全日病ニュース

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厚労省が「新型法人」に財団型を提起。自治体主導等の設立を想定

非営利ホールディングカンパニー型法人

厚労省が「新型法人」に財団型を提起。自治体主導等の設立を想定

【医療法人の事業展開等に関する検討会】 自治体中心型や各種非営利法人など、参加法人の範囲は検討課題

 9月10日の「医療法人の事業展開等に関する検討会」は、(1)非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)、(2)医療法人の透明性の確保及びガバナンスの強化、(3)社会医療法人の認定要件の見直しと、年内に結論が求められる3つのテーマを議論した(9月15日号既報)。
 主に議論されたのは非営利ホールディングカンパニー型法人制度で、田中滋座長(慶應義塾大学名誉教授)は同法人を新型法人と仮称することを提案、事務局(厚労省医政局医療経営支援課)もそれを容認した。
 「新型法人についてはまだよく分からないという声もある」として、事務局は「新型法人の具体的イメージ案」(別掲)を提示。その中で、新型法人は、出資にもとづく社団だけでなく、寄付財産によって設立される財団もあり得るとして、2つの法人格を例示した。
 この点について、事務局は、「例えばカリスマ的な人を中心に集まっていくケースがある。その場合は、何人かの自然人を集めて財団をつくっていくという方法も考えられる。他方、社団型の場合は社団自体を集めていくという一般的な成り行きではないか」と説明。
 「財団たる新型法人が色々な事業を展開することはあり得るのか」という質問にも、「新型法人の事業範囲にもよるが、あえて、それを否定するものではない。色々なパターンがありえるのではないか」と答えた。
 土生総務課長は「誰が新型法人の中心になるかということで、前回(6月27日)に、(自治体中心型、中核病院中心型、地域共同設立型からなる)3つのパターンを示した。きれいごとにみえるかもしれないが、例えば、自治体が主導する場合に、地域を代表する人々を集めて財団を設立するというパターンの考えられる。多くは社団型だろうが」と解説。財団型が医療法人以外の主導による設立を想定していることを認めた。
 「新型法人をつくる上でのインセンティブはなにか」との質問に、事務局は、「法改正を含めて新たにできることが多い。税制面の優遇も(国税局と)相談している」と説明した。
 「法人ではない自治体病院の位置づけは」という質問に、事務局は、「どういう形があり得るか、その他の非営利法人の範囲をどうするかも含め、今後、考えないとならない」と、含みを残した。
 「一人法人はどう考えるのか」との質問には「(参加法人に)該当する」と答えた。
 新型法人の話は、事務局が説明を惜しんでいるため、不明な点が多い。委員のほとんどは1社員1票の議決権を主張しているが、現時点で合意という整理はされていない。財団型も想定するということで、社団型の出資持分は否定されるものとみられるが、その辺りの説明もないなど、全体にイメージ先行で議論が展開されているきらいがある。

新型法人の具体的イメージ案

□新型法人に期待できる効果としてはどのようなことが考えられるか。
(以下は議論のためのたたき台)
◎期待できる効果
・医療等サービスの向上(地域包括ケアの推進)
 新型法人において、参加法人を含めた運営方針を決定し、医療資源等を効率的に活用することにより、地域住民に対する医療等のサービスを向上させる。
 当該患者の症状にあったグループ内医療機関の相談・紹介、グループ内医療機関の患者情報の一元的把握、退院支援・退院調整ルールの策定、救急受入ルールの策定、介護事業を行なう株式会社に出資することによる介護事業の拡充、在宅医療・介護事業に未参入の医療法人が事業を新たに実施(グループ内からノウハウ・資金を入手)
・法人の経営効率の改善等(医療計画体制の確保)
 グループの一体的運営によりヒト・モノ・カネを有効活用し、各法人の経営効率を改善させることで、医療提供体制の確保を図る。
 グループ全体での採用・人事異動、グループ全体での従業者のキャリアパスの構築、管理業務・共通業務の一括実施(統一システム・共同研修・共同物購入・庶務等)、グループ内の資金融通(貸付等)の実施、グループとしてのブランド力(信用力)の獲得
□新型法人制度のガバナンスとして、どのような仕組みが考えられるか(別掲の図)。