンバー法とその関連法により、2016年1月から個人番号カードを使った閲覧や電子手続き等が始まる。
 政府のIT総合戦略本部に付設された「新戦略推進専門調査会マイナンバー等分科会」は5月16日に、マイナンバー制度の作業課題と論点を整理した中間報告をとりまとめ、マイナンバーによって、税の分野だけでなく、社会保障分野でも情報提供ネットワークを介した資格取得や確認あるいは自己情報の閲覧が可能となるが、社会保障に関する事務処理以外の具体的な活用方法は今後の検討課題とされた。
 研究会は、医療・介護分野でマイナンバー制度をどう活用できるか、医療・介護用の番号をふる必要があるか、また、それを担保する情報連携基盤の設計をどうするか、さらには費用対効果をどう考えるかなどについて研究し、政府に提言するために設置された。
 マイナンバーの仕組み自体は、主に行政機関等を情報連携対象とした情報ネットワークとして考えられている。医療・介護に関する情報を収集し、各種閲覧に供するなどの活用を可能にするためには、このネットワークの情報連携対象に医療機関等を加えるとともに、マイナンバーとそのカードに医療分野に用いる符号等の情報を追加しなければならない。
 この点について、厚労省は、すでに2012年4月に検討会を設置し、マイナンバーとは異なる、医療等分野でのみ使える番号について検討を行ない、同年9月に「医療等分野における情報の利活用と保護のための環境整備のあり方に関する報告書」をまとめている。
 ただし、このときの議論は、個人情報保護の問題だけでなく、各レベルの医療機関や介護事業者がどこまでカードに対応できるかなど、難しい問題点も指摘された。
 このときの議論を踏まえ、研究会は、医療における番号制の可能性をあらためて具体的に検討することになる。
 初会合のこの日は、主に、政府と厚労省における検討と議論の経緯などが報告された。