全日病ニュース

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専門調査会の「医療需要、機能別必要量推計方法」がGLに反映!?

専門調査会の「医療需要、機能別必要量推計方法」がGLに反映!?

【地域医療構想策定GL検討会】
地域医療構想施行前に「協議の場」設置が可能。早期に動き出す可能性

 「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」は9月18日に初会合を開き、来年1月にガイドライン等をまとめることを確認した。(1面記事を参照)
 医療介護総合確保推進法の改正医療法は、病床機能報告制度を創設するとともに、そのデータ等を踏まえ、圏域ごとに2025年にあるべき医療提供体制を明らかにする地域医療構想(ビジョン)の策定を各都道府県に課した。
 報告制度によって医療機能ごとの病床分布を把握、それを2025年の機能別病床量に収斂させていくために、データを踏まえて、関係者が圏域ごとに話し合う―。改正医療法は、規制的手法によらずに、地域単位の実情を踏まえた自律的な機能分化・連携を推進するという、かつてない行政手法の枠組みを描いた。
 検討会は、その粗々な枠組みを現実のプロセスとするために必要な、地域医療構想の内容やその実現策を話し合う「協議の場」の運営方法などを定め、各都道府県に標準的手法として提示する役割を担う。
 初会合のこの日、事務局(厚労省医政局地域医療計画課)は議論事項(別掲)、ガイドラインに盛り込まれる「今後の地域の医療提供体制の方向性」をまとめる視点、地域医療構想の対象となる圏域の考え方を提示し、検討を求めた。
 1日目とあって総論的な意見表明に終始したが、構成員からはガイドラインの位置づけを確認する声があがり、北波地域医療計画課長が「ガイドラインに従ってもらうよう都道府県に周知徹底する」と答弁したところ、「ガイドラインはあくまで参考に過ぎず、従ってもらうものではない」という異議を唱える向きもあった。
 2025年の医療需要推計について、北波課長は「現在あるデータを活用する」と述べ、「次回以降の会議にデータを示す」ことを明らかにした。
 この医療需要推計については、8月16日の全日病経営セミナーで、政府の「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」委員である松田晋哉産業医科大学医学部教授が、「(専門調査会で)あるべき提供体制に関して将来推計を加えた資料集をつくる。(その中で)データから病床の医療機能別の適切な配分を推計するなどの方法論をつくる」と説明している( 9月1日号を参照)。
 また、第56回全日本病院学会の病床機能報告制度に関するシンポジウム(9月20日)で、厚労省の武田俊彦審議官は、前出の専門調査会で策定される「今後の医療ニーズの推計値を計算する方法の検討結果が(地域医療構想に)反映する可能性がある」としている。
 専門調査会の「医療・介護情報の分析・検討ワーキンググループ」の主査をつとめる松田教授はこの検討会の構成員でもあり、医療需要と医療機能必要量の推計方法に何らかの提言を行なう可能性がある。
 この日の検討会で、構成員である中川日医副会長は、「協議の場」を地域医療構想の策定前に前倒し設置できる可能性をたずねたところ、事務局は否定しなかった。
 この件について、第56回全日本病院学会の特別講演(9月20日)で、医師確保等地域医療対策室の佐々木昌弘室長は、「法律上は来年4月1日の施行になるが、これは極めて重要なものであるという点で私ども同じ認識。むしろ、ぜひお願いしたい」との見解を示した。
 したがって、各地で、「協議の場」づくりが早期に始まる可能性もある。

□本検討会で議論する事項 *は議論日程

1.地域医療構想策定ガイドラインに盛り込む事項
(1)あるべき将来の医療提供体制の姿 *9月~10月に議論
・今後の地域の医療提供体制の方向性
・構想区域の設定の考え方
(2)2025年の医療需要の推計方法 *10月~12月に議論
・2025年時点の医療需要(入院・外来、疾病別)の推計方法(在宅医療を含む。推計は、原則として都道府県及び二次医療圏を単位として行なう)
(3)2025年の各医療機能の必要量の推計方法 *10月~12月に議論
・2025年時点の各医療機能の必要量の推計方法(在宅医療を含む。推計は、原則として、都道府県及び2次医療圏を単位として行う)
(4)あるべき将来の医療提供体制を実現するための施策等 *11月以降に議論
(構想策定後の具体的な方策の例)
・病床の機能の転換等医療機能の分化
・連携の推進・急性期経過後の受け皿となる病床の整備
・在宅医療の推進・医療従事者の確保
・養成等・都道府県の役割の適切な発揮
(5)都道府県が地域医療構想を策定するプロセス *11月以降に議論
・幅広い関係者との協議や住民の意見の聴取等
2.「協議の場」の設置・運営に係る方針 *11月以降に議論
3. 病床機能報告制度で報告される情報の公表のあり方等 *11月以降に議論
4. その他、地域医療構想の策定及び実現に必要な事項
※2015年1月(めど)に「とりまとめ案」を議論