全日病ニュース

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構想区域は2次医療圏を基本とすることで概ね一致

構想区域は2次医療圏を基本とすることで概ね一致

【地域医療構想策定GL等に関する検討会】
厚労省「仮定にもとづく2025年推計に対し、地域医療構想はDPC等データから推計する」

 来年4月の施行を迎えた地域医療構想を策定するGL案について検討する「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」は、10月17日、「構想区域の設定」と「2025年の医療需要と各医療機能の必要量の推計方法」をテーマに取り上げた。
 地域医療構想の対象地域となる「構想区域」の設定について、事務局(厚労省医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室)は、2次医療圏がベースとなるとの認識を示した上で、「現行2次医療圏には、人口規模や面積の格差や大幅な患者の流出入、基幹病院へのアクセスの格差があることに留意する必要がある」と指摘。
 さらに、地域医療構想は、将来(2025年)における、①人口規模、②患者の受療動向(流出率・流入率)、③疾病構造の変化、④基幹病院までのアクセス時間等の変化等、地域の実態を踏まえて定められるべきものと注意を喚起。
 「構想区域は、以上のような点を踏まえて定めることが必要ではないか」と、議論の方向を提起した。
 議論において、事務局は、医療介護総合確保方針にそって医療と介護の計画の整合性が求められることや、地域医療構想が先行することなどから、2018年度の第7次医療計画策定の際に、都道府県によっては2次医療圏の見直しを行なう可能性があると指摘した。
 こうしたことも含め、検討会は、現行2次医療圏をベースに構想区域の設定を行なう方向で概ね一致した。多くの構成員の認識は、具体的な設定は各都道府県に委ねざるを得ないというものだ。
 「2025年の医療需要と各医療機能の必要量の推計方法」を論じるに際して、事務局は、社会保障・税一体改革の「医療・介護に係る長期推計」(平成23年6月)で試みられた「2025年の医療の需要(1日当たり利用者数等)と供給(必要ベッド数)」の推計方法を、パターン1を例に詳しく解説した。
 その上で、「構想区域ごとの2025年の医療需要と必要量の推計」を行なう際の留意点を以下のとおり4点示し、「これがこれから検討していただきたい点だ」とした。
 その中で、一体改革における推計とは異なり、DPCデータやレセプトデータといった精緻なデータを駆使して、できる限り実態に即した、根拠のある推計を行なう必要があるとの認識を示した。
 ①一体改革では、一定の仮定(改革シナリオ)を置いて各機能の将来の患者数を推計しているが、(地域医療構想では)DPCデータやレセプトデータなどのデータを活用して、より患者の状態や診療実態に即した推計を行なう必要がある。
 ②一体改革では、一定の仮定(改革シナリオ)を置いて、平均在院日数や在宅・外来等への移行を推計しているが、(地域医療構想では)DPC データやレセプトデータなどのデータを活用して、患者の状態や診療実態を踏まえた前提のもとに推計を行なう必要がある。
 ③都道府県間・構想区域間の患者の流出入や地域差の要因分析等を踏まえた推計をどのように行なうか。
 ④その他、どのような留意点があるか。  これらを踏まえ、事務局は、活用可能なデータとして、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)、国保データベース(KDB)、DPCデータをあげ、その内容を説明した。
 事務局の説明に、構成員からは、「2025年の医療の需要と供給」の推計方法など、一体改革の2025年シナリオに疑義を表わす意見も示されたが、検討会の大勢は、一体改革の推計とそこから現在にいたる改革の方向性を参考とした上で、新たなデータを踏まえて各地域にふさわしい推計を試みるという考え方を支持した。