全日病ニュース

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地域活性化が今期テーマの1つ。「創生本部」と連携

地域活性化が今期テーマの1つ。「創生本部」と連携

【規制改革会議】 重点的フォローアップの1つに「新たな保険外併用の仕組みの創設」

 政府の規制改革会議は9月16日に第3期の初会合を開き、来年6月をめどとする答申に向けた検討作業の進め方について話し合った。
 その結果、第3期に審議する事項の大枠を、(1)内閣重要施策の実現に貢献する課題、(2)既決定事項の重点的フォローアップ、(3)規制レビューの実施、の3点とすることを決めた。
 このうち(1)については、「多様な働き方を実現する規制改革」と「地域活性化に寄与する規制改革」の2テーマからなることを確認した。
 「地域活性化に寄与する規制改革」は、2013年1月に設置され、6月を区切りとする3期目に入った規制改革会議として初めて取り上げるテーマである。
 具体的には、安倍内閣が9月12日に立ち上げた「まち・ひと・しごと創生本部」(本部長・安倍首相)が掲げる「魅力あふれる地方を創生し、地方への人の流れをつくる」という目標に沿って、「規制改革を通じて地域の活性化を実現していく」ことが課題となる。
 地方活性化は長年の政治課題であるが、「地方から大都市への人口流出が現在のペースで続けば、2040年には全国の半数の896市区町村が消滅する可能性がある」―民間有識者による日本創成会議(座長・増田寛也元総務大臣)の人口減少問題検討分科会が5月に公表した予測と提言が契機となり、地方の創生と人口減少克服というテーマが結びついた地方活性化の施策が安倍政権の最重要課題に浮上した。
 安倍首相は9月3日の内閣改造で担当大臣を新設して石破茂氏を起用。さらに、関係閣僚による「まち・ひと・しごと創生本部」を設け、その下に関係大臣と有識者からなる「まち・ひと・しごと創生会議」を設置した。
 「創生本部」を法定化するべく、秋の臨時国会には「まち・ひと・しごと創生法」が提出される。
 創生本部はこれまで国が手がけてきた地域活性化策や少子化対策を検証する一方、「基本政策検討チーム」の手で新たな政策体系の検討に入るとともに、創生会議が10月にまとめる論点を踏まえて、今後5年間の総合戦略と50年後を見据えた長期ビジョンを12月に決定する予定だ。
 その創生会議の議員である増田寛也東京大学公共政策大学院客員教授(元総務大臣)は、9月の講演で「地方の人口減少に歯止めをかけるために、医療機関や介護施設を核としたまちづくりでUターンを促すべきである」と、医療・介護が「ストップ少子化、地方元気戦略」構想の一端を担っているという認識を明らかにしている。
 この発想はいわゆるホールディングカンパニー型新型法人の構想につながる面があるが、健康・医療・福祉というインフラを因子としたまちづくりの発想は社会保障制度改革国民会議で示されたほか、今年3月の財政制度等審議会財政制度分科会で検討課題に取り上げられ、国交省では「健康・医療・福祉のまちづくりの推進GL」がつくられている。
 規制改革会議は地域活性化に寄与する規制改革を議論する上で、まち・ひと・しごと創生本部、国家戦略特区さらには産業競争力会議と適宜連携を図るとしており、医療施設や介護施設の配置にかかわる現行規制をも視野に入れた見直し議論になる可能性がある。
 同会議は、また、既に規制改革の方針を打ち出した事項の仕上げを後押しする重点的フォローアップとして、「制度検討の内容をフォローする」15項目を含む20項目を決めた。
 「制度検討の内容をフォローする」15項目には、医療・介護の領域から、①新たな保険外併用の仕組みの創設、②介護・保育事業等の経営管理の強化とイコールフッティング確立、③革新的な医薬品・医療機器の価格に関する制度の改善、④医療用検査薬から一般用検査薬への転用の仕組みの早期構築、⑤保険者が診療報酬明細書の点検を可能とする仕組みの導入が取り上げられた。
 これらはこれから法案化の内容や措置に向けた方針が検討される事項だが、その議論行方を強くプッシュするというものだ。
 社会福祉法人制度の見直しを含む②については、制度改正済のものは「運用状況をフォローする」として、両面でダブル計上された。
 この日の規制改革会議は、第3期として、健康・医療、雇用、農業、投資促進等、地域活性化という5つのWGを設置することを決め、それぞれの座長と座長代理を決定した。
 健康・医療WGは、日本総研副理事長の翁百合氏が1期2期に続いて座長に就いた。
 同会議は月1回開催をベースに議論を重ね、必要があれば答申前にも中間まとめを出すことを確認した。