全日病ニュース
ビジョンの基礎となる地域包括ケアの構築が最優先課題
ビジョンの基礎となる地域包括ケアの構築が最優先課題
そのため、今年度は地域包括ケアを底上げる基金活用を都道府県に求めている
特別講演「動き出した改正医療法」(要旨)
厚生労働省医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室長 佐々木昌弘
地域医療介護総合確保推進法を整理すると、(1)医療計画の実行性が高まる、(2)医療の現場が変わっていく、(3)介護保険制度が持続可能なものになる、ということになる。
医療計画の実行性を高めるというのは、①病床機能報告制度をつくり、②そのデータをもとに地域医療構想を定め、③その実現のために必要な手段に基金を活用するとともに、④2次医療圏ごとの協議の場で話し合っていただくが、⑤そこでの結論に従わないケースには知事が権限を行使することもある、という流れになる。
いきなり知事の権限が行使されるわけでもなく、また協議の場での決め事は新しい基金と密接につながってくる。そういった相互関係になっている。
地域医療構想(ビジョン)は、一般病床と療養病床のサブカテゴリーである高度急性期、急性期、回復期、慢性期の将来必要量を推計する。
法律ではここまでだが、地域の医療の将来像を描くための詳しい内容は省令で定められる。そのガイドラインを1月までにまとめ、その後、都道府県と医療機関に周知する期間を2ヵ月置きたいと考えている。
各都道府県は新たに設けられた基金を活用した事業の計画を策定する。その公正性・透明性を保つ意味からも病院団体や医師会から意見を聞き、聞いた以上はそういう内容に仕上げていく。そういう考え方で、半年前から都道府県とやりとりを重ねてきている。
基金は地域医療ビジョンという視点を得て活用される。本年度は、地域医療ビジョンを達成していく上で、そのベースとなる地域包括ケアシステムの構築が最優先課題となる。そのため、今年度は地域包括ケアの底上げに資する基金の使い方を都道府県に求めている。
基金は毎年度交付されるので、将来にわたって計画的に活用していく必要がある。したがって、医療現場の皆さんが一緒に、考えかつメニューを決めていく作業が必要になる。このシステムが来年度以降、それぞれの地域に定着していくことを期待している。我々もバックアップしていきたい。