全日病ニュース

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厚労省 協力病院に「特定機能病院等」の基幹病院を想定か

「患者申出療養制度」は10月22日の中医協総会で審議が始まり、厚労省保険局医療課は別掲の論点を掲げた。
 「規制改革実施計画」と基本的に同じであるが、「協力医療機関」に関して、厚労省の考えは「リスクが高い診療は中核病院」とし、「中程度の診療は中核病院及び特定機能病院等」としている点で、規制改革会議と微妙に違っている。
 厚労省は、身近な医療機関よりも中核病院に患者が直接出向いて申し出るケースを否定していない。したがって、患者が中核病院に集中する可能性があるが、身近な医療機関のやみくもな拡大には慎重で、中核病院以外は特定機能病院等の基幹病院を想定している。
 中医協総会で、診療側中川委員(日医副会長)は「この仕組みは対象医療機関が拡大するのでいいことだと思う」と「患者申出療養制度」を肯定する一方、「身近な医療機関は都道府県に少なくとも1つはほしい」と発言、厚労省の考えに同調することを示唆した。
 その中川委員は、「この制度の本質は、患者が説明を納得してその利用を申し出るという患者起点にある」と述べ、規制改革会議の岡議長と同じ認識を示した。
 その一方、論点で「実施可能な医療機関の類型に応じて中核病院が個別に判断する」とされた協力医療機関については、「申し出た医療機関が実施可能であるか否か、技術ごとに、国もしくは中核病院が判断するべきではないか」と発言。協力医療機関が中核病院との連携関係で安易に決まることがないような仕組みを求めた。
 中川委員は、また、前例のない診療は「国が中核病院の申請から6週間で判断する」、前例のある診療は「中核病院が実施希望医療機関の申請から2週間で判断する」としている点を、「6週間や2週間にこだわる必要はない。
 安全の確保こそ重要である」と批判。
 患者の申し出から実施までの時間をできるだけ短くするこの制度に対しては、支払・診療両側から、「6週間を守るあまり審査が甘くならないか」「(先進医療の6ヵ月、最先端医療迅速評価制度の3ヵ月に対して6週間で承認が出るために)中核病院や製薬企業が患者の背中を押すことにならないか」など、“患者起点”が“患者不在”の制度に転じる可能性に懸念を示す声があがった。
 中医協と規制改革会議は「患者申出療養制度」の創設を支持する点で一致しているが、その最大の意義である“患者起点”の捉え方で、安全優先の立場に立つ中医協と迅速を旨とする規制改革会議との間に大きな違いがある。