全日病ニュース

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西澤会長 「本学会は改革に向けて病院が動き出していることを証するもの」

【第56回全日本病院学会in福岡】

西澤会長
「本学会は改革に向けて病院が動き出していることを証するもの」

□西澤寛俊会長の挨拶(要旨)

 医療介護総合確保推進法が成立、色々な改革が進められつつある。本学会はこれらを積極的に取り上げている。これらのプログラムを通して改革への対応を考えていただきたい。
 プログラムには地域包括ケアに関するものも多い。昨年8月に四病協は日医との共同提言を出した。11月にも提言している。その中で、「質の高い医療提供体制と地域包括ケアシステムの構築に向け、我々提供側が積極的、自律的、自主的に取り組む」と宣言した。
 本学会は、この宣言の通り、改革に向けて病院がすでに動き出していることを証するものである。宣言は、また、本学会のテーマにもつながる。改革への対応は我々病院のトップのみではできない。職員一人一人の理解と実践が必要である。本学会の成果を持ち帰って、地域と現場で活かしていただきたい。
 医療介護総合確保方針が告示された。その中に「行政、医療・介護提供者、サービス利用者が一体となって取り組むことが重要」とある。本学会には厚労省とともに患者代表も参加している。本学会が、3者が一体となって取り組む機会となっていただきたい。

□横倉義武日医会長の特別講演「地域医療の再興に向けて」(要旨)

 日医と四病協は、昨年8月の共同提言でかかりつけ医の定義を明確にした。2025年までには全国すべての地域にかかりつけ医を配し、かかりつけ医を中心に、医療・介護の切れ目のない提供体制をすべての地域で作り上げていきたい。
 少子化によって、地方の町村が消滅する危機が到来しようとしている。医療機関を中心としたまちづくりをしていかなければならない。医療機関にはまちづくりへの参画が求められる。それが地域包括ケアシステムから生じてくるテーマである。
 地域医療ビジョンを作成するには各地の現状をよく把握する必要がある。日医はJMAP(地域医療情報システム)をHPに立ち上げ、地域医師会が独自に地域の政策を立案する支援ツールとして提供している。
 地域包括ケアシステムを構築するには、国からのトップダウンであってはならない。それぞれの地域がデータと関係者協議を活用して実情に合ったものをつくっていく必要がある。
 日医では、各役員の政策判断を統一するために、①国民の安全な医療に資するか、②公的医療保険による国民皆保険の堅持に寄与するか、という2点をその判断の基準にしている。
 2025年までに、同時改定が2018年と2024年の2回ある。とくに2018年の同時改定が今後の方向性を相当程度決める。地域医療が崩壊しないよう対応していきたい。