全日病ニュース

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AMAT隊員養成 来年2月の研修から職種別のプログラム

AMAT隊員養成
来年2月の研修から職種別のプログラム

【AMAT指定病院制度と研修について】
災害時医療支援活動指定病院に104会員病院。希望病院も申請を受付

常任理事 救急・防災委員会委員長 加納繁照

 AMATは、平成25年11月1日に開催された第8回常任理事会で、民間病院相互の連携をさらに強固にすべく、救急・防災委員会がまとめた災害時医療支援活動規則修正案と災害時医療支援活動班(AMAT)の活動要領案が承認されて、発足した。併せて、AMAT隊員養成研修の開催も決定された。
 この修正活動規則にもとづく、AMATの「指定病院制度」について説明する。
 全日病では、都道府県支部に1つ以上の「災害時医療支援活動指定病院」(指定病院と略す)を置くこととし、さらに災害時医療支援活動を中核的に行う病院を「幹事指定病院」、その幹事指定病院を支援する病院を「副幹事指定病院」とした。
 その指定病院は、救急・防災委員会が支部の意見を参酌の上選定し、常任理事会が指定するものである。
 規則では、指定基準を「医療支援活動の実績がある会員病院、及び支部より推薦のあった会員病院とする」としているが、具体的には、①過去15年間に医療救護班の派遣実績がある会員病院、②今回の東日本大震災に医療救護班を派遣した病院、③前記①②いずれの選定基準にも該当しない支部については支部長の病院、④その他、の4点を選定基準として、全国で104病院を指定した。
 救急・防災委員会で選定させていただいたが、これ以外にも、会員が希望すれば、「全日本病院協会災害時医療支援活動指定病院申請書」をもって申請できるようになっている。今後、「指定病院」の申請を希望される際は、支部経由にて申請書のご提出をお願いしたい。
 次に、AMAT研修について説明する。
 救急・防災委員会は、災害時医療支援活動班(AMAT)の活動要領にもとづいて、その隊員養成を図るためにAMAT研修ワーキンググループを設置した。
 そして、日本医科大学付属病院高度救命救急センターの布施明先生をはじめ、日本救急医学会の著名な先生方にご協力をいただき、DMATや日本赤十字災害派遣チームを参考に、DMAT研修に劣らない、2日間の中身の濃い養成研修のプログラムを作成していただいた。
 第1回研修は平成26年2月8・9日の2日間にわたって全日病本部で実施、27病院(105人)の参加を得て、盛況のもとに終了した。
 初日は「AMAT概論」「トリアージ」「災害時の情報通信」といった講義に加え、医療専門職には「トリアージ机上訓練・タグ記入」の実習を、業務調整員には「ロジステクスの基本」「通信確保と衛星電話」という講義・実習を実施。
 2日目は「医療連携、関係機関の役割」「指定病院支援及び避難所をめぐる課題」「災害要援護者」の各講義に加え、「AMAT派遣シミュレーション」(実技)をこなし、全員が筆記試験と実技からなる試験を受けた。
 AMAT隊員の登録、認証、更新等については、「AMAT隊員養成研修」を修了、または同等の学識・技能を有するものをAMAT隊員として登録・認証し、AMAT研修を修了し班編成ができる病院を「AMAT病院」とした。平成26年7月現在で42病院がAMAT病院となっている。
 登録者の更新は5年毎に行われ、資格の更新要件は救急・防災委員会が定めることとしている。
 平成26年度は、5月24・25日(東京)、9月19・20日(福岡)、2月21・22日(東京)と、計3回の研修を組んだ。5月の研修には19病院・60人の参加を得たが、9月の研修も60人・20病院と定員いっぱいの申込みを得るなど、会員病院の熱心な参加意欲を感じることができた。
 来年2月に開催する研修からは、医療職種(医師・看護師)と業務調整員の2つに分けていた研修内容を、医師、看護師、薬剤師、診療放射線技師、業務調整員に細分化して実施する予定であり、逐次、研修内容の充実を図ってゆく方針である。
 AMATの現地司令塔となる災害時指定病院管理者研修も早々に実施し、ゆくゆくはAMAT技能維持研修等の実施も予定している。
 大規模災害はいつ、どのような形で発生するか予測できない。しかし、発生時にはAMATの機能が十分に発揮できるよう活動したいと考えているので、多くの会員病院に参加いただきたく、ご協力をお願いしたい。