全日病ニュース

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医療・介護情報の活用へ、改革推進本部に専門調査会を設置

医療・介護情報の活用へ、
改革推進本部に専門調査会を設置

 政府の社会保障制度改革推進本部は7月1日、社会保障制度改革を推進するために地域横断的な医療・介護情報の活用方策等の調査・検討を行なう「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」の付設を決定、15人からなる委員の名簿を公表した。
 同日の閣議後記者会見で、甘利内閣府特命担当大臣は、「例えば、国、都道府県ごとの医療費水準のあり方、医療提供体制のあり方、あるいは医療費適正化対策のあり方といった観点から、医療・介護情報の活用方策等を検討する。まずは、地域における医療・介護情報の実務的な分析・検討からスタートし、論点や工程を整理していく」と説明した。
 医療・介護を横断した患者(利用者)情報の地域横断的な活用の必要性は、社会保障制度改革国民会議の報告書で提起された後も、経済再生会議や経済財政諮問会議などでその必要性が論じられ、6月の骨太方針には「地域横断的な医療介護情報のICT化により『見える化』を進め、各地域の状況を比較した結果を踏まえて医療介護支出の効率化・適正化を図る」と書き込まれた。
 また、経済財政諮問会議では、「医療費の支出目標」を地域別に策定するエビデンスデータとして同情報を活用する必要が強調された。
 専門調査会は、こうした政府方針の実現に向け、医療等情報に精通した専門家を集め、活用に向けた課題の整理と解決方法を探るために設置されたもの。
 現在、レセプトと特定健診から得た患者情報として、厚労省にはナショナルデータベース(NDB)があるほか、DPCデータの蓄積もあり、医政局では地域医療計画にそれらデータの活用を試みている。その一方、10月からは病棟単位の情報報告が始まる。
 他方、国保中央会や健保連、協会けんぽは、保険者の立場から独自のデータベースを構築している。介護保険においても介護保険総合データベースの構築が進められている。
 専門調査会は、厚労省と役割分担の上、こうしたビッグデータの実態把握を行なうとともに、それらデータの利活用に向けた基盤整備の方向性を探る。
 そのため、関係機関に、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めること、参考人を招いて意見を聴くこと、WGを置くことができるなどの組織権限が専門調査会に付与された。  

□専門調査会の主な委員
尾形裕也東京大学政策ビジョン研究センター特任教授、権丈善一慶應義塾大学商学部教授、土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授、鳥羽研二国立長寿医療研究センター総長、永井良三自治医科大学学長、伏見清秀東京医科歯科大学大学院教授、藤森研司東北大学大学院教授、増田寛也東京大学公共政策大学院客員教授、松田晋哉産業医科大学教授、山口俊晴がん研究会有明病院副院長