全日病ニュース

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総合確保方針決まる。9月半ばに告示、基金交付要綱等を発出

総合確保方針決まる。9月半ばに告示、基金交付要綱等を発出

方針に「事業主体間の公平性を確保」と明記―「官民の公平性」を担保?!

 9月8日の第3回医療介護総合確保促進会議は「総合確保方針」(3面)をとりまとめた。これを受け、9月半ばをめどに厚労省は総合確保方針を告示。併せて、新たな基金の交付要綱等を都道府県に発出する予定だ。交付要綱等を受けて各都道府県は基金をあてた事業の計画を厚労省に提出、10月に内示、11月に交付決定となる。
 次回の促進会議は12月に開かれ、厚労省より基金交付状況等の報告を受ける。以降、同会議は常設として、2015年度から基金事業の執行状況を検証するとともに、医療・介護提供体制整備の全国的な進捗を点検していく。  

 総合確保方針とは「地域における医療・介護を総合的に確保するための基本的な方針」をいう。
 6月に成立した一括法(医療介護総合確保推進法)において改正された「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」(医療介護総合確保促進法)に、厚生労働大臣は地域における医療・介護の総合的確保の基本的方向と基金を用いて各都道府県が実施する事業の基本的な事項を方針として告示する、と定められた。
 つまり、総合確保方針は、2025年に向けて切れ目のない医療と介護の提供体制を構築するために、主に、①現行の医療・介護各計画の整合性を確保する上で必要な方策、②補助金(基金)を投入して推進する整備事業に関する基本指針を定めるものとなる。
 厚労省は7月25日の第1回会議に提示した「総合確保方針に盛り込むべき事項の主な論点」をもって意見募集を終え、第2回会議(8月29日)に、第1回会議で示された意見を盛り込んだ方針素案を示し、網羅的な議論を得た。
 第3回目のこの日、素案に対する修正意見を反映させた最終案を各構成員が了承、方針がまとまった。
 総合確保方針は、医療と介護の提供体制整備に齟齬が生じないようにするために、両分野の諸計画における理念と目標、総合確保と基金事業に関する計画と既存計画の関係、各計画の作成・実施にかかわるルールなど、関連計画をインテグレートしていくための規律と規程を明確にするとともに、基金事業に関係者の声を反映させる仕組みを定めている。
 医療介護総合確保推進法の附帯決議には、基金事業に関して「官民の公平性に留意する」ことが書き込まれたが、総合確保方針にその記載は特段見当たらない。
 これに関する本紙質問に、保険局医療介護連携政策課の渡辺課長は「方針の中の『基金に関する基本的な事項』に『事業主体間の公平性を確保』とある」と回答、それをもって「官民の公平性」を担保するとの所見を披露した。

西澤会長 「地域医療・介護支援病院」の機能・役割を説明

 この日の会議で、構成員の西澤全日病会長は、四病協と日医の共同提言(「医療提供体制のあり方」13年8月8日)と四病協の追加提言(「地域包括ケアシステム構築に向けて」13年11月18日)の資料を提出、その要旨を説明した。
 病床機能報告に用いられる機能は病棟単位に過ぎず、それを地域住民に病院類型として分かりやすく示していくことが求められると指摘した上で、高齢社会に対応した付加機能を備えて地域包括ケアを支える「地域医療・介護支援病院」の機能と役割を説明。
 「総合確保方針の実施に際して効率的で質の高い医療提供体制と地域包括ケアの構築が検討される。その中で、ぜひ、我々の提言を参考にしていただきたい」と述べた。

□医療と介護に関する各種方針・計画等の関係(事務局資料から)