全日病ニュース

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「必要な機能の存続は2025年に向けた覚悟で取り組む必要がある」

「必要な機能の存続は2025年に向けた覚悟で取り組む必要がある」

厚生労働省老健局老人保健課 迫井正深課長の講演要旨

 介護療養型医療施設は旧介護保険法に位置づけられていたが、11年の改正で削除された。つまり、介護保険法の適用施設としての廃止は予定されている。しかし、その役割と機能は必要であると整理されている。
 つまり、制度上の施設類型としては法律の通りであるが、機能をどう考えるかは別だ。実態論として「廃止」の表現には違和感があり、事業をやめていただくという趣旨ではなく、新しい機能への転換だと一貫してお話ししている。
 高齢化により要介護4と5の割合が増え、重度化している。医療区分の2と3は医療療養にシフトし、介護療養は医療区分1が中心だが、老健より高い頻度の医療処置という実態がある。看取りとターミナルも他の介護施設と違う。  明らかに介護療養型医療施設でしか受け止めることができない利用者がいるわけで、医療療養だけでなく、他の介護施設とも区別する必要がある。
 医療ニーズが高い中、重度の要介護者や身体合併症を伴う認知症患者の増加で、受皿確保が困難と見込まれる中、看取り、ターミナル、中重度医療ニーズへの対応という機能の確保について、我々としても2025年に向けて、覚悟して取り組む必要があるのではないかということは、(8月7日の介護給付費分科会に提示した論点に)問題意識として示させていただいた。
 制度上どう位置づけるかは引き続きの検討となるが、現にケアされている機能とそのキャパシティは確保して行く必要があるということを、事務局として(8月7日の論点に)明記させていただいた。
 問題は、看取りとターミナルケアを引き続いて確保するためにはどういう体制が必要であるかだ。とくに医師を含めたマンパワーの配置。これを詰めて行き、必要な機能とはこういうマンパワーを伴うもので、こういうことが要件になるということを明らかにする必要がある。
 そうした要件を設けていかないと、病院として(医療保険と)連続した施設になってしまうし、逆に、介護保険施設としては何が違うのかというところがみえてこない。そういった体制の問題、そして、どういう取り組みをしていくのかという問題がある。
 例えば、老健は在宅復帰を強めてリハに力を注ぐとともに、訪問看護などの居宅サービスとのインターフェイスを強めようとしている。このように、機能や特性を担っていくためにはそれにふさわしいサービスとマンパワーがあるはずだ。
 同様に、医療療養における看取りやターミナルとの比較を整理していくことが、報酬上の評価や制度上の位置づけを考えることにも繋がっていくものと考える。いずれにしても事務局の考えは基本的に(8月7日に)示したとおりであり、これを基に今後の報酬改定を考えていく。