全日病ニュース

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中医協で議論開始。両側から承認期間の柔軟運用を望む声

中医協で議論開始。両側から承認期間の柔軟運用を望む声

【患者申出療養制度(仮称)】
規制改革会議は16年度施行の前倒しと協力病院の拡大を要請。厚労省は難色か

 10月10日に開かれた規制改革会議は厚生労働省保険局の担当官を招き、「患者申出療養制度(仮称)」創設に向けた検討状況等をたずねるとともに、意見交換を行なった。その際、規制改革会議の委員からは、(1)同制度の施行時期を早めてほしい、(2)患者の申し出を受けて「患者申出療養」を実施する協力医療機関を増やしてほしいという声が多く示され、同会議としてあらためて厚労省に検討を申し入れた。
 これに対して、厚労省は「要望として受け止め、検討させていただく」とし、正式な回答を控えた。
 規制改革会議後の記者会見で、岡議長(住友商事相談役)は、「私どもが答申し、閣議決定された重要なポイントは“患者起点”、患者が申し出をしてスタートすることである。現在の評価療養と決定的に異なるもので、まさに新しい制度をつくってもらうということである」との所見を表わした。
 規制改革会議が提案した「患者申出療養制度」は、その実施の判断を一定条件付きながら患者と医療機関(医師)に委ねていた当初案から、「申請された内容は、全国統一的な中立の専門家によって、安全性・有効性の確認や患者への不利益の有無について評価を受ける」と医療界の自律的介入を認める案に変わり、最終的には、実施計画の作成とその国による審査(前例のない診療の場合)を介在させる、現行の先進医療制度に模した制度とすることで厚労省との間に合意が成立した。
 その結果、6月24日閣議決定の規制改革実施計画には、要旨次のように書き込まれた。
●「患者申出療養」として前例がある診療は、臨床研究中核病院もしくは患者に身近な医療機関が前例を扱った中核病院に申請。原則2週間で当該中核病院が判断し、受診可能とする。
●「患者申出療養」として前例がない診療は中核病院が国に申請、原則6週間で国が判断、受診可能とする。患者に身近な医療機関を最初から対応医療機関(協力医療機関)として申請(共同研究)する場合は、その医療機関で受診可能とする。
●国は、新しい仕組みの施行までに、専門家の合議で安全性・有効性を確認する際の議論や運営のあり方を検討する。
●中核病院は15箇所に限定せず、要件を満たせば追加する。中核病院の承認により対応医療機関を随時追加する。
 この制度は「次期通常国会に関連法案の提出を目指す」ことで合意され、厚労省は2016年度施行を目指している。
 10月10日の規制改革会議の厚労省に対する申し入れは、同制度施行の前倒しと「患者に身近な協力医療機関に(難しい)要件を設けないようにすべし」という2点だ。前者の判断は社保審医療保険部会、後者は中医協の範疇となる。次期通常国会に向けた健保法等改正の準備期間はほとんどなく、中医協と医療保険部会の検討も並行作業となることが避けられない。
 厚労省は前倒しに否定的だが、協力医療機関の要件緩和にも慎重な構えだ。