全日病ニュース

全日病ニュース

指定研修の大枠で一致。次回に研修内容の具体案を検討

指定研修の大枠で一致。次回に研修内容の具体案を検討

【看護師特定行為・研修部会】
41の特定行為案のうち35項目は合意。6項目は学会から意見聴取

 特定行為を実施する看護師の研修制度を省令等に盛り込む具体案を検討している医道審議会「看護師特定行為・研修部会」は、10月23日、同制度を保助看法に位置づける上でたたき台となった41項目にわたる特定行為のリストのうち、医系学会等から見直しの声があがっている12項目の取り扱いについて議論した。
 その結果、12項目のうちの6項目は特定行為とするが、残りの6項目はなお議論を継続することで意見が一致。
 次回に当該意見を寄せた学会を招き、意見を聴取することにした。
 6項目は、経口・経鼻気管挿管の実施、経口・経鼻気管挿管チューブの抜管、胸腔ドレーン抜去、心嚢ドレーン抜去、褥瘡の血流のない壊死組織のシャープデブリードマン、褥瘡・慢性創傷における腐骨除去、からなる。
 続いて研修内容の検討に移り、事務局(厚労省医政局看護課)が提示した課題にそって意見を交わした。
 想定される指定研修受講者については、事務局案に「概ね3~5年の実務経験を有する看護師」とあるのを、「概ね3~5年以上の実務経験」と解釈することで合意した。ただし、「省令に実務経験○年以上と明記することはない」(事務局)。あくまでも、「理念上望ましいとするターゲット属性」(事務局)に過ぎず、研修内容を検討する上でのイメージである。
 「特定行為に係る看護師の指定研修は、チーム医療のキーパーソンである看護師が、患者・国民や、医師その他の医療スタッフから期待される役割を十分に担うため、高度な臨床実践能力を発揮できるよう、医療安全に配慮した実践と振り返りを繰り返しながら自己研鑽を継続する基盤を構築するものでなければならない」とされた指定研修の基本理念には、数名の委員から字句修正等の意見が示されたため、修文を検討することになった。
 研修実施方法に関しては、講義・演習は指定研修機関で受けるものの、実習は受講生の所属施設など指定研修機関外でも可能とする案があらためて示された。講義・演習にはeラーニング等の活用が認められる。実習施設には、病院、診療所、老健施設、訪問看護ステーション等が想定されているが、訪看ステーションの場合は診療所医師が指導医となるなどの指導体制確保が求められる。
 部会は、基本的に、この考え方で合意した。
 教育内容は、特定行為区分ごとに「共通の知識・技能+必要な知識・技能」からプログラムが組まれ、受講生はいずれかの区分を選択することになる。この考え方は基本的に一致しているが、特定行為の具体的な分け方は、前述6項目の結論が出たあとの議論となる。
 教育内容について、神野正博委員(全日病副会長)は「大切なことは判断力をどう養うかだ。それにはグループワークが欠かせない。eラーニングだけの場合はそれが難しいので、集合教育の時間を有効に使う必要があるのではないか」との認識を表明した。
 また、厚労科研で福井次矢聖路加国際病院長の研究班が「特定行為14区分41行為案の教育内容案」をまとめていることに触れ、「この成果を踏まえたものとしてはどうか」と提起した。
 他の委員からは、「講義の時間数、講義と演習の比率はどうなるのか」「大学院教育との違いをどう考えるのか」といった疑問が示された。
 部会は、次回に教育内容の具体的たたき台を踏まえて、さらに検討することを確認した。